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第2章
門の謎
しおりを挟む「神話」として知っている悪魔の扉が実在する。そんな突拍子な事を言われても、どうしても冗談だろ? としか考えられなかった。
「ホーストンを襲ったあの異形のモンスター。あれは悪魔の門から出た魔界のモンスターだ」
「敵国のバルバロは悪魔の門を開き、この国を壊滅させようとしているんだよ」
言い終わると、ケイムは指輪の上でビー玉の様な物を転がし始めた。こちらの反応を待って居るのだろうか。
ケイムの話す内容には、正直……半信半疑だ。悪魔の扉? 魔界? そんな物が現実にあると言うのか?
「もし、本当にその悪魔の扉が存在するとして、どうするんだ? 人間にどうにか出来る物なのか?」
アレンの質問にケイムは少し考えてから答える。
「出来ると言えば出来るし、出来ないと言えば出来ないかな?」
再び大きな音がする。音の主は、今度は完全にキレた顔をしているナオだ。
「どっちなんだよ!? ハッキリしろよ! 魔界って何だよ? 全然わかっ」
怒りに任せて怒鳴るナオを、グリーヴァが押さえる。
「ホグナー。バルバロは扉をどうやって開いているのだ?」
暴れるナオを押さえ込んだまま、話を続ける。
「悪魔の門をどうやって開いているのか、どうやってこの国に狙いを定めて門を出現させているか? どちらも分かっていないよ」
「なら門自体は、破壊する事は出来るのか?」
「門は魔力の塊みたいな物で、人間にあれを破壊するのは無理だろうね」
「なるほど」
グリーヴァは何かを察した様に、そう一言だけ発した。
ケイムは立ち上がると、全員に向かって言う。
「門は突然現れるし、破壊も出来ない。なら我々に出来る事はなんだ?」
「門から出てきたモンスターが、被害を大きくする前に倒す!……医学で言えば今は対処療法しかないんだ」
その通りなのならジリ貧だ。
いくら多くのモンスターを倒しても、また別の場所に門が出現するだろう。そしてまた被害が出る。これの繰り返しなのだ。
先ほど城の中庭で感じた悲壮感の意味を理解した。
「で、私達は何をする為にここに呼ばれたの?」
静かに話を見守っていたジャオシンジャが口を開いた。
話の先を理解していると思えるグリーヴァとジャオシンジャを見るとケイム少し笑った。
「この状況を打開したいが、我々は後手に回りすぎて守るのが精一杯だ」
「そこで、お前達には新設される部隊に入ってもらう」
「門を調査する部隊と、バルバロに潜入部隊だ」
詳しく聞かなくても、なんとなく想像が付く。恐らくどちらも危険な任務だ。新米の俺達には「死ね」と言われているみたいなもんじゃないか。
「面白そうじゃねぇか。俺は潜入部隊希望だな」
グリーヴァに押さえられているマナが、ギラギラした眼でそう言う言った。
「潜入は分かるけど、調査は? ケイムでも魔力の塊としか分からないんだよね?」
ダートンが尋ねる。確かにケイムでも分からない事を、俺達が見たって理解出来ないだろう。
頭を掻きながら、ケイムがこちらをみる。なんだろう? 何か良からぬ雰囲気がする。
「調査部隊の仕事はまず、魔法に詳しい者を探す事だ」
ニヤリとするケイム。
「スノウに協力を仰ぐ」
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