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第3章
風の剣 散る
しおりを挟む先ほどまでは俺とマナを、捕らえるつもりで戦っていたのだろう。しかし、今の半獣になってからは違う。確実に殺しに来ている。
コリダロスの振る槍は、硬い木材「黒木」で作られた民家の壁をいとも容易く切り裂く。半獣と化した事による、腕力、速度、そして魔装によって今までとは比べものにならないほど切れ味が増している。
キャスタルの技術である魔装具や、アレンの双剣と同様の威力を発揮していた。
武器が同等だとしても、身体能力に差があり過ぎてアレンは防御に徹してもコリダロスの攻撃を防ぎ切れない。槍と剣がぶつかる度に大きく体勢を崩され、すぐさま突く槍が襲って来る。
また、分厚い魔装に覆われたコリダロス はマナの弓矢も通さない程の強度を誇っており、並の攻撃ではダメージすら与えられる気がしない。
コリダロスの後方からマナが先ほどの見せた水の魔法を放つ。その圧縮され放たれる水魔法を見ると、コリダロスは空中に舞い上がり回避した。
攻撃が止み少しの間が生まれた隙に、アレンは「カーレント」をコリダロスに向け放った。
恐らくダメージは通らず麻痺もしないだろう。しかし!
アレンの魔法を受けて、コリダロスは再び地上へと降りて来た。
着地した瞬間を狙ってアレンは斬りかかった。
いかに素早く動けるコリダロスも、全体重が掛かる着地の時は自由に動けない。
剣が首元に決まる。
そう思った時、剣は首を切り裂く事無く砕け散って しまった。
魔力を大きく失っていたアレンは、魔装を維持出来なくなっていたのだ。
魔装に覆われていない双剣は、ただの安物の剣であり風の魔法も機能しない。コリダロスの魔装にぶつかればひとたまりもなかった。
お互いに一瞬、時が固まったがコリダロスは槍を強く握り直した。
「外の者よ、惜しかったな」
今度はコリダロスがアレンの首に向け槍を振った。
「死ぬ」そう思ったアレンは、雷鳴の刻印を発動させた。
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