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『新たな序章』
しおりを挟む謎の紫色のモヤの先を抜けた光堂、マサ、ペレーは立ちつくしていた。
後から多村もやって来る。
「嘘だろ?」
それも驚く筈である、そう、彼らはなんと宇宙に立っていたのだ。
周りに見えるのは いろいろな惑星 、それに銀河や星
自分達は今や、無数にある中のひとつの天体のように宇宙に浮いているのだ。
その瞬間 意識がクリアになり
目の前が真っ白になった。
ボンヤリ景色が目の前に広がってくると、そこは ジャングルの中
「おい、今宇宙にいたよな?俺の気のせいか?」光堂は、今しがた自分が体感した信じられない瞬間を、みんなも体験したのかが気になった。
「いや、夢じゃない確かに宇宙にいたウキ」
「何だったの?」
しばし、呆然としていたが、みんなは何かを思い出し、ハッとする
「ミサは?」
場に一瞬、静かな沈黙が走った。
「死んだよ」多村が悲しげな表情を浮かべ、言った。
光堂には返す言葉はなく、気づけば、拳を力強く握り締めていた。
ペレーや、マサもうつむき、座り込んだ。
「信じられないウキ」
「そんな」
騙されていたとは言え、つい先程まで、ずっと一緒に共に過ごした仲間には変わりなかったミサ
そんなミサの死に、誰もが心を砕かれた気分になってしまう。
沈黙のその場の空気を破る様に、多村は急に立ち上がる
「今は落ち込んでる場合じゃない、俺たちは生き延びなければいけない」
三人も、多村の後に続き立ち上がり、みんなの友情の証として首につけたアクセサリーを握りしめ、空に上げかざした。
「みんなで生きて無事に帰ろう」四人は再び誓いあった、もう二度と犠牲が出ないように、ミサと言う友に感謝をする為に。
「おーっ」ここで気を落とし、この先、諦め無い様に、再び気を引き締める為、もう二度と友を失う事の無いように、命をこめた約束であり本気の誓いだった。
「あのう、すみません 私もいれてもらっても良いでしょうか?」
見ると、ミサの妹として探していた少女の姿があった。
「私の名前はマナっていいます」
四人もマナに、それぞれ自己紹介をして、新たな仲間になんだかみんなは心強くなる。
「得体の知れない地だ、新たな仲間マナも含め、みんなで力を合わせよう」光堂が言う。
「オーッ ウキーッ」
「しかし、何なんだ、このジャングルは急に宇宙からジャングルに変わるなんて、もう何が何だか」光堂は自分の頭を整理しようとして必死だった。
自分達は今現在、辺り一面木々で生い茂ったジャングルの奥地のような場所にいる、分かっているのはこれだけだった。
辺りは鳥の鳴き声やら、いろいろな生き物達の無数の声がひしめき合っている。
初めて聴く音
凄いなジャングルの音は
なんて力強い生命の音
こんなにも沢山の生き物が存在するんだ。
そんな当たり前の事を今更ながら思い出させた。
果てしなく続くのは木々が立ち並ぶジャングルと呼ぶに相応しい景色それだけ。
「一体ここは、何処なんだろう」マサが辺りを見回す
「暑いウキ、でも、何だか落ち着くウキ」
「ペレーのホームみたいなところだからな」多村が笑う
「失礼な、都会の洗練されたエリートモンキーに向かって」
「そのわりには、バナナ取りにいって木にはまってたな」光堂は笑いながらつっこんだ
「あれは、洗練されたエリートモンキーも、たまにはバナナみたいなのも良いかなと思って」
マナは笑っていた。
「可笑しい人達」
こんな状況でも冗談の言い合える、皆の心の強さにホッとしていた。
「あれみて」マサが突然真正面を指差す
何と、永遠に続くかと思われたジャングルはもうそこまでになっていて、目の前には赤い色の河が広がっている
ただ、一同が一番驚いたのは赤い河ではなかった
赤い河の向こう、反対岸の先に、とてつもなく巨大な紫色のピラミッドがそびえ立っていたのだ。
「こっちの世界にもピラミッドはあるのか?」光堂がたずねる
「ああ、あるよ だが、あんな色じゃない」多村が返事をする。
「行ってみるか?」光堂は興味津々に言った。
「でもこの河どうやって渡る?」
マサは辺りを見渡しボートなどあるか探したが、見当たらない。
反対岸までは、五キロくらいと言ったところであろうか
「ペレーは全く泳げないウキよ」
右左見渡しても、向こう側に続く道や、橋などは見当たらなかった。
「おい、見ろよ」多村が何かを発見した様で、驚いたように声を上げる。
それは、自分達のいるジャングルの左の少し先の方
なんと、木で出来た小屋があったのだ。
「ピラミッドに、小屋に、赤い河。今更何も驚かないけど、イカれてる場所だな」光堂が笑う
「ああ、だがみんな用心しろ」多村は、ここは得体の知れない場所なんだと再認識させるかの様に、皆に警戒を促す。
そう、ここはあの黒楽町の中なのだ。
さっそく、五人は警戒しながら、小屋に向かい始める。
光堂がドアをノックした
「すみません」
中からは物音ひとつきこえない
「開けてみよう」多村はそう言いドアを開ける
ギイイイイッ
「何だよここ」中を覗き驚く一同。
小屋の中は、いかにも現代的なつくりの部屋になっていてカーペットまで敷いてある。タンスに、キッチン、ベット、小屋の中は、今も、人が住んでいるかの様にとても綺麗だった。
「ウキーッ」
ペレーの興奮する声が響き渡る
「どうした?」
入り口のドアとは、反対奥側のところにもう一つ扉があり、そこを開けると外につながっている、 ペレーの声は外から聞こえてきた。
みんなは、すぐに外に向かう
「ペレー大丈夫か?」
見ると、何やら興奮して飛び回ってるペレーがいた。
「見て、ウキーッ」
ペレーの指差すほうにはなんと、露天風呂があったのだ。
岩で敷きつめられ、作られた風呂の中からは、お湯が湧き出ている。
みんなは、あまりに予想外の展開に笑ってしまった。
「何だよここは」
「泊まれるお洒落なロッジなのか?」
「俺は黒楽町にきて自分が笑うことなんてないと思ってたが、もうこの場所は想像を超えてる」多村が言った。
「でも、ここ誰か住んでるんじゃないでしょうか?」
「でもおかしいよ、タンスとかあけても、何一つ持ち物が入ってないよ」マサが小屋の中から出てきた。
「じゃ、せっかくだし今日はこの場所にいさせてもらうか」光堂は皆に提案する。
「そうこなきゃウキ」
「人が来たら、謝ればいいよね」とマサ
「そうだな、悪いがそうさせて貰おう、それにもし誰か住んでたら、この場所について何か知っているかも知れない、聞き出す絶好のチャンスでもある」多村が言った。
皆は人が来るまでここに居させて貰う事に決め、小屋に戻った
「一応恐いから鍵しめるウキ」すでにペレーの自宅化してる事に
マサが笑う。
「帰って来て、かけてない鍵がかかってた方がよっぽど持ち主にとっては恐い事だと思うよ」
すると「おいっ、信じられないぞ、キッチンに冷蔵庫とコンロまである 電気通ってるのか?」キッチンの方から興奮している光堂の声。
しかし、どこを探してもコンセントはなかった、不思議な事に、冷蔵庫自体からコードもでていなかった。
「故障してて、ただ置いてあるだけか」
冷蔵庫を開けてみて、光堂は再び驚いた。
いろいろな食材が中に入ってあり、ちゃんと冷たく冷蔵庫は作動してるのだ。
コンセントもなくて一体どうして?
それに食材?やはり誰か住んでるのか?
謎だらけだった。
「ねえ、ちょっと来て 凄いの見つけちゃった」マサがみんなを呼んでいる
テーブルの上でマサは、ぶ厚く、古びた赤い表紙の本をひろげていた
「何だそれ?」
「日記帳だって」
開いて見ると、自分達のしゃべっている日本語で、書かれている日記だった「これなら読める」マサが読み始める
「この小屋にようこそ、ここに好きなだけ滞在するがよい。 好きなように使うがよい、私はここに来てしまった。
これは私の過ちだ 黒楽町の入口の場所は、まだ安全だった、この場所に足を踏み入れたのが最初で最期の過ち。もう私に逃げ場はない、今やあの平安なあの入り口の町が恋しい」
「なんなんだウキ」
みんなは日記の言葉に青ざめている
「マサ続きは」多村が言う
あの赤い河の秘密 ふふふっ私はイかれてない・・・
「何だ、この人狂っちゃったのかな」マサは続けて読み進める。
先を急がない 先を急がない
私は 唯一の安らぎのこの小屋
私は永遠に、この小屋から出ない
マサは読んでいてビクッとした
この人、まさか今もここにいないよね?
みんなは、その言葉に身構える
「やっやめてくれウキ、こわいウキ」
この先の日記をこのまま読み続けることはやめてくれせめて 明日 明日 明日 明日 明日 明日 明日
あした・・・でなければ必ずや災い降りかかるべし
「いかれてるウキよ書いた人、きっと何か秘密が、読んじゃおうウキ」
「ペレーこんな事を言うのも馬鹿げてるかも知れないけど、日記の言葉通りに、今日はやめておかないか?何か嫌な予感がするんだ、今朝の宇宙の光景にしても、何が起こっても不思議じゃない感じがする」
「光堂、怖がらせないでくれウキよ、ペレーはこっ、怖く無いウキだけど、明日にするウキ」
「こんな誰の日記だか分からない物にびびってもしょうがないし、ただの日記だと思うんだけど一応そうしておくか」光堂は笑う事によって自分自身を鼓舞していた。
直感が何か嫌な気配を感じている様な気がしたのだ。
「家の中は誰もいないです」マナは全てチェックしてくれていた様だ。
「鍵も全部かけたウキ」凄いスピードで全ての窓などの鍵をチェックしていたペレー
「ふーっ、ひとまず安心だな」
「マサ良い知らせがあるぞ 冷蔵庫に酒があった」多村が言った。
「本当?」マサはニッコリ笑いさっそく手に取る
「じゃあ、今日は宴にしよう」
「あの私、料理します」
みんなはマナの提案に喜んだ。
とりあえずこの森の中で、室内でくつろげる場所が確保出来て良かった。
ずっと森の中だったら確かに過酷だった、そんな事を思う。
マナは料理を始め、ペレーも手伝うことに。
残る 三人はテーブルに座り話していた。
「これからどうするんだ?正直あてもないし全く、お先真っ暗状態だな」多村は言った。
「実はそうでもないんだ、こっちの世界の俺がヘブンズロードを抜けてここに来てる」
「本当か」多村とマサは驚く
「だから、まずはこっちの世界の俺を探そう」
「よし」
「もう二度と仲間がミサのようになるのはごめんだ」多村は言った
「もちろんだ、みんなで生きて出よう」
三人は笑い合い、気持ちを確認し合うかの様に握手をする。
キッチンからは良い香りが、ただよってきていた。
今を生きてる実感が光堂の胸に染みる。
そして、みんなと一緒にいる事の有難さをかみしめた。
「まずは、先の心配より 今の宴だ」
「そうだな」 「 そりゃそうだ」
真っ暗な暗黒のジャングルに、明るい光が灯りはじめていた。
それは未知なる黒楽町、この世界、宇宙に灯されたひとすじの光だった。
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