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~ 信頼の花 ~
しおりを挟む富士の山を降りるとそこには菊一が待っていた。
本当に皆無事に戻って来やがった すごい 本当にあの骸をやりやがった。
一番最初に菊一が素直に感じたこと
そしてすぐに皆の様子を見て
「はやく、馬車に乗れ、すぐに手当てをする」
「手伝え洞海、こいつの紹介は後だ、今は一刻を争う」
「あっし達もなにか」
「太一、しんべえ、この紙に書いてあるものをありったけ集めてきてくれ」
「はいっ」 「分かった」
絶対に生かしてみせる
ゴゴゴゴゴオーッ
闇は再び集結し始めていた。
幹部がすべて集結すると招集をうけ、雷獣は伝えられたその場所に向かっている、もちろん集まる大帝国の戦力は真堂丸達により大分減らされ幹部も残りわずか。
この機に雷獣は残りの戦力、鬼道の首もろともとるつもりでいた。
無論死を覚悟の上に。
本当に大帝国がこんなに衰退するとは思わなかった、あの野郎達、本当に想像すら出来なかった事をやりやがった。この機を逃してはいけない。
あの大帝国の幹部達が半分もいなくなるとはな。
勝利の二文字の見えかけているこの状況
今しかない。
しかしどうしてだ?
妙な胸騒ぎがする
ザッ
「ついた、ここか」
そこは不気味な場所だった
森の奥深く雷獣の目の前にあらわれたのはドクロの様な顔の形をした洞窟
この中に鬼道達がいる
ザッ
「行くか」
洞窟を歩き暗闇を抜けると並べられてる岩の机と椅子
雷獣は驚いた馬鹿な?
「雷獣よ遅かったな、まぁ座れ」
鬼道が雷獣を見つめる
雷獣が驚くのも無理はなかった。
何故ならそこに並ぶのは全身を白で覆う八の幹部の姿
「雷獣なにを驚いている?」
「何故幹部が七人いるんですか?」
「なに、驚くことはない。また集めたのだよ」
「秀峰は今出ている、連絡のつかない一斎には困ったもんだ、まあ、お前をいれ十また揃った」ニヤリ
「そうでしたか」雷獣は平静を装った、鬼道の首だけでもとれればそれでいい、俺が裏切り者だとばれてない今が最後の機だ。
「ああ、それから雷獣よ」
「?」
「お前の数もすぐにまたつくらないとな」
その言葉と同時にすぐに後ろにさがる雷獣
「裏切りはばれているぞ」
この時、雷獣は見たのだ
見てしまった
自分が大帝国の幹部であったにもかかわらず、何も知らなかった事をこの時知る事となる
ザッ すぐに洞窟を走り逃げだす
「初仕事だ、あいつの身体の部位一部分ごとに報酬をやろう首がもっとも高い」
「ハッ」
雷獣が目にした光景、それは信じがたい事実
雷獣が目にしたのは実は幹部だけではなかった、雷獣はしかと見届けたのだ、真の闇を。
そいつらは鬼道の背後真っ暗な闇の中潜んでいた。
これを真堂丸達に伝えなければ
鬼道の背後に存在した真の支配者
「我々の姿を奴は見た確実にしとめろよ」
「はい」
鬼道の背後に立つ三人の者
大帝国を操っていた真の闇
鬼道は手足となり動いていた大帝国の象徴に過ぎなかったのだ。
この事実は今日までごく一部の者達しか知らない事だった。
真の大帝国の王は別にいた。
暗闇の中、三人の者達の姿は異形
ある者は目が一つ顔の中央に、ある者は鼻と目がない、もう一人は顔すべてを包帯で覆い何も見えない。
雷獣は走り逃げながら、思う節があった。
確かに鬼道は強いが、強さなら鬼神のがもしかしたら強いかもしれない、それなのに何故あれ程の幹部達が鬼道に従い集まっていたのだ。
間違いない奴が背後にいたのだ。
聞いた事があるあの姿、奴らは三人で一人と恐れられた伝説の怪物
「三國人」に違いない、奴らは常に三人で動き行動し戦うと聞いた事がある
すべてが繋がった。
奴らは鬼神、白竜を育てた、いやそれだけではない。
蠅王蛇、暗妙坊主などの殺戮者を育てたのもあいつだと聞いた事がある。
まさかまだ生きていたとは。
あいつが真の大帝国の王
それを知らなければ、鬼道を倒しても何も終わらない。
この事実を真堂丸達に伝えなければ。
まずはここを逃げ切らないとすべてが終わる
鬼道を倒し真の支配者を知らずまま、奴らはまた闇に潜み新たな闇をうみだすだろう。
誰もまだ大帝国の本当の闇を知らないでいるのだ。
「来たか」
ザッ
「雷獣ちゃん、逃がさないよ」
今は全力で逃げる、逃げきってみせる。
シュン キイィン
さすがにこの人数の幹部 厳しいか?
いや雷獣あきらめるな自身に言い聞かせる。
ヒョオオオオオオーー
時は深夜になっていた。
パチパチッ
焚き火のまわりに治療を終え集まるのは
菊一、文太、太一、一之助、しんべえ、洞海。
「なんとか、二人の一命はとりとめた」
「そーいや、こいつの紹介がまだだったな」
「お前達が富士の山に向かった時、来た大帝国の刺客だ」
驚くしんべえ
「なんでそんな奴が一緒にいやがるんだよ、大丈夫なのかよ?」
「ああ、まあな俺は信頼している」菊一が茶をすする
ザッ
「信頼出来ないのは当然です、心を入れ替えたと言っても信じてもらえないでしょう、だけど一つ伝えたいことがあります」
「すぐにこの場所を離れてください」
「どういうことです?」
「秀峰は用意周到でした、自身が死んだ時を考え奴は鬼道に宛て伝書鳩を自身が二日戻らなかったら飛ぶように仕向けていたのです、鳩が持つ情報はこの場所の位置」
「おいっ、やべぇじゃねえかよ、じゃあすぐにでも大帝国がここに」
「そうです」
「自分はこの近くに絶対に見つからない保証はありませんが一つ良い場所が心あたりにあります
しんべえは続けた
「それが本当だってどう証明できる?お前が嘘をつき大帝国が潜む場所に俺たちを誘導してるんかもしれねぇじゃねえか」
「本当だと証明する術は無いです」
その時、文太が
「ならその場所に真堂丸と道来さんを安静な状態で一刻も早く連れていかなきゃ」
洞海は驚いた、この人は敵だった俺をもう信じているのか?
「じゃあすぐに向かうでごんす」一之助も立ち上がる
「二人は絶対に殺させない」太一もすぐに動きだす
なんだこの人達?
俺はあんたらを殺しに来た人間だぞ
しんべえが言う
「疑って悪かった、俺もお前を信じる」
洞海は下を向き涙を流していた。
人に信頼された、こんな気持ちになるのか。
違う、大帝国にいる人達と。
今分かった、大帝国の行動の基盤の底は恐れに基づき行動している
でもこの人達は信頼を基盤にし動いている
仲間を友を信じているんだ。
ポタッ ポタッ
「いつまで、座ってる?その場所に案内してくれ」
前を見ると菊一の背中が見えた。
一山さんが言ってたこと今になって分かった。
「心から強い絆で結ばれた時、自分の中に芽が育つ、
そしたら恐怖から真の愛情と言う花が心に咲くもんじゃ」
俺この人達の力になる
産まれて初めて自分の心から決められた事
自分の心がそう叫んでいた。
「はいっ」
洞海は力強く立ち上がり一歩を踏み出した。
ザザザザサザーッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴオオーーッ
眼下に広がる、激流 背後には深い滝が巨大な口を開いている
雷獣は追い込まれていた
「結構傷をおわせたが、良く逃げ延びた方だ」
白い七つの影が雷獣に忍び寄る
「私が首をもらおうかな」
「早い者勝ちだろう」
「雷獣もう逃げ場はないぞ、後ろに飛び込めばお前とて助からないだろう」
「さあ、死ね」
雷獣はすぐに躊躇なく飛びこんだ
一つの賭け
残れば確実に殺される、それなら可能性が低くても少しでもあるほうに
ゴゴゴゴゴゴゴゴオオ
「本当に飛びこみやがった、任務は終わりさあ、戻りましょう」
突如首元に刀が
「おいっ、新入りよ。そんな生半可な仕事をしたら次は死ぬと思え、俺たちの任務は奴の首」
「奴をさがすぞ、生きている可能性がある」
ギロリ
龍童子は眼下を鋭い瞳で見つめていた。
その頃、男は座禅を組み瞑想をしている
目をひらき思う
自惚れじゃあない 僕は無敵 想像しうることは何でも可能
ザッ
立ち上がる
すべてを掴め 見える
ヒュッ
男は飛んでいる蝶々の羽についた小さな花粉を目で捉え刀で取り除く
なんでも出来る
ああ どこまでも意識が無限に広がっていく
無限だ
はやく強いのと戦いたい
一斎が動き出す
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毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
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