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~ 孤高 ~
しおりを挟む「むっ、骸さんっ」叫ぶ文太
キインッ
骸が現れた瞬間、全ての幹部の殺気がいっせいに骸に向く、先程までのふざけていた表情が一変した。
こいつが、あの骸
「ほぉ、これが新しい幹部共か」骸が自身の肩に刀をかけ、全員を睨み付ける。
大帝国の幹部はこの時、誰一人として動けなかった。
まさか、己が恐怖で動けない、馬鹿なっ 骸 こいつは格が違う。
骸の殺気を感じた幹部は動揺していたのだ。
ばっ 化け物め。
太一は信じられなかった。
たった一人の幹部すら自分にとっては底知れぬ怪物だったのに、この骸を前にして誰一人動けない。
すげぇ、すげぇ。
太一は骸の強さに素直に感動し、骸と言う男の凄さに憧れた。
こんな奴に真の兄貴は勝ったのか、すげぇ すげぇ すげぇよ、太一はこの状況下で興奮に似た感情を味わっていた。
真堂丸と骸の凄さ、実力の立ち位置を知った。
女郎蜘蛛は、この目の前に立つ絶対的強者に逆らうつもりはなかった。
絶対に逆らってはいけない相手がいる、こいつはそんな存在の一人だ。
後ろに一歩、自然と身体が退がる。
雷獣は薄れゆく意識の中、この状況に驚いていた。
信じらんねぇ、どういうことだ?あの骸さんが何故、
助けに来た?
しっかし、この人はいつ見てもやっぱとんでもねぇな。
菊一も、また驚いている
敵だった時あれだけ震えあがっちまったが、こっち側にいるときゃ、何て安心させる野郎だ。
だが、いったい奴は敵か?味方か?助けるとは、どういうことだ?
確かに骸なら、あいつら全員を相手にしても勝てる可能性はあるかも知れない。
ただな、それは・・・もし骸が万全な状態だったらだ。
あいつも今、真堂丸との闘いの直後、立ってるだけでやっとだろう?
もし、幹部が一人でもそれに気づけばまずい。
下手に動けんぞ骸 どうする?
菊一が思う。
「こりゃあ驚いたな骸」喋り出したのは龍童子
「貴様が大帝国の幹部を斬り、裏切ったと知った時は驚いたぞ」
なんだって?
この時、僕らは骸が大帝国の幹部ではなくなっていたことを初めて知る
「最初からテメェらの仲間になったつもりはねぇよ、かかって来いよ一人残らず斬ってやる」
なんだとっ 骸のその言葉を聞き、驚く菊一。
テメェ立ってるのがやっとじゃないのか?
挑発して、本当にこの幹部全員を相手にするつもりなのか?
こっ、これが骸。
菊一の額に汗が流れ、菊一はほくそ笑む、本当にとんでもねぇ野郎だ。
「いくら骸と言えども、同時に我々がかかれば、勝つのは不可能ではない まあ、何人かは斬られるだろうが」
「やるか、同時にかかるぞ」
太一もこの時、ハッとする。
骸は真の兄貴とやりあったばかり、そんなんで動ける訳ないんじゃないのか?
これは、文太、一之助も気づいたことだった。
その時
骸はほくそ笑む
「おいっ、良く見とけ」笑いだす。
「これから、テメェらが戦わなきゃいけない野郎が来たぞ」
その瞬間、幹部達は誰一人動くのをやめた。
身体に戦慄が走る。
何故なら洞穴の中から向けられる尋常じゃない殺気を感じたからだ。
この時、幹部の一人 夜叉は即座に手に持つ鎌を洞穴の殺気を放つ相手めがけて投げようとしたが、すぐにあきらめる。
この夜叉の判断は正しかった。
もし、投げていたら、投げる事すら出来ずに首が飛んでいただろう。
なんだ、中から何が出てくるんだ、夜叉の足は震えていた。
ああ、そうか
ああ
こいつが
真堂丸
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーー
洞穴から出て来たのは、真堂丸と道来
二人は辺りを見回す
「大丈夫か?」
「真堂丸、道来さん」
「先生、道来殿」
「真の兄貴、道来さんっ」
「あいつら目ぇ覚ましたか」
あいつが、本物の真堂丸
あれが
真堂丸と言う男……
ああ
ありゃ やべぇ 骸級が二匹もいやがる
あんなの一対一で勝てる相手じゃねぇ
女郎蜘蛛は震えあがる、あいつがあの女狐を討ち取った男
女狐、お前 あんなのと戦ったの?
あんたもやっぱイカれてるわ。
龍童子も感じていた。
あそこまでの男か、ああ斬り殺したいが、今の私じゃ不可能に近い。
横に立つ男もなかなか強い。
あの三人を相手にするのは、今はマズイ。
ああ、クソおおおおおおおっ
「いったん引くぞ」
「必ず、また殺しに来るからな」
ザッ
幹部達は去って行った。
キィンッ
刀をおさめる骸
「骸、礼を言う」真堂丸が言った。
「偶然近くに居ただけだ、これで借りは返した」
骸は歩き出す
「あの、骸さん良かったら僕らと一緒に居ませんか?傷も治さないと」
背中を向けたまま骸が言う
「良いか忘れるな、すぐに俺はまた、真堂丸、お前に決闘を挑む、それまで更に強くなっておけよ」
「ああ」
ザッ
骸は去って行った。
「骸が仲間になってくれたら、百人力だったんでごんすが、とにかく、この状況切り抜けられて良かったでごんす」一之助は安心して気が抜け、座り込んだ。
「とにかく、まずはみなさんの傷の手当てをしましょう」
こうして最大の危機を切り抜けられた一同。
大帝国の幹部達の反応はそれぞれだった。
「鬼道様にどう報告する?」
「あの域の奴らを相手に今後どうするつもりだ?」
「あれが、真堂丸と骸 恐ろしい奴らだった」
「この中にあれに勝てる奴はいないねぇ」
「想像以上だったな」
「全ての状況を鬼道様に報告するしかない、さてどうするか」
骸は一人歩いていた
あの小僧、俺に一緒に居ませんかだと 笑わせる。
そんなことを俺に言った人間は居なかったな。
姉さん以来会ってねぇ。
骸は強すぎた故に、あまりに次元の違う所に立っていた。
骸の立つ高すぎる境地。
自身より強き者にあったことがない、高い高い頂点に立つゆえの絶対的孤独。
自身はどうやったら、まともに闘える相手を見つけらる?
天才ゆえに自分の相手になる者すらいず、遥か高い頂上に立ち続けた孤独
自分の立つ孤高の場所に人は見当たらなかった。
このまま終わる人生だと思っていた。
そんな中、真堂丸に出会う、そして信じられない、奇跡に近い出来事が身に起きる
敗北
骸の孤独は終わった。
姉さん
俺
今
嬉しいよ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
その頃
着実に運命の歯車は回っていた。
動き始める
不気味な影
ガガガガガガガッ
運命の歯車が不気味な音を立てマワル。
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