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~ 共闘 ~
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洞海の命を救った刀
戦場に高く舞う誇り高き意思
ヒョオオーーオーーーーッ
それは光真組の面々であった。
「すまぬ、遅くなった」
そこに立つのは一番隊長 、誠。
「久しぶりだな一之助」
「平門殿か」
その光真組の姿を真堂丸も、道来も太一も気づいていた。
「あの人達まで」太一の心の中、喜び、頼もしいと思う気持ちが胸を駆け巡って行く。
「あいつらも顔が広い様だな」菊一が微笑む。
「光真組、かなりの手練れと聞く」
「小賢しい、大帝国に歯向かう者達は全て皆殺しにするまで」鋭い爪を菊一に向ける女郎蜘蛛。
「さて、お前をすぐに八つ裂きにして雑魚共を蹴散らしに行く」
ヒュオンッ
上空から鋭い突きが突如女郎蜘蛛を襲う。
「しまった」女郎蜘蛛は死を覚悟した。
キィンツ
「女郎蜘蛛よ、今貴様死んでいたぞ」
上空からの突きを防いだのは龍童子の刀。
「チイッ」上空から降り立ったのはガルゥラの姿だった。
「ガルゥラ」菊一が叫ぶ
「どうにも敵の数が多すぎる」ガルゥラが言う。
「だが、やるぞ」
夏目の視界にもガルゥラの姿が入る。
「けっ、懐かしいな あの野郎」
「大帝国に歯向かう者達を皆殺しにせよ」
鬼道が叫ぶ「矢を放て」
上空から雨の様に降り注ぐ無数の矢
「奴ら仲間もろとも殺す気だな」道来が言う。
「太一、上空の矢にも気をつけろ」
「はいっ、道来さん」
ビュンッ ビュンッ シュンッ
キィンツ キィンツ キィンツ キィンツ
「さすがに手練れた者達にはこんなの意味を成さぬか」鬼道が笑う。
真堂丸と仲間達は、降り注ぐ無数の矢など意図も簡単に避けながら普段と変わらず戦っていたのだ。
「後は奴らの持久力がどこまで持つか、チッ、奴らの仲間も続々と集まって来やがったな」龍童子が言う。
そして突如走り出し場を動きだす。
「菊一、ガルゥラ、夏目」歯をくいしばる鬼道。
おのれ一山。
貴様の意志はどこまでもこの鬼道の邪魔をするか。
ギリッ
「どりゃああああああ」ズガンッ
バピラの強烈な拳が真堂丸に打ち込まれる。
なんだと、こいつ俺の拳をくらって立っているだと?
こりゃあ、マジで強ぇぇ。
こんな奴を見たのは、三國人の旦那以来だ。
だが、己は簡単にはやられないぜ。
「行くぜ、オラァー」
バピラは強者に出会えた事に興奮し、笑っていた。
根っからの戦闘狂は自身より強き存在に出会い、息づいていたのだ。
鬼道は少々の焦り不安を感じていた。
もしバピラが居なければ真堂丸は確実に今この私の首に到達していただろう。
額にひとすじの汗が流れる。
奴の仲間もかなりのくせ者が揃い始めたな。
ギリッ
「第一精鋭部隊を先頭に出陣させろ」
第一精鋭部隊、主に殺戮を担当する大帝国の暗殺部隊である。
兵員は過酷な訓練に耐え、生き延びた者達だけがなることが出来る集団。
構成員は500からなり、幹部の下にあたる。
一般の大の大人が10人でかかっても一人の兵員に殺されるだろうと言われているくらい一人一人の実力は高い。
ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ
「鬼道様」
「行け、黒七(くろしち)」
「ハッ」
黒七隊長。第一精鋭部隊を一人まとめ上げる隊長である。
大帝国の兵達からは残虐な男と怖れられている。
主に拷問などを率先して楽しむ殺人を快楽と捉える危険な男であった。
「第一精鋭部隊、奴らを完全に皆殺しにしろ」
「ハッ」
第一精鋭部隊が真堂丸達に襲いかかる。
「奴らを皆殺しにしろー」
キィンッ キィンッ キィンッ
「菊一、貴様の首をはやくよこせ」襲いかかる女郎蜘蛛の牙
「簡単にはやれねーな」
キィンッ キィンッ
ゴゴゴゴゴゴーー「突撃ーーーーーーーーーーっ」
「ほぉーさすが鬼道様。この時間に第一精鋭部隊を投入されるとは、頼もしいわ」
第一精鋭部隊、聞いた事があるな。
ここで踏ん張らないと、一気に崩されかねない。
まずはこいつら幹部を速く片付けねーとな。
菊一が女郎蜘蛛を睨みつける。
ザッ 女郎蜘蛛の背後にガルゥラがついた。
「菊一、速攻で終わらせるぞ」
菊一が叫ぶ
「夏目、死ぬんじゃねぇ、すぐ行く」
「わーってるよ」
キィンッ キィンッ
夏目の前にはばかる、入道雲
ちっ、さすが幹部。簡単には行かねーか。
あと二人、私くらいの実力者がいないと殺されるな。
片腕を失ってこの実力差か。
私も歳をとったな。
キィンッ キィンッ
「瞬足の夏目、昔聞いた名だ。だが、いささか歳をとりすぎたか?止まって見えるぞ」
「るせー、これから見せてやるよ」
ヒョオオオオオオオーー
ザッ ザザッ
「嫌だね、そんな形相でこの老いぼれを睨みつけるなんて」夜叉が言う。
夜叉の前に立つのは、光真組一番隊長、誠、それと三番隊長、平門。
「貴様等が噂に名高い光真組か」
「すぐに八つ裂きにしてくれるわ」
ギロリ
「ちっ、一人殺せたのになぁー」柳が刀を舐めながら言った。
「助かりました、ありがとうございます」命拾いした洞海。
「礼を言うのはまだはやい、気をつけろ相手は怖ろしく強い」そう言ったのは光真組二番隊長、清正。
「またこうしてお主らと戦えるとは運命とは不可思議なものでごんすな」一之助がほくそ笑む。
「そうだな、あの時も凄かった」
清正の脳裏に浮かぶのは、暗妙坊主を倒す為に共闘した時の光景。
「あいつに比べればましと思いたいとこだったがな」
「そうでごんすね」
目の前には2つの首を振り、笑う柳の姿があった。
「一之助、覚悟しろ。この相手は暗妙坊主の上を行く手練れ、そう思いことを成す」
「分かったでごんす」
一之助は思う。
やはり先生は本当に強いでごんすね、こんな化け物達を同時に七人相手に出来てしまうんだから。
先生、文太さん、みんな。
大帝国と決着をここでつけるでごんすよ。
あっしも全力を尽くします。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオー
「ほれ、ほれほれほれほれほれほれほれほれー」
「どうした?お終いか」
猛攻撃を仕掛けるのは鳳凰。
「青鬼さん」叫ぶ鬼達
「お前達、こっちの心配は良い、そっちの兵達を任せる」
まずいっ、このままだとやられる。
ヒュオンッ ヒュオンッ ザンッ
「疲れて来た様だな」
「全く貴様ら鬼達には呆れたぜ、貴様らが真堂丸側につかなければ最初の時点で大帝国はかなり有利になっていたはずだ、全く馬鹿者共め」
「鬼神の意志はどうなったんだ?」
「お前には関係ない」
「なぁ、真堂丸を殺せよ。そしたら鬼達は殺さず見逃してやるぜ」
「お前達は鬼だろ?裏切り、殺戮を繰り返し、人間を不幸のどん底に落とすのが好きなんだろう、俺たち大帝国の様に、ハッハッハ」
「確かに俺たちのしてきたことはそう言うことだ、見た目も人間に忌み嫌われる怖ろしい鬼だ」
「知ってるよ、んなこたぁ」
「なら、心まで鬼になったら本当の鬼になっちまう」
「俺はそうはならねぇ」
「お前馬鹿か、貴様は鬼だろう」
スパアアアアンッ
青鬼の片腕が斬り落とされた。
「青鬼さん」
「ああ、鬼さ。 だが心は売らない」
「まぁいい。死ね」
「俺から見たらお前の方が人間の姿をした鬼に見えるぜ」
スパアアアンッ
「青鬼さんっ」
「やれやれ、どう言うことだよまったく」
鳳凰が怒りを込め囁く。
刀を止めたのは雷獣。
「貴様はどこまで我々を裏切れば気がすむんだ?元大帝国幹部、雷獣」
「お前は雷獣」青鬼が驚き言った。
「鬼神の手下か、貴様も自身の心を選び行動したんだな」
「ああ」
「共に戦うか?」
「ああ、頼もしい」
「しゃらくせぇ、二匹まとめて片付けてやるよ」
大帝国第一精鋭部隊が真堂丸達のいる前線に到達しない理由が三つあった。
理由一、光真組の兵達が食い止めていてくれていたから。
理由二、ガルゥラはこの場所が決戦の地となることをふみ、たった一人無数の罠を仕掛けていた。
ずっと一人で行動してきたガルゥラらしい作略だった。
理由その三、雷獣を慕いついてきた多数の強者達が食い止めていたから。
これら三つの理由により、最悪の事態は免れていたのだ。
ザッ ザッ ザッ
龍童子の向かう先には道来が見えていた。
今道来の立つ場所は戦場の要、真堂丸の空いた場所を道来はしっかりと埋めていた。
道来だけではない、共に戦う太一が道来を助けていた。
そこを龍童子はしっかり気づいていたのだ。
太一ありがとう、お前がどれほど俺に気遣い戦ってくれているかが分かる。
お前は本当に俺を理解してくれている。
誰と一緒に戦うより、お前が一番の相棒だろう。
お互いがお互いを理解し合える関係、物言わず相手の気持ちが手に取るように分かった。
戦いながら、お互いがお互いに感謝をするという、この状況で一見奇妙にも思える感情が二人の心に芽生えていた。
いや、命のかかるこの状況だからこそ、より深く相手を思い、この気持ちになったのかも知れない。
自分以上に自分を理解してくれた、愛し、信じ、大切にしてくれた。
自分はなんと言う幸せ者なのだろう。
失ってから気づくのでは遅い、日常当たり前に在る大切なもの。
当たり前に側に居てくれる存在。
龍童子は一流の刀使い、見抜けぬ訳がなかった。
あいつらがあの場所を防いでいれる功績、道来があれ程の力を発揮できてる理由。
あの小僧だ。
先にあいつを殺す。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーオーー
戦は激しさの一途を辿っていく
そう、時の始まりからずっと歩みを止めることなく、もう二度と戻らない時と言うものが、進み流れていたのだ。
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