155 / 159
~ 仲間 ~
しおりを挟むこの時、納言姫は沢山の町々を周り、人々に今こそ大帝国に力を与えるのを止め、支配されて怯えるだけの生活を今こそ終わらせようと、多くの人々に語っていた。
そしてその言葉に多くの人々が心を傾ける
大帝国にこれ以上支配されてはいけない、我々の生きる権利を取り戻すのだと。
姫を筆頭にその者達は戦場に向かっていたのだ。
その時だった。
パリンッ
納言の近くにあった手鏡に突如ひびが入る。
その時納言はこんな事を思った。
光真組・・・・・・・・・
誠
何故だか、理由も分からず、涙が溢れ出てきていた。
現在
光真組 既に全滅 生存人数0
そして、その瞬間は誠、清正が死んだ時間と同時刻だったと言われている。
「アッハッハ アッハッハッハッハッハ」
笑うのは三國人
「最後に笑うのはいつも俺だ、これで貴様らの勝つ可能性はなくなった」
嘘だろ、一斎まで
太一、しんべえは立ち尽くしている。
足の震えが止まらなかった。
ガタガタガタガタガタガタガタガタガクッ ガクッ
本当にもうお終いなのか?
本当にこの国は大帝国のものになっちまうのかよ……
なぁ、真堂丸
カチャ
残る二人の三國人が刀を握り一斎に近づく。
「息の根を止める」
両手、両足を失った一斎は地面に倒れていた。
すぐさま道来が助けに向かったその次の瞬間
道来、太一、しんべえは泣いた。
「うああおおおおおおおおおおーーっ」
なんと一斎は口に刀を咥えたまま、必死に身体を起こそうとしていたのだ。
「まだ終わってない、まだ決着はついていないんだ、真堂丸との約束を果たすんだ」
両手、両足を失った男は、必死に這いつくばり、口に咥えた刀で立ち上がろうとしていた。
「アッハッハッハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハハッハッハアッハッハ」
「こりゃ傑作」
「達磨(だるま)が口だけは立派に動かしやがる、お前は負けたんだ、お終いなんだよ」
「まだだーっ まだだっ」
身体を揺さぶり必死に上体を起こそうとしていた。
ズバアァアアアンッ
「?」
突如真っ二つになる三國人の一人
「ほぉどうやら先程、お前の足を斬った時、奴も斬られていた様だな、本当に恐ろしい男だな貴様、まぁいい 俺が居れば」
「だが、これにて決着だ」
ザッ
「? 貴様」
一斎を持ち上げたのは道来だった。
「道来」
「終わらせよう、決着をつけるぞ 道来」力強く口で刀を握る様に咥える一斎
道来は両目から涙をこぼしながら頷く「ああ」
「全く愚かな連中だ」ガチャ
その頃 文太、寅次、六吉、良の四人は全力で戦場に向かい走っていた。
ハァハァ さすがにまだ着かないか。この距離がとてつもなく遠く 遠く 感じる。
一刻も早く着きたいのに、どこまでも、どこまでも走っても先が見えない 焦るな 文太 焦るな 必ず間に合うから。
みんなの元に。
目の前に続く果てしなき道
その道の先、殺気を放つ者達。
その距離はどんどん近づいていた。大帝国精鋭部隊の五人、彼らの向かう先には文太達がいる、そして文太達の向かう道の先には彼らがいた。
進めば進むほど、避けられない運命の結末を迎える様に、お互いの距離はどんどん縮まる。
生と死
斬っても斬り離せないそれは、まるで見事な色を織りなすよう、現実と運命と時間、完璧な織物の様な絡まり合いを見せる。
お互いと、お互いと、運命を引き寄せあう様にその距離はどんどんと近くなっていく。
一つ確実に分かっている事、遭遇した瞬間、躊躇なく精鋭部隊は文太達を皆殺しにすると言う事。
文太達の確実なる死は決まっていたみたいだった・・
それぞれの決着
真堂丸は道を確かに守りきった
いや残念ながら正確に言うと五人を見逃してしまった
これが運命を望まぬ方に歪ませたのか。
そして 三國人と道来、一斎の決着
道来は一斎を担ぎ、三國人に向かって行った
だが どうしても
どうしても
実力の差が大きすぎたのだ。
三國人からすれば、今の道来の動きは止まって見える程だった。
道来に非はない、むしろ体力も限界の中、本当に良く頑張った。
三國人と道来、一斎の決着の瞬間
それはいとも簡単だった、三國人にとって道来の胴体を真っ二つにするのはあまりに簡単だったのだ。
そう、全てが止まって見えた程に。
もちろん道来も分かっていた、だが信じたのだ、真堂丸が託したこの男に自身も命を託した。
無論、三國人は甘くはない、本当の警戒する相手それは道来を真っ二つにした後の手足の無い一斎
ザッ 三人は対峙する
まずは瞬殺で道来を真っ二つに、その後の瞬間で勝敗は決まる
その結果は二択 自身も奴らと死ぬか、自身の勝利か、そのどちらか。
ザッ
「シャアアアアアアアアアアッ」
それは瞬間の出来事、三國人が道来を真っ二つにする瞬間、予想外の出来事が起こる。
背後からクナイ
それは最後の力を振り絞り、この時を狙っていた夏目の最後の攻撃だった。
「くたばりな、三國人」夏目もまた信じていた一山、菊一が信じた者達を。必ず希望は見えると。
ビュンッ
三國人は凄まじかった、道来と一斎を警戒しながら、もう避けられぬ背後から来るクナイを、確実に致命傷になる場所を避け受けたのだ。 グサッ
「予定が狂ったが、俺の勝利は変わらない」
この角度なら二人の首をいっぺんに跳ねれる
道来は限界を出し、身体をひねらす
ちきしょおおおおおおっ 駄目だ マニアワナイ
スパアアアアアアンッ
なんと その刀を全身で受け止めたのは
一之助だった
「ぐはっ、良かった最後に力になれたでごんす」
「一之助」
確かに死んでいてもおかしくない傷だった、だが一之助の優しさ仲間への想いが、限界を超えた奇跡を起こす。
命を尽くし 仲間の力になる
ニヤリ
「貴様もまだ息があっただと」
ズバアァンッ
「一之助」
ああ、これであっしも、ようやく家族に会えるでごんすね
お前達 今行くでごんすよ・・・ ドサッ
「一之助ーーーーっ」叫ぶ太一としんべえ
「うおおおおおおおっ」道来の刀が三國人に向かう
キイィンッ
三國人は道来の刀をはじく
違う、本当に危険なのはこっちじゃねええっ。
ビュオオンッ
こいつだ!!
一斎は直前道来に言っていた。
三國人の前で自分を投げてくれと。
決着をつける
ビュオオオオオオオオオオオオオオオオンッ
「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ」
キイィンッ
なんとっ、三國人ギリギリの所で一斎の刀の受けに間に合う。
一斎は地面に叩きつけられた。
しかし、この男は諦めなかった。
「うおおおおおおおおおおおおおっ」
道来最後の一撃
三國人の刀は一斎の刀を受けたので反対側にある
これなら、間に合う
ニヤリ
「残念だな道来、貴様の刀など、足で防げるわ」
なんと言う事、それは強がりではなく事実だった。
だが
ガッ
「何っ?」足に何かが引っかかる
それはなんと菊一の身体であった。
「なんだと、こんな場所にっ」
「邪魔だっ」
ガッ 誰かが三國人の足を掴む
「今度はなんだっ」
それは青鬼の腕、首を無くしてなお、最後の気力で三國人の足を掴んでいたのだ。
「三國人、これはみんなの勝利だ」
「やめろおおおおっ」
スパアアアアアアアアアアンッ
道来の刀が三國人を真っ二つにした。
「グギャアアアアアアアアアアアアッ」
「道来さんっ」 「道来ーーーーーーっ」
みんな
みんな
みんな
やったぞ
みんなの勝利だ。
道来の周りに転がるのは、三國人の死体と仲間達の死体だった。
唯一息があったのは一斎
「一斎しっかりしろ」
「やったな道来」
「一斎、お前のおかげだ」
「これで国は大丈夫か?大帝国の支配は終わるか?姉ちゃんや、人々は笑って生きて行けるかな?」
道来が頷く
「そうか、良かった」
「一斎 お前が止めてくれたんだ」
一斎の瞳は今にも消え入りそうな色をしていた。
うっすらとする瞳、視線が定まらない中、一斎は道来に語りだす
「僕は自分を特別な人間だと思っていた、自分だけは特別な力を神から授かり、普通の人間とは違う、選ばれた人間だと」
「お前達に会い、自身の盲目さにようやく気づいた」
「この世に特別な人間などいない、僕はただ刀の才能が誰よりもあっただけ、他の人間は僕が持たない別の素晴らしいものを持っていたんだ、皆それぞれに違う ようやく分かった」
「全ての人間が皆特別だったって事」
「道来、後は任せ・・・・・・・・」
「また真堂丸とも、道来、君とも試合をしたかっ・」
道来の瞳からは涙が溢れていた。
道来はそっと一斎を地面に横たえ。
まだ戦っている真堂丸の事を思い立ち上がる。
ザッ もう二度と動く事のない仲間達の身体を見た
深々と頭を下げた後
真堂丸の元に向かい出す
「太一、しんべえ お前達はここで引け、後は必ず戦を終わらせる、お前達は生きろ」
道来は走りだす。
「太一 行くぞ、俺たちも」
ズウンッ
「え?」
「すまないなしんべえ、俺は悪い奴だよ」
「自分は道来さんと真の兄貴の元に向かうくせにお前だけ行かせないなんて」
「一生恨んでくれて構わない」
「てっテメェ」しんべえが薄れゆく意識の中、必死に手を伸ばす
お前には生きて欲しいんだ
文太の兄貴と一緒に生きろ
ズサッッ
ザッ 太一もすぐに真堂丸達の元に向かいだす。
その頃、真堂丸の守る道の先の崖下に六つの死体が転がっていた。
ヒョオオオオ ヒョオオオオーーーーーー
冷たい風の吹きつける
遥か
崖の下
転がっている死体
その死体は
大帝国精鋭部隊の五名ともう一人
それは
獣に育てられた男、狼泊だった。
真堂丸と文太が出会い最初に戦った強敵
獣に育てられ、真堂丸に殺されるところを文太に救われた獣の様な人間。
初めて自分を理解してくれた人間、文太
自分の為に泣いてくれた、命を救ってくれた。
その男は動物の様に従順で一途。
一度の恩をあれ以来ずっと忘れる事は無かった。
なにか文太の役に立ちたいと戦場に向かっていた。穴を掘る者達を見つけた時、すぐさまその穴を通り、埋め、後を追っていたのだ。
その先に文太の匂いを感じていたから。
崖の下、誰にも知られず、気づかれない中、一人彼は戦った。
たった一度の恩を胸に握りしめ。
たった一人で戦った。
そして死んでいった。
誰にも知られず
横たわる狼泊の表情はとても安らかだったと言われている。
0
あなたにおすすめの小説
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
対米戦、準備せよ!
湖灯
歴史・時代
大本営から特命を受けてサイパン島に視察に訪れた柏原総一郎大尉は、絶体絶命の危機に過去に移動する。
そして21世紀からタイムリーㇷ゚して過去の世界にやって来た、柳生義正と結城薫出会う。
3人は協力して悲惨な負け方をした太平洋戦争に勝つために様々な施策を試みる。
小説家になろうで、先行配信中!
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる