冬馬君の秋と冬

だかずお

文字の大きさ
53 / 72

『スーのクリスマスイブ』

しおりを挟む



どっ どーしたんだ?スーのあの表情は?

あまりに気力の無い姿に一同驚愕す。
さすがのサーも、スーに「どうしたの?」と聞く勇気は持てず。

そんな中、多網が動く「プリクラ見せて」ゲッソリ痩せこけたスーが、多網に力の抜けた手でプリクラを手渡す。

「ぬおおおおおおっ」プリクラを見た一同はスーが落ち込んでいる理由をすぐに理解した。
プリクラには文字が描ける様になっているのだが、その文字にこんな事が描かれていた。
その前に余談だが、プリクラの写真の目は何故あんな大きく、スッゲー不自然になっているのだろうか?
あーゆう顔が良いと思ってつくられているのだろうか?謎なのだ。
正直、不自然で不気味である。
話はそれたが、プリクラの写真にはこう描かれていた。

ずっと友達でいましょうね。

ああ ああっ スーは失恋してしまったのか?これは決定か?

なんだか胸が切なくなった冬馬君
サーもスーにかける言葉が見当たらない。
でも、まだどうなるかは分からない。
立て、立つんだスー!!
まだ諦めるには、はやいんじゃないのか?

きみ子がスーに小声で「スーまだ挽回出来るよ」

スーは小さく微笑んだ「ありがとうきみちゃん、もう良いんだ」

どうせ僕なんか、何をやってもうまくいきっこないんだ、僕の恋愛が成就する訳なかったんだ。
分かりきった事さ、僕なんかが好かれる訳ないんだ。
スーは必死に涙を堪えていた。
ああ、なんでこんなに胸が切ないんだろう。
小夜さんと出会ってからの思い出が頭をよぎる。
きっと今日で、小夜さんとのやりとりも最後になるかも知れない。

そんな友の姿にサーも泣きそうになる。
馬鹿スー、君は立派じゃないか、誰よりも優しいじゃないか、まだ諦めるなよ。心の中叫んでいた。

「スー大丈夫かな?」清香やアミまでも心配している

大喜が冬馬君に耳打ちする「スーをなんとか元気づけてあげないと、このままじゃ」

「うん」

駄目だ、このままじゃ ずっと諦めっぱなしの僕じゃないか、ええい、ここで立てなきゃ僕はずっといじけたままだ。
変えるんだ人生を、僕だって駄目な僕にだって、伝える勇気くらいはあるはずだ。
僕は昨日までの自分にサヨナラをする。

バッ

その時だった、スーは予想外の行動に出たのだ。

突然立ち上がり、小夜の前に立つ。

「すっ スー 」一同はまさかの展開に驚きを隠せない

まさか これは・・・

告白

冬馬君は拳を力強く握りしめた。
頑張れ、頑張れスー、頼むうまくいってくれ。
その光景はまるで自分が清香に告白するかの様にダブって見えていたのだ。

「小夜さん、僕はなんの取り柄もない駄目な人間です、でも会った時から、ずっ ずっと、あっあなたの事が好きでした」

みんなに緊張が走る

「ぼっ 僕と けっ けっ けっ けっ けっ けっ」

中々先に進めないスー

サーや子供達は心の中みんな応援していた。
スー頑張れ、スー頑張れと。
多網は興奮してプップッこいてしまうほど(いつもの事じゃろ)

カッ スーの目が見開き、力強くなる。
テンパりすぎて異様な表情なのだが必死なのだ、本気なのだ、それを誰に馬鹿にする権利があると言うのだ~~?(なんぢゃ)

うおおおおおおおお~~っ友よ、ぶち進め~~~

「けっ けっ けんすいして、じゃない、結婚して下さい」

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~~っ言った~

友よ よく頑張った。心の中、泣き叫ぶサー。
しゃー しゃー しゃー
冬馬君も泣きそうになっていた。
すごいスー、勇気出したんだね、凄いよスー。
きみ子も両手拳を力強く握りしめ、鼻息荒く見つめている。

小夜さんの反応を見つめている大喜、清香、アミ

ハッ

スーの顔がなんとも言えない表情になる

どうしたんだ?

一同もハッとする。

なんと小夜が涙をこぼしていたからだ

なんだ?嬉し涙?

分からない

次の瞬間だった。

小夜は突然頭を下げる

スーは、まだ、どちらとも取れない小夜の反応に心臓が止まりそう、破裂しそうで、呼吸の仕方すら忘れていた。 ハッ ハッ ヘッ ヘッ

うへっ

次の瞬間、スーも泣いていた。

頭が真っ白になった

クリスマスイブの遊園地

ライトアップされた夕暮れ時

まるで降り積もる雪の様に、頭の中は真っ白になる

何故なら、確かに聞いたから

僕はあなたの返事を確かに聞いた

小さくあなたが囁く様に、か細い声で言った言葉を僕はハッキリと聞いたんだ。

冬の寒さだけが、身体の中に残っている様だった。

いつまでも いつまでも その場を動かなかった。

サーと冬馬君も涙していた。
すぐに泣いてる顔を隠した。

分かった

分かった

気持ちは分かったから

涙を拭いて

だからもう顔をあげてよ、小夜さん

ちゃんと気持ち聞いたよ



ごめんなさいって聞いたよ



スーはそっと小夜さんの肩を手で叩き
「いきなり困らせてしまって、すいませんでした」

大喜や多網、きみ子、清香やアミも寂しそうな顔を浮かべていた。
清香やアミは、小夜さんとは今日会ったばかりだが、小夜さんの人柄が好きになっていた。
だからこそ、スーとうまくいって欲しい、素直にそう思っていた。

クルッ
「てへへ、なんか重たい空気にしちゃったなぁ。クリスマスなのにみんなごめんね」

何を言ってるんだスー

立派だったよ、勇気を出して気持ちを伝えた。
結果はどうであれ、スーは立派だったよ。

その後は、みんな普通通りに話していたけど、少しスーと小夜さんはぎこちなく見えた気がした。
スーは今は平静を保ってるけど、一人になったらきっと色んな事を感じるんだろう。

昨日まで当たり前に続いていた関係が変わっていく

寂しく切なくもある

出会いと別れ

お互いの人生

お互いの気持ち

それぞれの道や気持ちがあるから、それは仕方がない事

だから、せめて笑ってお別れをしてあげたい。

君の幸せを願って

新しい一歩を踏み出せる様に

優しく背中を押してサヨナラを

小夜さんを駅まで送ってあげ、二人の邪魔をしない為、スーと小夜さんを残し、みんなは車の中にいち早く戻る。

「小夜さん、短い間でしたが楽しい思い出をありがとうございました」

「こちらこそ、とけたみさんと出会えて良かったです」

短い沈黙が冬の冷たい空気の様に、二人を包む

「とけたみさん お元気で」

ズキインッ

その言葉が胸に染み入る様に重く響き渡る

もう 会えないんだ お別れなんだ

そんな思いが頭をよぎり出す

「小夜さんもお元気で」

「はいっ」
小夜さんの笑顔はとても美しく、自分は小夜さんの事、今も好きなんだと自覚した。

「さよなら」

男は小夜さんの後ろ姿が見えなくなってようやく

冬の夜に泣き崩れた

車内から、みんなはいつまでもそんなスーを暖かく見守っていた。

スーが車に戻った後、清香とアミの家に二人を送り届ける。

別れ際
「スー元気出してね」

「ありがとう二人共、なんだかせっかくのクリスマスにごめんね」

「ううんっ」

「清香ちゃん、アミちゃんまたね」きみ子が手を振る
多網がケツを振る(なんじゃ?)

冬馬君と大喜も「また遊ぼうね」

「うん、良い年越しをね」二人の笑顔が妙に胸に残る、きっとスー達の別れを見たからかも知れない。
ずっといつまでもこうして、変わらず会っていたい。
また遊びたい そんな事を思った。

そしてサーの運転する車はスーの家に。

「みんなも本当に色々ありがとう、ふられちゃった」

「また出会いはあるさ、だからあんまり落ち込まないで」サーが言った。

「ありがとう」

「みんなもまたゆっくり遊びに来てね、クリスマスパーティー誘ってくれてありがとね」スーがみんなに手を振る。

「うん、また遊ぼうね、じゃあねスー」

ブゥゥーーンッ

みんなを乗せた車が去った後、スーは暫く一人表に立ち尽くしていた。
あんまりうちに帰りたくないな、親にもなんて言おう。

家に帰ると、両親が優しく迎えてくれた。

「ただいまー」

実はデートが決まった後、スーは自宅に嬉しさあまり電話していたのだ。
「今日小夜さんとデートして帰るからと」
なんでそんな自慢をしたんだ己はと、スーは後悔していた。

両親は相当気になっている様子
「どうだったんだ?」

「まぁ、普通だったよ」スーはそう言い二階にそそくさと上がって行く。

「ご飯は食べたから、もう寝るよ おやすみ」

ガチャ

部屋に入り 

ため息をついた

ピッ 
携帯を開き、今まで小夜から届いていたメールを見て男は泣いた。

二人の楽しかった、沢山の思い出を思って泣いた

自分の夢が叶わなかった事を実感し、泣いた。

もう会う事も、メールが届く事も無いことを知り、泣いた。

スーの涙は朝まで止まる事は無かった

ちょっぴり切なく 甘くほろ苦い スーのクリスマスイブ。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...