冬馬君の秋と冬

だかずお

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『冬の夜に』

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悪夢のサンタクローサーデーの日の夜、子供達はまだ多網家に泊まっていた。
こういうことが出来るから長期の休みは嬉しい。
明日の学校や予定を気にせず好きな様に過ごせる日々はもう最高である。
「いやぁー予定を気にしないで過ごせる日々は、解放されてる気分を味わえるんだよな」凄い着眼点の小学生冬馬君が言う(凄いかは謎だが)

「うん、パラダイスに居るみたい」大喜も長期休みのこのシチュエーションを憂いていた。
そんなパラダイスの真っ只中、布団の上で語り合う子供達の気分はまさにリゾート満喫中真っ只中の気分なのだ。
「話はずむ」タバコをふかすマネをして大人ぶる多網 
プカァ~~ッ
「それにしても、今朝のサンタクローサーには本当に驚いたね」きみ子は大笑い。

「本当、サンタクローサーって」子供達は大爆笑だ。

多網と、きみ子はあんな怪人と対峙したのに新聞にも載らないとプンスカ、何故かプップこいている。
それを見てまた、みんな大爆笑。
「二人共さっきから、こき過ぎだよ」
まさに多網の部屋は歓喜に包まれていた。

だが真逆のシチュエーションにいる男一人
子供達の話し声のする部屋の前を通った、サー。
良いな~子供達は明日も休みで、僕は明日から5連勤だ。小さなため息ひとつ。
まさかの12月31日まで仕事である。
五連勤前のサーのテンションは低かった。
「今年は正月気分はあんまないなぁ~」
「はやく次の休みこないかな~」サーは、もし明日から10連休だったら自分は何をするかを想像して気分があがっていた。
「寒い冬、サーはコタツで丸くなる、みかん食べて、家でゴロゴロ」ニタァー 「猫は良いなぁ、ノーストレスかなぁ?」猫と自分を比較し、羨む男。

「明日から忙しいんだよなぁ、仕事場で怒られたくないなぁ。明日は朝9時から夜の10時までかぁ、長いなぁ~30分アニメ何回ぶんだろう?」と、訳のわからん事を考える。

更に考える。五連勤の初めは、今日は初日だぁーと倒れながら這いつくばって進む気持ち、この段階のテンションはゾンビサーで、二日目くらいには、まだ後三日もあるのかぁと、少し休みと言う希望を見つめながら起きあがりそうになる通称、起きあがりこぶしサー(なんぢゃ)で、三日目くらいには、後二日だ頑張れサーと転びそうになりながらも必死に休みに向かって歩き進むカタツムリサー、四日目には残り後一日と顔を真っ赤にして必死に耐える真っ赤っかサー、五日目はヤッター明日休みだぁと、朝からハイテンションのパワフルサー。これはサーの一週間の気分を適当に表した縮図である。

「あーまだ一日目すら終わってないじゃないか、今はまるでジェットコースターの坂を登ってる段階じゃないか~、一番気分が上がらない時だ」

すると子供達の部屋から笑い声が。
みんなは明日の朝も起きたい時間に起きれば良いんだろうなぁ。
明日みんなは何してるのかなぁ?
明日も明後日も休みで、仲良いみんなで一緒に過ごす夜。
サーは自分の指をくわえてこう言ったそうな。

「うらやまサー」(うらやましぃ~)なんでもサーをつける自己主張の強い男。

だが、子供達がそんなシチュエーションでいるのは、何だか嬉しくテンションが上がったのだ。
僕も仕事を楽しんでやれるように明日はすこし楽しい事でも探してみよう。
見方一つ、考え方一つで楽しめるかも知れない。
工夫するんだ、私は賢いサーではないか。

彼は仕事中ずっと、今頃子供達は何をしてるんだろう?と空想にふけり楽しそうだなぁとニタニタ笑いながら気分を上げる事にする(凄い案だ)

つくづく働くのが嫌いで、一人自分の時間を過ごすのが好きな男サー。働くのが嫌いと言うよりかは、彼は人付き合いが苦手なのである。
仕事内容での肉体的な疲れより、人付き合いの気遣いの方が疲れるのだ。特に何か言われると誇り高きサーのプライドがくすぶりイラつくのである。
「今日は、もう明日の仕事の為に早めに冬眠するか」
仕事前はたっぷり眠らないと気がすまないのだ。

「今の時刻は夜の9時」何度も確認する。明日は朝7時に起きたとして、何時間寝れるかなぁ?
10時間 ニタァァァア~~、彼はアガッタ。
僕にはまだ10時間も時間があるのだ。
「やった、やった」嬉しくなる。

ゴローーン 横になった、この瞬間がたまらない。
すぐにまた時間を数える、今9時05分だから眠れるのは後9時間55分、あっちゃー10時間をきったかぁ~。

「この貴重な時間を寝るだけに使うのも、もったいないんだよなぁ」実際まだ眠くないのだ。

「ああ、いつまでもこの時間が続かないかなぁ、僕も子供達の中に混ざって遊びたい気分だよ」

寝ちゃうと気づけば朝になってて、起きる時なんだよななぁ。
寒い冬は起きるのが大変、一人ブツブツつぶやき始めるサー。

一方子供達の部屋では。
「いやぁー冬休み有難い」ニンマリきみ子

「本当みんなで過ごせるしね」冬馬君も本当に嬉しかった。明日もみんなで一緒に過ごせると。

そんな声を聴きながらサーは癒されて空想していた。
自分もあの部屋に居るかの様に「てへへ冬休み最高だね、みんな僕も明日も休みだよ」緩む口元

そんな事を考えるうちに突然社会制度に無償に腹が立ってくるサー。
生きる為に金稼ぎ、人生の大半は生活費の為、仕事に追われ、稼いだ金は国から訳の分からん請求され、その金で政治家は無駄金ばかり、何だか馬鹿らしいよなぁ、人間の作った貨幣制度に人間自身が縛りつけられてんだからなぁ。金稼ぐ為に生まれたんじゃないサー!!

サーはそれからこんな事を思う、でもそんな状況の中でも自由に自分次第で何でもできるのかぁ、いつまでも愚痴で終わらせる僕じゃない。
明日から本気でサンタクローサーに転職しようか考えるサー。(やめとけ、3分でクビになる)
そしたら翌年からクリスマスはハロウィンと化すだろう。

「メリークリスマサー」

その頃、あの男は散歩していた。

ヒュオオオオオーー、ビュワオオオオオオー

スーである。

生まれて初めて女性と親しくなった、しかしラバァーは去り、スーは落ち込み灰と化していた。

「小夜さん」
男は小夜の「さ」文字を聞くだけで泣きそうになる。

そして何故か、創った事も無い、詩を創り始めたそうな。
こちらがスーの詩である。

数日前 僕と君はハンバーガーとピクルスだった。

それが ほんのひと時の間に水と油に

おお 麗しき 愛しの薔薇よ

今夜も君の残した余韻がワインの様に心に残る

君の笑顔を思い出す

空はまるで一輪の花

君の笑顔がそう変えた

僕の心は淡い水色模様

モノトーンの一週間がカラフルに

おお 愛しのマイラバァーは去り

僕の心はうんち色

うんちも真っ黒なうんち色

ああ あの日々をもう一度

以上である。


スーは冬の夜空を見上げた。

「綺麗な空だなぁ」空はこんなに綺麗だったんだ。
生きてるって色んな気持ちを感じるんだなぁ。

グビッ 泣きながら安い缶チューハイを飲む

周りを歩く人たちは泣きながら缶チューハイを飲む男を冷ややかな目で見ていた。
「なにぃあの人、ヤバいんだけど」
しかし、今のスーには関係ない。

「冬の夜空はまるで君の様だ、小夜さん」
男はそう言い「うううっ」とまた泣き出した。

すると誰かが肩を叩く

振り返るスー

後ろに一人のおじさんが

バッ

差し出されたのは一枚のハンカチ

「これ良かったら、涙を拭うのに使って下さい、感じる気持ちを素直に感じ尽くす、素敵な事です」

そんなおじさんの優しさが妙に心に響く

冷たい人ばかりではない、優しい人も沢山居るのだ。
すべて対極があるから、違いを知れるのやも。どちらも必要不可欠なのかも知れない。
一瞬、そんなどうでも良い様な事を思い、スーは頭を下げ、ハンカチで止まらない涙を拭う。

スーは一人、浜辺に座り夜空を眺めていた。
普段なら絶対にあり得ない事である、夜の海に一人で来るなど、怖がりなスーには出来ないからだ。

今やお化けも寒さも、忘れているのか?気にならないスー
失恋はある意味、男を変えていた。

しばらくして男は立ち上がる

グスッ

寂しいなぁ、たった少しの期間お互い、出会い、会ったりしてただけじゃないか、なぁに別に孤独になった訳じゃない

グスンッ

うううつっ ううっっ
 
男は涙を流した

寂しいなぁ どうしてこんなに一人ぼっちになってしまった気がするんだろう?
たった一人、あなたに会えなくなってしまったくらいで。

僕はとても孤独を感じる

その時、携帯にメールが。
ピッ それはサーからだった。

スー大丈夫?絶対にまた良い出会いがあるよ!!
僕も手伝うからさ、いつでも声かけて。 また近いうちに飲みにでも行こう(^^)

うううっっ   ヴヴヴウッ 友の気遣いに泣いた。

ありがとうサー 僕を心配してくれてたんだね。

男は自身の腕で涙を拭い、歩きだした。

小夜さん幸せになるんだよ、僕もいつかこの出来事が自分にとってポジティブな経験だったって思えるくらいに立派になるよ、僕も歩きだすんだ。


スーは前を向く


さよなら 小夜さん そしてありがとう


楽しかった あの日々


美しい波の音と、冬の星空が、優しく包む様 スーを見守っていた。男は冬の夜、再び歩きだした。



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