冬馬君の夏

だかずお

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『虎鮫代ちゃん』

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ミーン ミン ミーン

お菓子を食して満足したのか、虎鮫代ちゃんは言った。

「外もいいね パネ パネ」

外は晴天。

「じゃあ、みんなで外に行こう」
冬馬君が言った。

「賛成~」

みんなは外に向かうことに。

「おじゃましました~」

ミーン ミーン ミン

何度でも言おう。
あーやはりこの蝉の鳴き声、夏を感じる。

みんなで夏空の下の散歩
これまた大好きなことだった。
見上げる空に青い海がひろがっているよう、そんな晴天の日。

川沿いを歩いている。

「あー夏休みってほんとっ最高」ときみ子

「うん最高、でもあちー」と虎鮫代ちゃん

多網は鼻くそを指で丸めて遊んでいる
クネクネ「気持ちいい、ねりけしみたい」とニタニタ笑っている。

「なんだか、喉かわいたなぁ」と大喜

冬馬君は、はっと思い出した。
「そう言えば、あのお兄さんどうしてるかな?」
この川沿いのコンビニで働いてるのだ。

「知り合いがいるコンビニがあるんだ行こうよ」と冬馬君

「えっ、誰?」と大喜

「ほら、去年の夏告白を手伝ったあのお兄さんだよ」

「ああ、あの人か」

「えっ、イケメン?」ときみ子

ペロリ舌が一周、虎鮫代。

「うーんどうだろう?普通メンかな」と大喜

「硬麺?」と多網

「細麺」と何故か虎鮫代ちゃん。
ラーメンを思い、舌が二周した。

「スープ濃いめ?」ときみ子

「油少なめ」と多網

話はここいらであまり分からなくなった。

ミーン ミン ミーーーーシュ
蝉が一匹木から落ちていった。

「あっ、あそこ」

みんなはコンビニに到着し、中へ。

「あっ、お兄さん」

「あっ、冬馬君、久しぶり」

「こんにちはー」皆で挨拶。

虎鮫代ちゃんの舌はなんと六周程まわっていた。
ペロリ ロリ ペロッ。

その時、虎鮫代ちゃんがきみ子になにやらコソコソ耳打ち。

横にいた冬馬君は気になり、耳をすました。
耳うちのわりに、声はまる聞こえだったのだが、聴こえた言葉は。

「アパパネ、パネ アパ アパ ネパ」だった。

一瞬耳を疑ったが本当にそう言っていたのだ。しかも言ったのはそれだけである。

きみ子は頷き、笑った「ふふふっ」

きみ子よ、何故それで理解できる。

すると、お兄さんが
「みんな、今期間限定でかき氷やってるんだ、ご馳走してあげる」

「えー良いんですか、やったあー」
子供達は大喜び

「ありがとう、ございます」

みんなでレジに並び
お兄さんに何味が良いか伝えていた。

すると、きみ子が「お兄さんさっき、虎鮫代ちゃんが耳打ちして言ってたんだけど」

冬馬君はすぐに分かった、あっ、やっぱり思った通り、虎鮫代ちゃん、お兄さんのことが気に入ったんだ。
冬馬君はニンマリした。

虎鮫代ちゃんは物凄く慌てていた。
えっ?何故あわててたか分かったって?

何故なら両手が上下に揺れ、舌が出たり引っ込んだり出たりしていたからだ。

「ちょっと、きみ子それは、さっきここだけの話って耳打ちの時、言ったじゃん」

耳打ちの時のあの意味不明の短い言葉にそんな意味まで含まれていたのか、冬馬君は驚いた。
虎鮫代語、奥が深い。

きみ子はつづけた
「虎鮫代ちゃんさっき、耳打ちして、あのかき氷味にコーラ味があったらなぁってずっと言ってたんだよ」

えっ、まさかそんな話だったのかあ。
冬馬君はびっくり、が、虎鮫代ちゃんをみると、
「えっ、違う」と言ってずっこけていた。

あー絶対にきみ子より自分のほうがあの言葉の意味を理解していたということに気づいた瞬間だった。

冬馬君は考えた。
と言うことはコーラ味が食べたいのは他ならぬ、ただのきみ子の意見なんだろう。
ぷっ 冬馬君は笑ってしまった。

「なに、きみ子わたしの言ったこと、全然理解してないじゃん、わたしがさっき言ったのはソーダ味じゃん」

冬馬君はずっこけた。
きみ子は意外に理解していた。

と言うか、そうやって今みたく普通に喋ろうよ・・・

「あはは、ごめんその味はないんだ」とお兄さん。

「あっ、いいんですパネ 気にしない 気にしない」

僕らはお兄さんにかき氷をつくってもらい
「本当にありがとう、ございました」挨拶をして外に出た。

シャリ シャリ シャリ

「かーっ、最高」みんな大喜び。

「あのお兄さん、良い人だったね」と、きみ子

「冬ちゃん、今度あったらお礼よろしくパネパネ」

意外に礼儀ただしい?

「うん」

みんなで川べりに座ってかき氷を食べていた。
これまた、至福のひと時だった。

あー最高

その時であった。


冬馬君は見た


見た


見た


見た



見た



虎鮫代ちゃんがうんこの上に座っているのを。



こっ、これは言いづらい。

まさか、虎鮫代ちゃんうんこの上に乗っかっとるよとでもちょっとお茶目に言えばいいのだろうか?

それともちょうど今、ケツでうんこ退治したよ。だろうか?

と言うか、座った瞬間 気付こうよ。

その時の虎鮫代ちゃんの話題はこうだった。
「私、結構綺麗ずきなんだぁ」

その時、なにか匂ったのだろう。
大喜がキョロキョロしていた。
そして、見てしまった。

うんこをケツで踏み潰してる、虎鮫代ちゃんの姿を。
大喜の顔は途端に真っ赤になり、噴火しそうになった。
「ぷっ、ぷぷーっ」
顔をかがめ隠した大喜。

冬馬君もそれを見て、下を向いた。
やっ、やばい。

その時だった
「あっ、空見て 気球だー」と虎鮫代ちゃん

しかし、今はそれどころではなかった。

気球より、あんたの尻の状態のが気になる。

「わーい、気球 気球 気球」はしゃぐ虎鮫代ちゃん。

大喜は冬馬君に目を合わせてきた。
そして真っ赤っかな顔で指さした。

冬馬君も知ってるよと頷いた。

多網が顔が真っ赤な大喜を見て「インフルエンザー」と笑っている。
多網はうんち踏んだ虎鮫代ちゃんに気づいていなかった。

その時

きみ子は見た



見た


見た




見た



虎鮫代ちゃんのケツの下のうんちを。


きみ子はこう思った。
やっ、やだ、虎鮫代ちゃん うんちもらしちゃったんだ。

おっ、おいどんな見方だ。

それで、気球、気球ってあっちに意識を向けさせようとして・・・
友のピンチに友情を大切にするきみ子が立ち上がる。

「みんなー見て 空、空、空 地面より空をみようよー」
何とも不自然であった。

「わーまた一個気球増えたー」舌を回し上機嫌な虎鮫代ちゃん。

多網が下を向こうとしたのをきみ子が気づき、気球を指さしこう言った。

「見て、見てあの、お空のうんち」

「ひゃーあわわわ」まっ間違えた

冬馬君と大喜は噴火すんぜん。
「ぶぶーっ」顔は真っ赤。

「アパパネ、きみ子なにがうんちよ汚ないなぁ、私たちにうんちは似合わないぞ」

あんたのけつの下、うんちが下敷きになってるんですけど。

きみ子は漏らしといてなによと、つっこみたかったが、ここまで徹底した演技で隠してると思った虎鮫代ちゃんを思い、感動して泣きかけた。

ぜったい、誰にも知られないようにしたるけぇのぉー。
あたいが、うんこもらしたのばれないようにしたるけぇのー。

きみ子は思ったこの三人を向こうにいかせたら、ばれずに処理できるのではと。
「虎鮫代ちゃん、ちょっと私たちあっちに行ってくるよ」

虎鮫代ちゃんはすかさず言った
「なんで?わたしも行く」

きみ子は思った、あーバッキャローが せっかくチャンスつくってるのに、どうして分からないの?
それにその糞まみれでどう歩くって言うの?

すると多網が「鬼ごっこ」

ひょえええええ

きみ子、冬馬君、大喜は驚いた。
まずい、それはまずい。

虎鮫代ちゃんは言った
「面白いやろう」


バッキャロー。

あんたはもらしたのを皆に知らしめたいのかぇー。
きみ子はこころの中うなる。

まっまさか?
もう半ばあきらめ、開ききっているの?
きみ子の額からひとすじの汗が垂れ流れた。

むむむーっ。

その時、虎鮫代ちゃん

顔が真っ青
どうやら、自分のケツの状態に気づいてしまった。
さすがにテンパる。
まっ、まずいぞこれは!!

その瞬間、虎鮫代ちゃんは石化した。
石になって、そこから動くことも言葉を発することもなかった。

きみ子は知っていた。
これは虎鮫代ちゃんの緊急避難方法。こうなると、人前で動くことはない。


「さっ、帰ろう」ときみ子

「えっ、虎鮫代ちゃんは?」と小声で冬馬君。

きみ子は言った
「帰ろう」

僕らは虎鮫代ちゃんを放置して帰った。

帰り際、振り返る虎鮫代ちゃんはダビデ像のようになっていたという。


めでたし、めでたし。


ミーン ミン ミン ミーン~



暑い夏の日の夕暮れだった。


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