エンゲージゲーム 事故物件王子の新しい婚約者は、魔王のようです。

ミツユビナマケモノ

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エンゲージゲーム 事故物件王子の新しい婚約者は、魔王のようです。

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 四の五の言っている場合ではない。このままでは本当に命が危うい。
 ようするに、口説くなりなんなりして、落とせばいいのだろう。
 そう腹をくくり、アルファレドは敵を攻略する作戦を考えた。
 とりあえずベタな手だが、贈り物でもして気を惹こうと思い立ったものの、問題がひとつ。大公の好みがまったくわからない。
 回りくどい手段をとって調べる余裕はないと判断し、当人に直撃すると、
「欲しいもの? 別にないが。必要があれば買うし」
 との答えが返ってきた。
 そりゃそうだ。魔晶石の流通を握るランシエナの主の財力は、そんじょそこらの貴族など足もとにも及ばないし、なんなら近隣諸国の王室より金持ちだ。金で買えるもので欲しいものがあれば、我慢も躊躇も必要ない。
 もっとも大公は流行を追っかけて、社交シーズンごとにワードローブを総入れ替えするタイプには見えないから、その手の散財には無縁だろうが。
 それでも、なにかないか、と食い下がると、大公は少し考え、
「是が非でも欲しいわけではないが……」
 と前置きしてから、希望の品をいくつか挙げた。
 曰く、魔剣アゾット、ケルヌンノスの杖、解呪の指輪ディスペル・リング魔動兵ゴーレム設計図版、失伝技術ロスト・テクノロジー全書、蘇生秘法書、等々……。列挙された品々にさっぱり心当たりがなかったので、ためしにアゾットなる魔剣について聞いてみた。
 大公の説明によると、アゾットは昔、偉大なる錬金術師が携えていた剣で、錬金術の奥義が秘められているとか。世の錬金術師垂涎の幻の品だが、何年か前、南方の交易都市で発見され、真贋のほどは不明ながら、大層な高値がついたらしい。どれほどの値段か念のため確認したところ、ちょっと大きな城が三つ買える金額ときた。
 そんな国家予算規模のもの、買えるか。
 他の品々も似たり寄ったりのシロモノで、財布をはたいても到底ムリ。ちなみに王太子から王子に格下げになった時点で、アルファレドの手当は大幅に削られている。
 間違いない。大公はドレスにも宝石にも興味はないが、歴代の婚約者の中で一番金のかかる相手だ。もし金で懐柔するとしたら、だが。
 というわけで、プレゼント作戦は早々にボツ。
 ならば、こまめに顔を見せれば、そのうち愛着を抱いてくれるかもと、決死の覚悟で執務室を訪ね、ちょいちょい書類の整理などを手伝いつつ、大公がどちらを向いても、その視界に居座ってニコニコ顔を心掛けたのだが。
 半日とたたないうちに大公が眉を顰め、呟いた。
「……なにか景観がうるさい気がする」
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