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錬金術(カードゲーム)始めました編

ストーカーの矜持!!!

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 ー 錬金術同好会 保健室 1週間後 ー

 
 カード付きウエハースの企画から暫く経ちススは計画書を幹部級の人員に
電子メールで送信していた。


 「さて、今回は誠に不本意ながら外部
・・・・といっても私の管轄下の人材を使います」

 
 1人で何とかしようとして倒れたススは他人に頼ることをようやく覚えた。


 「一般企業ではコミュニケーションの観点から
爪弾きにされるワンマンアーミー。

 そんな彼女たちですが私の懐刀と言いますか、そのぉ・・・」

 
 「何や?ススにしては歯切りが悪いな」


 アオイが疑問を浮かべる。


 「実は「実は私、ヘルメス・スラーがニコラスちゃんの母親!!!」


 突然会話にカットインしてきた存在は保健室のベットのカーテンを
しゃあああと勢いよく開け姿を現す。

 
 ススと同じ赤い髪でおでこと両肩にスマホを装備したスーツ姿の不審者。

 「ゲッ!なんでここにいるのですか!!!

 この学園は外部侵入者立ち入り禁止のはずです!!」


 「あー、スス君、私が招待したんだ。

 多額の入学料を支援して下さったスポンサーにこうして治療をして
収入を得ている。まぁ副業ってやつだ。

 ちなみに学園長の許可は取ってあるぞ?あはははは!」


 スス・アオイ・ニャラケル (自由すぎませんか!!!)


 保健室の先生はあいも変わらずフリーダム。



 「資料は全て読ませていただいた、っと失礼。

 私はヘルメス・スラー、伯爵財閥4幹部にして”A”の称号を持つもの。

 そして・・・・ニコラスちゃんとニャラケルちゃんの母親!!!」


 「もうニャラケルの情報まで仕入れていましたか、
腕は落ちていないようですね」ドン引き

 
 ヘルメス・・・・ススの母親は許可が下りた日以外でもちょこちょこ
学園に侵入し娘を監視もといストーカーをしていた。


 「初めましてですね、僕はニャラケル。

 アオイママとススパパの子供と称せばいいですか。

 よろしくお願いしますよ?ヘルメス”おばあちゃん”にゃひひひひ」


 
 意表を突かれたヘルメスはしばらく硬直する。

 ニャラケルは人体錬成で創られた存在ではあるが
家系図的に言えば祖母に該当する



 ヘルメスーーーーー?
       |
       |
      ニコラス (スス)ーーーーーアオイ
                 |
                 |
              ニャラケル


 親への反発からか結婚しない宣言をしていたススがいつの間にか
結婚し子供を作っていたとなれば驚くのも無理はない。



 「とりあえず10万あるからこれでゲーム機でも買うがいい」スッ


 
 「なにおばあちゃんムーブしてるんですか!!!

 突っ込む所はそこではありません!!!

 あと教育によろしくないのでそのお金は下げてください!!!」



 「なんか嫁姑戦争みたいやな」ドン引き


 スス・ヘルメス 「「そんな年じゃないし!!!!」」
 

 ポケットマネーからの現金を拒否されたヘルメスは仕方なく引き下がる。

 ススの親ということもありツッコミも多少の心得あり。


 「で、そこの少女がニコラスちゃんの結婚相手。

素晴らしい鳩胸だな」

 
 「ええと、ウチじゃなくてワタクシは帆帝ほてい アオイ。

女なのですが・・・・」


 「なんと!!!ではニコラスちゃんが男!!!!!」
      

 「アンタは何年私の母親やってたんですか!!!!!」


 ススは別に橋の下から拾ってきたわけではない。



 「冗談だ。してアオイちゃん。ニコラスちゃんの何処に惚れたんだ?

 返答によってはここで処分する!!」


 ヘルメスは魔法で出来た風の刃をアオイの首筋に向ける。

 しかしアオイには恐怖心はなかった。

 ここで認められなければススと共に歩む資格はない。

 ならば全力を出しヘルメスを説得する勇気に出力を回した。



 「・・・・きっかけはワタクシの両親の私利私欲と
スス伯爵の人体錬成装置。

 
 両親から捨てられて人体錬成体のワタクシは家族として迎え入れられた。


 ワタクシはもうどうしようもなく自殺を図った。

 けれどススが救った
・・・・いえロープが首に絡まり助けを求めただけかもしれませんが。

 死とは痛く苦しいものだと学びました」


 「人生を投げ出すようなやからにニコラスちゃんは渡せぬ」



 「ええ、人体錬成のチカラを以てすればワタクシの上位種など
簡単に作れるはず、けれどススはワタクシを選んだ。

 魔法の才能があるという理由でしたがイマイチ腑に落ちないのです。

 本物であるワタクシを見殺しにすれば自分好みの”帆帝アオイ”を
錬成できたはず。


 その答えを知りたいのと、最適解に至れなかった不器用なところに
恋愛感情に近い何かを抱いたのかもしれません。



 もしススにふさわしくないと思うのでしたらワタクシの首をねなさい

 その権利は母親である貴方に有ります」





 「・・・・・興が乗らんな」


 風の刃を退けヘルメスはあきれた様子でベットへ腰を掛けた。



 「なぜ生殺与奪を人に預けるのだ?

 家族に捨てられたから?

 ニコラスちゃんに救われたから?

 相手方の親に覚悟を問われたからか?

 断じて否だ。

 
 ストーカーは1日にしてならず。

 例え拒否されようともニコラスちゃんの為に全てを捧げる、
それがヘルメス・スラーという生き様!!」


 「いやストーカーはどうかと・・・・」引き気味


 「愛に限りなんて物はない。

 母とは無限の愛を子供に注ぐもの。

 私を越えたのならば影として支え続けるまで!!!」


 アオイは終始圧倒され続けた。
 
 ヘルメスというよりストーカーとしての行動力にだが。


 「・・・・・今はヘルメスさんを納得させる答えは出せません。

 けれどちょうどいい試金石ならあります。

 ススが今企画しているウエハース付きカード。

 それにワタクシの・・・・今後を賭けます!!!!!」


 「ちょっ!!!アオイ!!!何言ってるんですか!!!!

 たかが商品の企画で人生を左右するなんて!!!!」


 「勝算があるから企画をしたのでしょう?

 スス・・・・ワタクシは、いやウチはススを信じる!!!」にぃ


 普段の口調に戻ったアオイはススに笑顔を見せる。

 ススからしてみれば”たかが”カードゲームにアオイを取られるなど
許すべきものではない。

 
 「決まりだな。言っておくが私ヘルメス・スラーは
本件を全力で応援する立場を表明する!!!」


  「なんやて!!!!!!!」


 敵に回る雰囲気だったヘルメスはアオイの側に回る事態となった。

 覚悟こそ問う立場にあったがなんだかんだで甘いのがスラーの血筋、
道徳赤点錬金術師ニコラス・スラーことスス伯爵の負けられない戦いが始まった
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