語り銃 ─Über Waffen reden─

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語り銃 エアソフトガン編

一丁目《FN P-90》

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12月某日 福岡県某所
 冬も本番に近づいてきたこの頃。普通の高校生はここで受験に向けて追い込みをかける時期……いや、本当はもっと前からかけるべきなのだろうか。そんなことは分からない。なぜなら俺はすでに推薦入試という形で県外の大学を受験し、見事合格をした。故に、勉強からしばし解放された今。18歳ということもあって、いわゆる18歳以上対象のエアガン『エアーソフトガンとも言う』を合法的に扱えるようになり、今週もサバイバルゲームを行うためだけの施設。サバゲーフィールドにやって来たのである。
  まず、サバイバルゲームについてお話しておくべきだろう。「サバイバルゲーム」『以後サバゲとする』とは簡単に、先程述べたエアガンを撃ち合うゲームである。敵チームのプレイヤーを見つけたら自分が使っている銃で撃ち、相手をダウンさせる。ここで言う「ダウン」とは、相手が弾に当たった際に発する「ヒットコール」をさせることである。後々話す「ゾンビ行為」は、ヒットコールを行わずにそのまま戦い続けるプレイヤーの事をいうが、それはまた後にするとして…… ゲーム内容についてであるが、大抵は2つのチームに分かれて殲滅戦、フラッグ戦、攻防戦などのゲームを何回か行って、お昼を跨ぎつつ1日遊ぶというもので、サバゲそのものが1つのイベントになっているのである。
 このフィールドでは、午前と午後でゲームする時間を分けており、午前のゲームが終わったら昼休憩をとり、そのあとで閉園前まで午後のゲームを行うというスケジュールだ。  9時に開園で、そこから受付にて「定例会」という通常のサバゲイベントに参加する手続きを行う。
(まず、会員証を出して学生証出して学割を適用してんでもって弾速検査通してサイトの調整を行ってからそれからそれから……)
…と忙しくこのあと行う事を確かめつつセーフティと呼ばれるゲームに参加する準備を行う場 所に荷物を置き、更衣室へ向かう。
 「おはようございます」
 「…ざいますー」
 やはり、挨拶が帰ってくるのは気分がいい。サバゲプレイヤーはみんな人が良い。挨拶1つで是非共に戦いたいと思う。
 更衣室へ向かう途中に、シューティングレンジという射撃場がある。もうすでに調整を行っている人がいる。
「あれは……VSR-10かいな。マルイのGスペやろうな。」
 独り言を言いながら更衣室へ向かう。 いつもは父がいるが、今日は一人なので話し相手がいないことに気づく。ううむ、独り言は言ったあとで後悔するな……気を付けねば。
 更衣室で迷彩服に着替えてまたセーフティに戻る。エアガンを運ぶためのガンケースから今回の主役であるP-90を取り出す。
 P-90はベルギーの銃器メーカーであるFN社によって開発されたPDW(個人防衛火器)というアサルトライフルとサブマシンガンの中間に位置するカテゴリーの銃で、近年建物の中での戦闘が主になってきたために、世界各国必要としてきた銃器である。一般的にPDWはサブマシンガンの一種とされているが、個人的にはPDWとSMG『サブマシンガンの略』は別物だと思っている。この銃は通常のSMGとは違って拳銃弾ではなく、専用の5.7×28mm弾を使う。この弾を使うメリットとしては、近距離でなくても相手のボディアーマーを貫通することができることや、人質を取られている状況で弾が跳ねにくいという点があげられる。また、異形ではあるが、そのデザインは人間工学に基づいているため、誰でも扱えるようなデザインになっている。具体的に言えば、弾を込めるためのハンドルが左右対称に可動したり、空薬莢が銃の下部から落とされるため、使う人の利き手を選ばないのが特徴である。また、銃の機関部が引き金よりも後ろにある「ブルパップ方式」を採用しているため、反動が小さく、弾が当たりやすいのが売りの銃であるだろう。個人的に好きなポイントはその銃が一分間に発射できる弾の数で、その数なんと900発。あまりピンと来ないだろうが、単純計算で、一秒間に15発発射できるのである。
 そんなP-90ではあるが、俺がサバゲで使用するのは電動ガンのP-90で、国産エアガンの大手である《東京マルイ》より発売されたものを使う。電動ガンではあるが、見た目はかなりリアルで、重量感も多少はあるが、実銃よりかははるかに軽いだろう。さらに捕捉すると、俺が使用するP-90は、通常モデルとは異なり、銃上部にスコープやサイト(照準器)を装備することができるP-90TRをつかっている。TRはトリプルレールの意味(そのまま)で、オーストリアやアメリカの特殊部隊が使用しているモデルだ。
 弾速検査を終えてシューティングレンジに立つ。目の前には人の体のような形の的の真ん中に20、30、40、50と書かれた物が10mおきに散らしてあるのと、所々に鉄製の円い的が立ててある。今からは、銃に着けてあるサイトを見て、射撃しながら弾着点を見て、それに応じてサイトのレティクルと呼ばれる模様の位置を修正する。
 ここで、装着しているサイトについて解説しよう。今P-90の上部レールに装備されているサイトはホロサイトと言うものである。まず、サイトにはアイアンサイト、ドットサイト『人によってはダットサイトとも言う』、ホロサイトとある。まず、ホロサイトとドットサイトは同じ光学機器で、機械で光を出してレンズにドット、またはレティクルを映し出すものである。対して、アイアンサイトは銃に備え付けられた物を使って狙うものである。どちらも倍率がなく目視での照準となるが、より正確ですばやい照準ができるのが光学機器なので、個人的には光学サイトの装備をおすすめする。かといって、アイアンサイトも使えるようにしておかないと、光学機器は精密機械故に壊れることがある。壊れたら狙えないなんてことがあっては困るので、アイアンサイトも使えるようになっておきたいところである。
 調整を終えて再びセーフティへ。ずいぶん人が増えてきた。週末ということもあるのだろう。同じ机に人が座っていた。とりあえず挨拶しないと……
 「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
 「どうも、こちらこそよろしくお願いしますー。ずいぶん若いね~。学生さん?」
 質問されたらとりあえず返す。サバゲはコミュニケーションの場、セーフティならなおさらだ。
 「はい。受験を終えて暇になった高3です。」
 「おお、それはそれは。お疲れさまでした。」
 「ありがとうございます。」
  とお礼を言ったところでスタッフによる作戦ブリーフィング…というと専門的なので言い換えるとルール説明が始まった。もう何回も聴いているので周囲の様子でも見てみよう……
(おおー!ドラグノフかー。テーブルにはモーゼルまで!ロシアだなー。カッコいいなー♪ん?あそこには三八式!向こうには……え、MG42……あの人来てたんだな……見方がいいなぁ……)
 「じゃあまずは本日最初のゲーム。殲滅戦のフルオートOK。行っていきたいと思います!」
 チーム分けも終えてついに今日最初のゲームの内容が発表された。殲滅戦はその名のとおり敵を全滅させたら勝利である。今回は人が多いから制限時間いっぱいまでありそうだ。それと、フルオートというのは連射モードのことで、とにかく弾を撃ちまくっていいという初っぱなからストレス発散みたいなゲームである。
 ヴーン、ヴーンとサイレンがなり、ゲーム開始がゆっくり実況みたいな音声で宣言される。
 開始の合図がなるなり、前進隊はすぐに敵のいるB地点目指してダッシュで進撃し、フルオートで弾をばらまいて弾幕をはった。冬だからガスガンの音は聞けないが、最近は次世代電動ガンなるものが東京マルイから発売され、バシバシと凄まじい音を立てて連射している。
(相変わらず恐ろしいな次世代……)
 なんて事を考えながらA地点近くのベニヤ張りのバリケード裏に身を隠す。少し身を乗り出して敵側を見ると二人程正面のバリケード群の中盤にいるのが見えた。ホロサイトで敵を狙ってフルオート射撃!
 「ヒットォー!!」
 「よっしゃーぃ…」
 心の中でガッツポーズしながら射撃継続。まだ一人いる。
 「ヒットヒットーっ!」
 「おけ」
 「ナイスダウン、少年!」
 「あ、ありがとうございます」
 (開幕から二人ダウンからの称賛とは最高のスタートだな)
と心の中で喜びの舞い。誉めてくれたのはセーフティで話した人とは別の人だったが、嬉しいものだ。
 (M16A4かな?もしかしたらA1やな…)
 戦闘中だからあまり易々と話しかけれないものだ。それにしても相変わらず気持ちいいフルオート射撃だ。実銃は毎分900発であるが、俺の電動のほうは800出てるくらいなのだろうか。それでも一直線で弾が飛んでくれるから当てやすい。サイトも合ってるからなおさらだ。本当に気に入っている。
 なぜこのP-90を使おうと思ったのかを話してなかった気がする。理由は簡単だ。デザインが気に入ったからだ。後々調べて「人間工学に基づいたデザイン」という言葉に心を撃たれたのも理由である。
 「よし、少年。あそこのバリケード行くから援護してくれない?」
 (おお、まさかの援護要請!)
 「了解です。あとから行くんでこちらもいいですか?」
 「おっけ、なら合図送るからその時に来ていいよ」
 「わかりました。では行きます!」
 「了解ぃ!」
そういって俺は弾幕を張る。隣の男性は走り出す。男性がバリケードに到着したのを確認して射撃停止。残弾確認。
「あと250発くらいかいねー…っていかん、向こう見とかな。」
合図が来た。とにかく走る。そして足から滑り込んで合流成功。
 「さすが。若いっていいねー」
はははと笑いながら俺はこれでも運動不足な生活をしてると返した。そこから男性とは別の方向で進撃した。結果は俺たちの勝利。案の定、時間いっぱいだった。最後まで生き残った上にあの後にまた一人ダウンを取ったので合計3ダウンという好成績。次のゲームはスタート場所を変えてフルオートの殲滅戦だ───
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