とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるストーリー

18話【やわらかな光】

　そんなことを一人で喋っている間もお互い微動だにしない。1対1になってからどれだけの時間が経ったのだろうか。誰も正確な時間はわからない。このオブジェ部屋に時計という便利なモノが見つかっていない為、シュウの体感では約10分以上は経過したに違いない。それでも相手がマネキンだけあってやはり動かない。

シュウ「俺とマネキンあいつの忍耐力は五分五分ごぶごぶかも知れねぇ。……これじゃ埒らちが明かないな。……仕方ねぇ2つめの奥手を使うか」

シュウは深く深呼吸して、自分を落ち着かせる。壁に向き直しそして浅く空気を吸い込み–––––––。

シュウ「だるまさんがころんだ！！」

と“早口“で言い終わると同時にすぐマネキンの方へ振り向く。マネキンは右足を一歩前に出していた。

シュウ「ようやく動きだしたな」

マネキンの右手が左足首を掴もうして左足が少し床から浮いている。グラグラと揺れる胴体カラダ、一歩踏み出した右足で、頑張ってバランスをとっているがその右足さえもフラついている。
シュウは勝利を確信し、人差し指をマネキンに向かって指差しゲーム終了の言葉あいずを放つ。

シュウ「お前、さっきから動いてるんだよ！観念しやがれーー！！」

バラバラと胴体と頭、手足が崩れ出す最後のマネキン。

シュウ「よっしゃぁ！！！」

ガッツポーズを取ったシュウの右手が突然、月の光のようなやわらかな光を放ち出した。

18話End 続く◇◆◆ 

お題【やわらかな光】24’10/17