真夏の夜の渋滞

戒=かい

文字の大きさ
1 / 1

真夏の世の渋滞

しおりを挟む
真夏の世の渋滞




 ……はー、まだ動かないかー。

  休みの終わり、実家からの帰りの車内で一人呟く。 
  夕方から渋滞に巻き込まれ、未だにその中の一台から抜け出せないまま、夜になってしまっていた。
 今年の夏も猛暑で、外が暗くなっても、まだまだ暑さが残っていた。クーラーの風が心地よく感じる。車内のラジオからも今日、埼玉のどこかで、最高温度を更新したとか言っていたっけ。
 少し眠けを感じてきたので、コーヒーを一口飲む。ブラックは苦手なので微糖にしていた。
  飲み終え、前を見ると、前の車が少しだけ動いていた。あっ。と急いで車を前進させる。

 ……ん?なんだあれ?

 前の車のガラスにQRコードが二つ貼られていたのだった。どうやら、ステッカーのようだった。至って普通の乗用車だったので広告とかそういうものではなさそうだった。
 周りを軽く確認する。変わらず渋滞はなかなか進まなそうだった。

 ……よし!

  暇なのもあり、どんなコードなのか気になったため、どうにかスキャンしてみることにした。


ーーなかなかうまくいかないなぁ。

 暗さと車間距離があるためか、なかなか取り込みができない。

 ーーくそっ、これなら、あ、読み込めた!あ?!

  なんとか一つを取り込めたかのような通知が出たが、間違えてシャッターボタンを押してしまった。よくよく見ると片方は複雑な迷路が書かれていただけだった。

 ……なんだこれ?!迷路とか馬鹿にしてるのか!

  おちょくられた気分になった。渋滞の苛立ちもあり、少しムキになってしまって、何が何でも読み込もうと必死になってしまったのだった。
   再度読み込もうと、何度もスマホを前の車に向け続けた。

 ーーよし!今度こそ!通知出たな。今度は落ち着いて。あ?!

 QRコードはどこかのホームページのURLが出てきた。苛立っていた僕は勝ち誇ったかのようにそのホームページを開いた。



 そこにはこう書かれていた。




  良い暇つぶしになっただろう?そろそろ前を見た方がいいぞ。と。



 パーーー! 



  ハッとすると後ろからクラクションを鳴らされてしまった。
  前を見ると、先程の車は豆粒ほどの小ささになっていた。
 急いで車を発進する。
 なんとも言えない気持ちで、また僕は運転に集中するのだった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

他国ならうまくいったかもしれない話

章槻雅希
ファンタジー
入り婿が爵位を継いで、第二夫人を迎えて後継者作り。 他国であれば、それが許される国もありましょうが、我が国では法律違反ですわよ。 そう、カヌーン魔導王国には王国特殊法がございますから。   『小説家になろう』『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

妹ちゃんは激おこです

よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...