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第一章 ムーン・ブル編
第42話 安宿の部屋
しおりを挟む「部屋に案内しますね」
「頼む」
笑顔の少女は、どこか浮かれているようにして話した。期待な俺も、同様にして話した。表情を引き締める少女は、店内の右奥側の階段に振り向く。階段に向かい昇り始める。平穏な俺はあとに続く。
(この感じなら、部屋も奇麗そうだな)
冷静な俺は、開いている階段窓の明かりを頼りに清潔感を覚えて思考した。清潔なL字階段を上り、二階に到着する。前報の歩き姿の楽し気な少女は、右側の閉じている二つの引き扉の前を通過して三つ目の開いている引き扉の前で俺に振り向く。
「お部屋は、こちらになります」
明るい笑顔の少女は、手の平を上に向けた右手で部屋の中を示して話した。待望な俺は、左手を扉に当てて部屋の中を覗き込むようにして確認する。
部屋は、横幅が2メートルほどで奥行きが3メートルほど。奥側の壁に小窓が一つ。その下側の横向きにベッド一つ。
(窓は一つだったか~。安宿の部屋を舐めてたな…)
落胆な俺は、思わず表情を歪めて何事も目に見えている事のみで判断してはいけないと思考していた。
「気に入らなかったでしょうか…」
右下側から少女の弱々しい声が届いた。そして、
(あっ、顔に出てたか…)
うっかりした。
(子供の前で、しまったな…)
油断な俺は、顔をしかめて思考した。表情を改めて顔を少女に向ける。少女の俯き始める姿を確認する。
「それなら、隣の2人部屋が空いてます!」
「この部屋でいいよ。残念だけど、俺は冒険者だから部屋は寝る時にしか使えないんだ」
顔を上げる少女は、俺を真剣な眼差しで見つめて声を強く上げた。超緊張な俺は、頭を超高速回転して言葉使いに超注意して明るく話した。真剣な様子の少女は、自信を取り戻したような明るい表情を見せる。
「あっ。えっと…」
思い出したかのような様子の少女は、顔を下側に向けて自分の上着の右ポケットを探りながら呟いた。ポケットの中から何かを取り出して顔を上げる。
「こちらが鍵です。無くす人が多いので、無くさないようにしてください」
笑顔の少女は、鍵を俺に両手で差し出して話した。不意な俺は、瞬間に心拍数を跳ね上げる。
(ばれてないよな。だが、懐かしいな。昔、銭湯で見たやつだ)
緊張な俺は、不安の中で懐古して思考した。鍵を受け取る。手触りから木製と判断すると同時に祖父の思い出に浸る。顔を部屋側に向ける。
(まあ、今は贅沢は後回しにして装備と着替えを揃えるか)
現実な俺は、改めて小窓とベッドと部屋の狭さを確認して思考した。顔を少女に向ける。
「ありがとう。気を付けるよ」
「はい。次は、部屋の使い方を説明するので、中に入ってください」
「ん? 部屋の使い方?」
「はい」
納得な俺は、笑顔を少女に見せて明るく話した。明るく返事を戻す少女は、部屋の中に移動しながら話した。不意な俺は、思わず少女を視線で追いながら疑問に尋ねていた。立ち止まる少女は、俺に振り向いて返事を戻した。上着の左ポケットの中から何かを取り出す。
(なんだろう? 何か気を付けるようなことがあるのか?)
「私の隣に立ってください」
不安な俺は、思わず部屋の中を見回しながら疑問に思考していた。何かを胸元に握り締めている少女は、真剣な表情で話した。困惑な俺は、少女の手元を窺いつつ左隣に向かう。
(リモコン?)
混乱な俺は、思わず少女の左隣に立ちながらリモコンのような物を覗き見しつつ疑問に思考していた。
「いきます!」
意気込む少女は、前方を見つめて強く話した。両手を前方にしてリモコンのような物のボタンを右手の親指で押す。
『ピッ』
前方から電化製品の反応音のような音が届いた。漠然な俺は、顔を前方に向ける。引き扉が右側から左側へとゆっくり動く。扉枠と接触する。
『カチャ』
扉から金具の噛み合うような音が届いた。
「部屋のドアは、このボタンを押すと開けたり閉めたりできます。鍵はこのボタンで」
『ピピピッ』
『ガチャ』
「閉まりました。もう一回押すと」
『ピピッ』
『ガチャ』
「開きました。音が違います」
真剣な様子の少女は、リモコンと引き扉を交互に見つめながら身振り手振りを交えて拘りのように話した。その都度、電化製品の反応音ような音と金具の噛み合う音が交互に届いた。呆然な俺は、思わず事態を唯々漠然と見つめていた。
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