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【借家】
これはある知り合いが子供の頃に体験をしたという話です。
その方(Cさんとします)が小学校4年生の頃に父親が事業を失敗したことにより、それまで住んでいた新築一戸建てから県のはずれの小さな借家へと転居をしたそうです。
父親の知り合いのつてで探してもらったという平屋のその家は築年数が50年近くという話で、子供であるCさんの目にもあまりにも古くみすぼらしく映り、それまで住んでいた住宅との落差にがっかりした気分になったとのことです。
さらにガタつく引き戸の玄関を入ってみると異様にカビ臭く外観以上に古びており、これからこんなところに住むのかと衝撃を受け落胆したそうです。
畳は湿気でブニャブニャし足がめり込むほど痛んでおり、長らく雨戸も開けていなかったらしくカビ臭さに加え何とも形容しがたい重い臭気が漂い、元気のない両親に責めるようなことは言えないけれど、何でこんなことに・・・・という気持ちでいっぱいになったとのこと。
そして迎えた初日の夜。
前の家から持って来たカーペットを畳に敷き、六畳間の和室に家族四人が並んで寝たのですが、そこでCさんはとんでもないものを目撃してしまいます。
ふと夜中に目が覚め、天井のいかにも昭和なデザインの照明の豆電球の明かりにぼんやり照らされた部屋の中に視線を泳がせていた時、スーッと、隣室の和室との間の襖がゆっくりと開くのが見えたそうなのです。
全員が並んで寝ている訳ですからもちろん誰の仕業でもなく、じゃあ何故!?と急に恐怖感がこみ上げ身を起こそうと思ったその瞬間、身体が動かせなくなり金縛りにあってしまったとのこと。
そしてその恐怖MAX状態のまま襖の空間から目が離せず凝視をしていると、次の瞬間、見たこともないおぞましく恐ろしいものが目に飛び込んできました。
"頭" "胴体" "下半身"──三つに分かれた着物姿の女性の身体。
その三分割が、スッスッスッ、と順にスライドするようにその30cmほど空いた隙間に現れたのだと。
あまりのことにCさんは悲鳴を上げそうになったものの口がパクパクするだけで言葉を発することが出来ず、身体は依然ガチガチに固まり動かず、ただ目だけがその異形とも言える何者かの姿に釘付けのままでいたところ、やがて再びその姿は今度は下半身からの順にスーッと横にズレて消えていったそうです。
あまりの恐ろしさにCさんは意識が朦朧とし始めいつのまにか気を失っていたそうで、朝になり母親に起こされた時には金縛りは解けていましたが、見たものをそのまま家族にテンパりながら伝えても笑われるばかりで真に受けてはもらえなかったと。
その後、"それ"が現れることは二度となかったそうですが、ただ、妙なこと嫌な現象などはこまごま起きていたそうで、驚くほど大きなラップ音や、地震でもないのに床が下から突き上げるように揺れたり、誰も触っていない物が移動したり無くなったり──など、異様な空気感は常に漂っていたようです。
ただ、両親はすべて『気のせい』で片付けていたらしく、それはたぶん"この家は何かヤバい"と感じていてもまた引っ越しをする金銭的余裕が無かったため目をつぶっていたのではないか、と、大人になってCさんはそう思っているそうです。
そんな日々のある日、学校から帰って弟と家の前の空き地でボール遊びをしていた際、Cさんはギョッとする物を見つけました。
その古家の土台はコンクリートで固めていない床下があり、子供目線でだいたい50~60cmくらいの空間があったそうで、そこにサッカーボールがコロコロと転がり入ってしまいCさんはしゃがんで下を覗いてみました。
すると──
(えええっ!?)
とてつもない衝撃!
思わず尻餅をついたCさんが見たもの。
それは家を支える石柱。
名前が彫られた幾つもの──【墓石】だったそうです。
アワアワしながらCさんが家に飛込み母親に告げると、出てきて確認をした母は『うわっ、嫌だっ』と叫んでやはり尻餅をつき、凍りついた表情になったとのこと。
それから父親が帰宅をするまでの数時間は少し離れたエリアにある公園やスーパーに三人で避難し家には帰らずにいたそうです。
その後、父親が日暮れてからの帰宅後に懐中電灯で床下を照らしてみたところ、石の柱として使われている墓石の他に半分や三分の一ほど土に乱雑に埋まったものが少なくとも十基はあり、さすがにゾッとしたとのこと。
その家を紹介した人物もその状態については知らなかったようで、単に『とにかく1円でも安ければ雨漏りがするほど古くてもいい』という条件で探してもらった物件だそうなので、新築時の持ち主がどんな人物なのか、何故そんな無謀で罰当たりな建て方をしたのか、については築年数が古すぎてまったく情報がなかったそうです。
その後、たぶんどうにか金銭の工面をしたのだと思いますが一家は結局また引っ越しをし、以来、家族の中では『墓石ハウス』の話はタブーになったということです。
Cさんは言いました。
「私が見たあの着物姿の女の人は、床下の墓石のどれかに名前がある人だったんでしょうね。気の毒に、家の土台なんかにされれば、そりゃ化けて出たくもなるわよね」
確かに・・・・ですね。
その方(Cさんとします)が小学校4年生の頃に父親が事業を失敗したことにより、それまで住んでいた新築一戸建てから県のはずれの小さな借家へと転居をしたそうです。
父親の知り合いのつてで探してもらったという平屋のその家は築年数が50年近くという話で、子供であるCさんの目にもあまりにも古くみすぼらしく映り、それまで住んでいた住宅との落差にがっかりした気分になったとのことです。
さらにガタつく引き戸の玄関を入ってみると異様にカビ臭く外観以上に古びており、これからこんなところに住むのかと衝撃を受け落胆したそうです。
畳は湿気でブニャブニャし足がめり込むほど痛んでおり、長らく雨戸も開けていなかったらしくカビ臭さに加え何とも形容しがたい重い臭気が漂い、元気のない両親に責めるようなことは言えないけれど、何でこんなことに・・・・という気持ちでいっぱいになったとのこと。
そして迎えた初日の夜。
前の家から持って来たカーペットを畳に敷き、六畳間の和室に家族四人が並んで寝たのですが、そこでCさんはとんでもないものを目撃してしまいます。
ふと夜中に目が覚め、天井のいかにも昭和なデザインの照明の豆電球の明かりにぼんやり照らされた部屋の中に視線を泳がせていた時、スーッと、隣室の和室との間の襖がゆっくりと開くのが見えたそうなのです。
全員が並んで寝ている訳ですからもちろん誰の仕業でもなく、じゃあ何故!?と急に恐怖感がこみ上げ身を起こそうと思ったその瞬間、身体が動かせなくなり金縛りにあってしまったとのこと。
そしてその恐怖MAX状態のまま襖の空間から目が離せず凝視をしていると、次の瞬間、見たこともないおぞましく恐ろしいものが目に飛び込んできました。
"頭" "胴体" "下半身"──三つに分かれた着物姿の女性の身体。
その三分割が、スッスッスッ、と順にスライドするようにその30cmほど空いた隙間に現れたのだと。
あまりのことにCさんは悲鳴を上げそうになったものの口がパクパクするだけで言葉を発することが出来ず、身体は依然ガチガチに固まり動かず、ただ目だけがその異形とも言える何者かの姿に釘付けのままでいたところ、やがて再びその姿は今度は下半身からの順にスーッと横にズレて消えていったそうです。
あまりの恐ろしさにCさんは意識が朦朧とし始めいつのまにか気を失っていたそうで、朝になり母親に起こされた時には金縛りは解けていましたが、見たものをそのまま家族にテンパりながら伝えても笑われるばかりで真に受けてはもらえなかったと。
その後、"それ"が現れることは二度となかったそうですが、ただ、妙なこと嫌な現象などはこまごま起きていたそうで、驚くほど大きなラップ音や、地震でもないのに床が下から突き上げるように揺れたり、誰も触っていない物が移動したり無くなったり──など、異様な空気感は常に漂っていたようです。
ただ、両親はすべて『気のせい』で片付けていたらしく、それはたぶん"この家は何かヤバい"と感じていてもまた引っ越しをする金銭的余裕が無かったため目をつぶっていたのではないか、と、大人になってCさんはそう思っているそうです。
そんな日々のある日、学校から帰って弟と家の前の空き地でボール遊びをしていた際、Cさんはギョッとする物を見つけました。
その古家の土台はコンクリートで固めていない床下があり、子供目線でだいたい50~60cmくらいの空間があったそうで、そこにサッカーボールがコロコロと転がり入ってしまいCさんはしゃがんで下を覗いてみました。
すると──
(えええっ!?)
とてつもない衝撃!
思わず尻餅をついたCさんが見たもの。
それは家を支える石柱。
名前が彫られた幾つもの──【墓石】だったそうです。
アワアワしながらCさんが家に飛込み母親に告げると、出てきて確認をした母は『うわっ、嫌だっ』と叫んでやはり尻餅をつき、凍りついた表情になったとのこと。
それから父親が帰宅をするまでの数時間は少し離れたエリアにある公園やスーパーに三人で避難し家には帰らずにいたそうです。
その後、父親が日暮れてからの帰宅後に懐中電灯で床下を照らしてみたところ、石の柱として使われている墓石の他に半分や三分の一ほど土に乱雑に埋まったものが少なくとも十基はあり、さすがにゾッとしたとのこと。
その家を紹介した人物もその状態については知らなかったようで、単に『とにかく1円でも安ければ雨漏りがするほど古くてもいい』という条件で探してもらった物件だそうなので、新築時の持ち主がどんな人物なのか、何故そんな無謀で罰当たりな建て方をしたのか、については築年数が古すぎてまったく情報がなかったそうです。
その後、たぶんどうにか金銭の工面をしたのだと思いますが一家は結局また引っ越しをし、以来、家族の中では『墓石ハウス』の話はタブーになったということです。
Cさんは言いました。
「私が見たあの着物姿の女の人は、床下の墓石のどれかに名前がある人だったんでしょうね。気の毒に、家の土台なんかにされれば、そりゃ化けて出たくもなるわよね」
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