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11.私達は臆病な獣のように確認しあう
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「だからと言って、ようやく手に入れたんだ。 諦めきれる訳などないじゃないか」
辛そうな声がボソリと耳に聞こえたような気がした。
ぐらぐらとした感覚が体の機能を狂わせているかのようで、視界が効かないぶん触れあう身体、熱、吐息、魔力を鋭敏に感じ取ってしまう。
私の身体を撫でる手にはどこかぎこちなさがあった。
「ディ……」
団長と呼べばいいのか? 様と呼べばいいのか、名だけでいいのか……今、この瞬間、相手との距離感が分からず悩んで言葉をとめたなら、ほんのわずかに張り詰めた魔力が和らいだ。
絶望したかのように彼は言っているけれど、未だ期待はしているし、諦めきっている訳ではないのだと、そんな風に思えたのだ。 それは、私にとっての希望のようなもの。
怖くないのか? そう聞かれれば怖いし、
不安はないのか? そう聞かれれば不安。
だって、これほどまで人と触れあったことなんてないのだから、当たり前じゃないですか!!
私は視界が戻らぬままに、その手でディルクを探し触れる。 ……覚えのある感触、体温にふれ安堵する。 私は彼の幻獣で、彼の養い子であって、だからいつも一緒に眠っており、本能が彼の元は帰る場所なのだと認識している。 なのに何が不安なのでしょう?
「ディルク……」
見えない視界に自然と声が不安を怯える。
耳もとに優しい声がかけられた。
「あぁ、ちゃんといる」
だけど、何時もよりも少しばかり軽薄に思えるのは気のせいでしょうか?
彼の肌に触れていた私の手が握られた。 固い骨ばった手が熱を持ち僅かに震えているような気がする。 繋ぎ合った手がそのまま彼の口元に持っていかれたようで、チュッと幾度となく口づけがされた。 それは、直接的な体への刺激と違い、心が甘く心地よくて
「ディルク」
甘えたように呼んでみれば。
「あぁ」
短く、困ったように彼は応じた。
彼の手から、そっと逃れるように手を動かせば彼はアッサリと私の手を離し、私が彼の身体に触れるままに受け入れる。 幾度となく抱きしめられた(竜体で)胸は広く硬い、幾度となく触れた首から鎖骨にかけてある鱗のような模様は熱を持っていた。
私はもう1度彼を呼ぶ。
「ディルク?」
「なんだ」
手でなぞるように唇に触れ、私から唇を重ねてみた。 彼は動かず、ただ獣が戯れるままに任せているかのように動かない。 ペロペロと舌先で唇を舐めれば、ふっと空気がゆるんだ。
「ティア……」
喉が掠れているような、辛そうな声で名を呼ばれ、ぽふっと彼の身体に身を預けそして見えない瞳で彼を見上げれば、頬を触れ合わせ、耳もとに口づけられた。
「んっ、くすぐったい」
愛される自信など皆無な人なのかもしれない。
だから、育て親を無条件に愛する幻獣に執着しているのかもしれない。
愛されることのない孤独も絶望も知っている。
分からない訳などない。
そういう生き方を私もしてきた。
もし、私だったなら、相手が拒絶した瞬間に逃げてしまうでしょう。 そんな思いは私も彼もとても似ているような気がした。 だけど、彼は私が拒否したと思いながらも、未だ熱を確かめ合い、肌を触れあっている。 まるで、空腹を満たすように、飢えれば死んでしまうかのように求め……いえ、そこまで思われているなんて思うのは傲慢かもしれませんね。
「我慢……するんだ」
身体を固定され、耳裏から首筋、音を立て執拗に舐め上げられ、甘い声が荒い呼吸に混ざり漏れてしまう。 クスッと甘い笑い声が聞こえた。
「あぁ、可愛い」
甘く唇で、鼻先で彼は私の肌をくすぐる。 くすぐったさと甘い快楽と、上手く折り合いをつける事ができず、モゾモゾとしていれば、抱きしめられ、大きな手が胸を包み込んでくる。 柔らかく揉まれれば、その動きに翻弄されるように胸が形を変えているのが、見えなくともわかった。
耳の側から柔らかな舌が移動し、そっと優しく角の付け根部分を舐めてくるから、ジンジンと身体がしびれたようになってしまう。 角って敏感よねぇ……
ぁん……はぅ……
甘い声を力なく漏らしてしまう。
「これは、何の香りだ?」
耳元に触れるか触れないかの、吐息だけが触れる距離で囁きを聞く、鼻先が髪に触れるのがくすぐったくて、身体が硬直してしまう。
んっ
小さな私の声にクスッと笑う声が重なった。 匂いを嗅いでいるのだろう、角に鼻の先が当たっているのが分かる、耳の後ろ、首筋と降りてくれば、溜息のように甘い吐息がこぼれてしまう。
チュッと首筋をキツク吸われ、ひゃぁと驚いた声が、
「どうした?」
「こっちのセリフです」
「無視されるのは、気分が良くないんだけど?」
「ぇ、あ、は、な?」
話ながら吸われ甘い疼きを帯びた首筋に、唾液が塗り付けられ執拗に舐められ、ときおり歯が当てられチクリとした痛みを覚える。
「んっ、やっ……」
「答えになってないが?」
「ぇ、あ……あの……魔法を使う練習に……」
意識を持った幻獣は、精霊と戯れるように魔法を覚える。
精霊が風と泳ぐように、水と舞うように、土と戯れるように、火と踊るように、そんな風にたわいもない事から、自然魔法を自らの力にする。 私は、それを見せつけるように、髪にオレンジ色の小花を咲かせた。
「甘い香りが好きなんです」
「いい香りだ」
そう言われれば嬉しくて、小さく笑った。
ぁっ!
「どうした?」
クスクスと笑う声に、私は身じろぎしたのは、ふくらはぎが撫でられるとは想像していなくて、ビックリしたから。 おぼろげな視線で怒ったふりをしながら、
「目を見えるようにしてくれませんか?」
「見えない方が……恥ずかしくないだろう?」
チュッと目元に軽く口づけられた。
私の身体を支えていたディルクが位置を変えたのか、ストンと私の身体は軽くベッドにたおれこむ。 理解が追い付かないうちに、足が掴まれ軽く持ち上げ広げられた。 その両足の間に身体が置かれ、太ももの内側が舐められる。
「んっ、やぁ、恥ずかしい」
見えなくとも、自分がとても恥ずかしい態勢でいるのは想像できた。
「どんな姿でも可愛いから、気にする必要などない」
言葉が終わると同時に、太ももに歯が当てられ、徐々に付け根の部分に移動していく。
ぁ、んっ、ふぅ……甘い声を必死にこらえて訴える。
「いやぁ」
「そんな甘く可愛い声で言われてもなぁ」
ふいに口づけられた。
ダラリと唾液が口内に流し込まれる。 今までに与えられた事の無い濃い魔力に、頭がぐらぐらする。
「んっぐ……」
上手に飲み込めず、口からこぼれた唾液が舐めとられた。
「うまかったか?」
そう告げるディルクの姿が見えた。
「ぁ……」
ニヤリと傲慢に笑って見せるのに、その魔力はどこか切なげな香を含んでいる。 手を伸ばし頬に触れれば、傲慢な笑みが消えた。 強い人だと噂を聞いていたが……なんとも脆い人なのでしょうか。
チュッとその唇に触れ渡って見せれば、視線が泳ぎ逃げそうになっているではないですか……。
「どうして逃げるんですか?」
「どうして逃げないんだ?」
「私は、アナタのものだから」
唇が重ねられ、もう一度魔力が流し込まれる。 喉が熱く、熱が体内にいきわたる。 ディルクは、喉から流れ込む様子を再現でもするように、喉から胸のふくらみの間まで指先でたどっていた。 魔力が共鳴するように、内側と外側から身体を同時に刺激をしてくるようで、ヒクリと身体が痙攣する。
ぁ……
小さく声が漏れた。
急かれては気持ちが追い付かなくなる。 だけど、快楽に身を任せきってしまうような経験はなく、だけど……身体だけはしっかりと快楽を期待していた。
「もっと、ゆっくりと……お願い、苦しいの……」
「あぁ、鼓動が早鐘のようだ」
むにむにと胸を柔らかく包み揉んでくる。
「ドンドン早くなってきているな」
肉のふくらみを揉んで鼓動など分かるはずないが、まぁ……柔らかな肉の感触を楽しむように触れられ、敏感な頂き唇でつまみ、舌先で舐り、キツク吸い上げれば、甘い声が部屋に響く。
「ティア」
甘く私の名を呼びながら、彼の手は、濡れる両足の間に触れた。
辛そうな声がボソリと耳に聞こえたような気がした。
ぐらぐらとした感覚が体の機能を狂わせているかのようで、視界が効かないぶん触れあう身体、熱、吐息、魔力を鋭敏に感じ取ってしまう。
私の身体を撫でる手にはどこかぎこちなさがあった。
「ディ……」
団長と呼べばいいのか? 様と呼べばいいのか、名だけでいいのか……今、この瞬間、相手との距離感が分からず悩んで言葉をとめたなら、ほんのわずかに張り詰めた魔力が和らいだ。
絶望したかのように彼は言っているけれど、未だ期待はしているし、諦めきっている訳ではないのだと、そんな風に思えたのだ。 それは、私にとっての希望のようなもの。
怖くないのか? そう聞かれれば怖いし、
不安はないのか? そう聞かれれば不安。
だって、これほどまで人と触れあったことなんてないのだから、当たり前じゃないですか!!
私は視界が戻らぬままに、その手でディルクを探し触れる。 ……覚えのある感触、体温にふれ安堵する。 私は彼の幻獣で、彼の養い子であって、だからいつも一緒に眠っており、本能が彼の元は帰る場所なのだと認識している。 なのに何が不安なのでしょう?
「ディルク……」
見えない視界に自然と声が不安を怯える。
耳もとに優しい声がかけられた。
「あぁ、ちゃんといる」
だけど、何時もよりも少しばかり軽薄に思えるのは気のせいでしょうか?
彼の肌に触れていた私の手が握られた。 固い骨ばった手が熱を持ち僅かに震えているような気がする。 繋ぎ合った手がそのまま彼の口元に持っていかれたようで、チュッと幾度となく口づけがされた。 それは、直接的な体への刺激と違い、心が甘く心地よくて
「ディルク」
甘えたように呼んでみれば。
「あぁ」
短く、困ったように彼は応じた。
彼の手から、そっと逃れるように手を動かせば彼はアッサリと私の手を離し、私が彼の身体に触れるままに受け入れる。 幾度となく抱きしめられた(竜体で)胸は広く硬い、幾度となく触れた首から鎖骨にかけてある鱗のような模様は熱を持っていた。
私はもう1度彼を呼ぶ。
「ディルク?」
「なんだ」
手でなぞるように唇に触れ、私から唇を重ねてみた。 彼は動かず、ただ獣が戯れるままに任せているかのように動かない。 ペロペロと舌先で唇を舐めれば、ふっと空気がゆるんだ。
「ティア……」
喉が掠れているような、辛そうな声で名を呼ばれ、ぽふっと彼の身体に身を預けそして見えない瞳で彼を見上げれば、頬を触れ合わせ、耳もとに口づけられた。
「んっ、くすぐったい」
愛される自信など皆無な人なのかもしれない。
だから、育て親を無条件に愛する幻獣に執着しているのかもしれない。
愛されることのない孤独も絶望も知っている。
分からない訳などない。
そういう生き方を私もしてきた。
もし、私だったなら、相手が拒絶した瞬間に逃げてしまうでしょう。 そんな思いは私も彼もとても似ているような気がした。 だけど、彼は私が拒否したと思いながらも、未だ熱を確かめ合い、肌を触れあっている。 まるで、空腹を満たすように、飢えれば死んでしまうかのように求め……いえ、そこまで思われているなんて思うのは傲慢かもしれませんね。
「我慢……するんだ」
身体を固定され、耳裏から首筋、音を立て執拗に舐め上げられ、甘い声が荒い呼吸に混ざり漏れてしまう。 クスッと甘い笑い声が聞こえた。
「あぁ、可愛い」
甘く唇で、鼻先で彼は私の肌をくすぐる。 くすぐったさと甘い快楽と、上手く折り合いをつける事ができず、モゾモゾとしていれば、抱きしめられ、大きな手が胸を包み込んでくる。 柔らかく揉まれれば、その動きに翻弄されるように胸が形を変えているのが、見えなくともわかった。
耳の側から柔らかな舌が移動し、そっと優しく角の付け根部分を舐めてくるから、ジンジンと身体がしびれたようになってしまう。 角って敏感よねぇ……
ぁん……はぅ……
甘い声を力なく漏らしてしまう。
「これは、何の香りだ?」
耳元に触れるか触れないかの、吐息だけが触れる距離で囁きを聞く、鼻先が髪に触れるのがくすぐったくて、身体が硬直してしまう。
んっ
小さな私の声にクスッと笑う声が重なった。 匂いを嗅いでいるのだろう、角に鼻の先が当たっているのが分かる、耳の後ろ、首筋と降りてくれば、溜息のように甘い吐息がこぼれてしまう。
チュッと首筋をキツク吸われ、ひゃぁと驚いた声が、
「どうした?」
「こっちのセリフです」
「無視されるのは、気分が良くないんだけど?」
「ぇ、あ、は、な?」
話ながら吸われ甘い疼きを帯びた首筋に、唾液が塗り付けられ執拗に舐められ、ときおり歯が当てられチクリとした痛みを覚える。
「んっ、やっ……」
「答えになってないが?」
「ぇ、あ……あの……魔法を使う練習に……」
意識を持った幻獣は、精霊と戯れるように魔法を覚える。
精霊が風と泳ぐように、水と舞うように、土と戯れるように、火と踊るように、そんな風にたわいもない事から、自然魔法を自らの力にする。 私は、それを見せつけるように、髪にオレンジ色の小花を咲かせた。
「甘い香りが好きなんです」
「いい香りだ」
そう言われれば嬉しくて、小さく笑った。
ぁっ!
「どうした?」
クスクスと笑う声に、私は身じろぎしたのは、ふくらはぎが撫でられるとは想像していなくて、ビックリしたから。 おぼろげな視線で怒ったふりをしながら、
「目を見えるようにしてくれませんか?」
「見えない方が……恥ずかしくないだろう?」
チュッと目元に軽く口づけられた。
私の身体を支えていたディルクが位置を変えたのか、ストンと私の身体は軽くベッドにたおれこむ。 理解が追い付かないうちに、足が掴まれ軽く持ち上げ広げられた。 その両足の間に身体が置かれ、太ももの内側が舐められる。
「んっ、やぁ、恥ずかしい」
見えなくとも、自分がとても恥ずかしい態勢でいるのは想像できた。
「どんな姿でも可愛いから、気にする必要などない」
言葉が終わると同時に、太ももに歯が当てられ、徐々に付け根の部分に移動していく。
ぁ、んっ、ふぅ……甘い声を必死にこらえて訴える。
「いやぁ」
「そんな甘く可愛い声で言われてもなぁ」
ふいに口づけられた。
ダラリと唾液が口内に流し込まれる。 今までに与えられた事の無い濃い魔力に、頭がぐらぐらする。
「んっぐ……」
上手に飲み込めず、口からこぼれた唾液が舐めとられた。
「うまかったか?」
そう告げるディルクの姿が見えた。
「ぁ……」
ニヤリと傲慢に笑って見せるのに、その魔力はどこか切なげな香を含んでいる。 手を伸ばし頬に触れれば、傲慢な笑みが消えた。 強い人だと噂を聞いていたが……なんとも脆い人なのでしょうか。
チュッとその唇に触れ渡って見せれば、視線が泳ぎ逃げそうになっているではないですか……。
「どうして逃げるんですか?」
「どうして逃げないんだ?」
「私は、アナタのものだから」
唇が重ねられ、もう一度魔力が流し込まれる。 喉が熱く、熱が体内にいきわたる。 ディルクは、喉から流れ込む様子を再現でもするように、喉から胸のふくらみの間まで指先でたどっていた。 魔力が共鳴するように、内側と外側から身体を同時に刺激をしてくるようで、ヒクリと身体が痙攣する。
ぁ……
小さく声が漏れた。
急かれては気持ちが追い付かなくなる。 だけど、快楽に身を任せきってしまうような経験はなく、だけど……身体だけはしっかりと快楽を期待していた。
「もっと、ゆっくりと……お願い、苦しいの……」
「あぁ、鼓動が早鐘のようだ」
むにむにと胸を柔らかく包み揉んでくる。
「ドンドン早くなってきているな」
肉のふくらみを揉んで鼓動など分かるはずないが、まぁ……柔らかな肉の感触を楽しむように触れられ、敏感な頂き唇でつまみ、舌先で舐り、キツク吸い上げれば、甘い声が部屋に響く。
「ティア」
甘く私の名を呼びながら、彼の手は、濡れる両足の間に触れた。
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