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01.私と姉の関係性はこうして修復不能となった その1
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ノルダン伯爵家には膨大な蔵書を保管する書庫がある。
「お姉様が書庫にいらっしゃるなんて珍しい、いかがなされたのですか? 本をお探しでしたらお手伝い致しますよ?」
幼い子供らしからぬ口調だけれど、これが私なのですから仕方がありません。
「余計なことをせず、考えず、早くここから出ていきなさい」
私と会いたくないからという理由で、書庫には顔を出さない姉が、珍しく書庫にいたのです。 無邪気に「お姉様!」と甘えるような子供ではありませんが、それでも十分に私は姉を尊敬していたが故の発言でしたが、残念ながら冷たく返されてしまいました。
私、フィーア・ノルダン(5)
姉、フリーダ・ノルダン(9)
フリーダが奏でる魔力の音は、苛立ち、焦り、嫌悪。
「私がいては、都合が悪いのですか?」
「お客様がいらしているの、アナタのような気色悪い人間がお会いして良い相手ではありません。 早く、ここから去りなさい」
猫をツマミ出すように、首根っこをつままれる始末です。 幼少期の5歳と9歳には絶対的な身体的な格差があります。 これは知性によって覆るものではありません。
「後生です! せめて、今日、読む予定の本だけでも」
「後で、侍女に頼みなさい!!」
姉の魔力の音色は、不快、苛立ち、焦り、憎悪へと変化しており、久々に話せて嬉しいと言う私の思いが空回りしているのが、寂しく感じたのですが、姉は賢い方、私に居て欲しくないと言うのは、彼女なりの理由があるのだろうと思い大人しく去ろうとしました。
ですが、余程焦っていたのでしょう。
姉は取り乱したように、声を荒げだしたのです。
「アナタは!! 自分が普通ではないと何故理解しないのです。 なぜ、普通であろうとはしないのです!! 使用人達がアナタのことを気味悪がっているのが、なぜ、わからないのですか! 普通に、普通にしなさい!!」
この発言は流石に理不尽だと思いました。
姉は5歳にして基本的な文字を覚え、7歳で基本的な算術を覚え神童だともて囃された。 だけど、私は3歳で書庫の本を読み始め5歳には読破していた。 当然、その過程で基本の算術は身に着けている。
姉は魔力適正も高く、血統魔法を尊ぶ上級貴族に嫁ぐだろうと期待されていた。 だが、そんな姉より私の方が魔力量は多かった。
私も普通ではないかもしれないけれど、姉だって普通ではないのですから。
「私の人生を、これ以上狂わせないで!!」
濡れ衣もいいところです。
私は、勉強に励むことを、知的好奇心を満たすことを、悪いとは思っていません。 思えません。 姉も自らの心の問題と思うからこそ、私との衝突を避け、出会う事を避ける事で対処していたのでしょうから。 こんな風に思われていたとは思いもしませんでした。
仲良くなるのは無理だけど、お互い干渉しない事はできる。 私達は、臆病にお互いを傷つけ会わぬように、距離を取り日々を送っているのだと思っていました。
幼いと言える子供2人がとった行動としては、十分過ぎるものではないでしょうか?
「お願い出て行ってよ!!」
姉が、静かに去るのではなく、こんなに声を荒げるなんて言うのは初めての事です。
「気味が悪いのよ!!
化け物!!
近寄らないで!!
あっちにいって!
未来を台無しにしないで!!」
必死な様子で叫んでいました。
余りの出来事に一瞬、私は身動きが取れなくなったのですが、彼女から感じる魔力の音色が、何時ものような嫌悪、憎悪、恐怖ではなく、泣きたいほどの不安と混乱の嵐のように激しい魔力の音が聞こえ、私は疑問を放棄することにしたのです。
「失礼します!」
「早く、早く、ここから出て行って頂戴!! お願いだから!!」
泣きださんばかりの声で言う姉と、書庫の扉を潜ろうとした私。
「そんな風に言うものではありませんよ。 貴方に良く似た愛らしい方ではありませんか。 そう取り乱さずとも、何が不安なのですか?」
そこに、聞いたことのない落ち着いた少年の声が響いてきたのです。
「お姉様が書庫にいらっしゃるなんて珍しい、いかがなされたのですか? 本をお探しでしたらお手伝い致しますよ?」
幼い子供らしからぬ口調だけれど、これが私なのですから仕方がありません。
「余計なことをせず、考えず、早くここから出ていきなさい」
私と会いたくないからという理由で、書庫には顔を出さない姉が、珍しく書庫にいたのです。 無邪気に「お姉様!」と甘えるような子供ではありませんが、それでも十分に私は姉を尊敬していたが故の発言でしたが、残念ながら冷たく返されてしまいました。
私、フィーア・ノルダン(5)
姉、フリーダ・ノルダン(9)
フリーダが奏でる魔力の音は、苛立ち、焦り、嫌悪。
「私がいては、都合が悪いのですか?」
「お客様がいらしているの、アナタのような気色悪い人間がお会いして良い相手ではありません。 早く、ここから去りなさい」
猫をツマミ出すように、首根っこをつままれる始末です。 幼少期の5歳と9歳には絶対的な身体的な格差があります。 これは知性によって覆るものではありません。
「後生です! せめて、今日、読む予定の本だけでも」
「後で、侍女に頼みなさい!!」
姉の魔力の音色は、不快、苛立ち、焦り、憎悪へと変化しており、久々に話せて嬉しいと言う私の思いが空回りしているのが、寂しく感じたのですが、姉は賢い方、私に居て欲しくないと言うのは、彼女なりの理由があるのだろうと思い大人しく去ろうとしました。
ですが、余程焦っていたのでしょう。
姉は取り乱したように、声を荒げだしたのです。
「アナタは!! 自分が普通ではないと何故理解しないのです。 なぜ、普通であろうとはしないのです!! 使用人達がアナタのことを気味悪がっているのが、なぜ、わからないのですか! 普通に、普通にしなさい!!」
この発言は流石に理不尽だと思いました。
姉は5歳にして基本的な文字を覚え、7歳で基本的な算術を覚え神童だともて囃された。 だけど、私は3歳で書庫の本を読み始め5歳には読破していた。 当然、その過程で基本の算術は身に着けている。
姉は魔力適正も高く、血統魔法を尊ぶ上級貴族に嫁ぐだろうと期待されていた。 だが、そんな姉より私の方が魔力量は多かった。
私も普通ではないかもしれないけれど、姉だって普通ではないのですから。
「私の人生を、これ以上狂わせないで!!」
濡れ衣もいいところです。
私は、勉強に励むことを、知的好奇心を満たすことを、悪いとは思っていません。 思えません。 姉も自らの心の問題と思うからこそ、私との衝突を避け、出会う事を避ける事で対処していたのでしょうから。 こんな風に思われていたとは思いもしませんでした。
仲良くなるのは無理だけど、お互い干渉しない事はできる。 私達は、臆病にお互いを傷つけ会わぬように、距離を取り日々を送っているのだと思っていました。
幼いと言える子供2人がとった行動としては、十分過ぎるものではないでしょうか?
「お願い出て行ってよ!!」
姉が、静かに去るのではなく、こんなに声を荒げるなんて言うのは初めての事です。
「気味が悪いのよ!!
化け物!!
近寄らないで!!
あっちにいって!
未来を台無しにしないで!!」
必死な様子で叫んでいました。
余りの出来事に一瞬、私は身動きが取れなくなったのですが、彼女から感じる魔力の音色が、何時ものような嫌悪、憎悪、恐怖ではなく、泣きたいほどの不安と混乱の嵐のように激しい魔力の音が聞こえ、私は疑問を放棄することにしたのです。
「失礼します!」
「早く、早く、ここから出て行って頂戴!! お願いだから!!」
泣きださんばかりの声で言う姉と、書庫の扉を潜ろうとした私。
「そんな風に言うものではありませんよ。 貴方に良く似た愛らしい方ではありませんか。 そう取り乱さずとも、何が不安なのですか?」
そこに、聞いたことのない落ち着いた少年の声が響いてきたのです。
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