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1章 潮
05.そういうもの
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早朝、私はバイト先のカフェに向かっていた。
聞こえる足音は少なく、穏やかで緩やか……。
欠伸をし、そして背筋を伸ばして、大きく息を吸う。冴えた現実が私の中で濃くなり、昨日感じた恐怖が夢のように薄らいでいった。
秋の色が押し寄せて、ひらりと風に舞い落ちる。
後ろから聞こえる早く軽い足音。
背後から迫り心臓が早くなる。
「ぁっ……」
苦く笑う私を振り返る大型犬。
そして犬はまた走り出した。
まだ、人がまばらな駅。
速足で歩く人達は、ホームやコンビニへと向かう。
鳩が人を避けるように歩き回る。
澄んだ空気が爽やかだった。
カチカチと言う硬い音に振り返った。
ベンチに座る男にドキッとする。
夜の中にみた背格好と似ている気がしたから。
黒のジャケットにスラリとしたパンツ姿の男。
眉根を寄せ煙草をくわえたままライターをカチカチと音をたてている。
それがまるで心臓の音のようで、私は無意識で視線を向けていた。
男と視線があう。私は慌てて視線を逸らし足早に歩くが、男もまた煙草をしまい立ち上がりはじめていた。 コンビニのガラスに映る男を見ながら私は足早に歩き、予定よりも早い電車に飛び乗った。
カフェでは店長の菓子作りを手伝い、そして帰りにもう一度寄ると約束し大学へと向かった。
講義と講義の間、私は友人と図書館へと向かっていた。
行き交う人。
留まる人。
「ぇ?」
紺色のフードが視線の端に見えた。
怯えた様子に驚いた友人が、大丈夫かと声をかけ、昨日何故か怖かったのだと伝えた。
「なら、見てきてあげるよ!!」
友人が紺色のフードの男を連れてきてくれた。
「確かにその駅で、降りるけどさぁ。 あそこって、ここの大学の生徒が多く住んでいるよな? 自意識過剰なんじゃねぇの?」
「そうですね……ごめんなさい」
アッサリと真樹は言いながら、笑みを浮かべた。
「……まぁ、いいけど。そんなに気になるなら、今度見かけたら声でもかければいいだろう。もし俺だったら何か奢ってやるよ」
「何言ってんだか、講義良いんですか?」
友人が不機嫌そうに、用事は終わったから何処か行けとでも言うように追い払う。
「なんだよ!!」
舌打ちの音と共に去る男。
「一度気になると過剰に反応しちゃうだけ、そう言うもんよ。気にしない気にしない」
そうねと同意しようと友人を見れば、その背後10mほどの場所に、朝出会った男がいたような気がした――私は空を見て深呼吸をする。
「図書館に行こうか?」
「そうそう、早く行こうよ。って、大丈夫?何?」
私の視線の先を友人が振り返り、肩を竦める。
「何もないじゃない、行こう」
私は友人の声を頭の中で繰り返した。
「うん、行こう」
友人の視線、言葉を気にして黙り込んでみたけれど、一度気になりだすとリズムから逸れる音がやけに気になって仕方がなかった。
聞こえる足音は少なく、穏やかで緩やか……。
欠伸をし、そして背筋を伸ばして、大きく息を吸う。冴えた現実が私の中で濃くなり、昨日感じた恐怖が夢のように薄らいでいった。
秋の色が押し寄せて、ひらりと風に舞い落ちる。
後ろから聞こえる早く軽い足音。
背後から迫り心臓が早くなる。
「ぁっ……」
苦く笑う私を振り返る大型犬。
そして犬はまた走り出した。
まだ、人がまばらな駅。
速足で歩く人達は、ホームやコンビニへと向かう。
鳩が人を避けるように歩き回る。
澄んだ空気が爽やかだった。
カチカチと言う硬い音に振り返った。
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夜の中にみた背格好と似ている気がしたから。
黒のジャケットにスラリとしたパンツ姿の男。
眉根を寄せ煙草をくわえたままライターをカチカチと音をたてている。
それがまるで心臓の音のようで、私は無意識で視線を向けていた。
男と視線があう。私は慌てて視線を逸らし足早に歩くが、男もまた煙草をしまい立ち上がりはじめていた。 コンビニのガラスに映る男を見ながら私は足早に歩き、予定よりも早い電車に飛び乗った。
カフェでは店長の菓子作りを手伝い、そして帰りにもう一度寄ると約束し大学へと向かった。
講義と講義の間、私は友人と図書館へと向かっていた。
行き交う人。
留まる人。
「ぇ?」
紺色のフードが視線の端に見えた。
怯えた様子に驚いた友人が、大丈夫かと声をかけ、昨日何故か怖かったのだと伝えた。
「なら、見てきてあげるよ!!」
友人が紺色のフードの男を連れてきてくれた。
「確かにその駅で、降りるけどさぁ。 あそこって、ここの大学の生徒が多く住んでいるよな? 自意識過剰なんじゃねぇの?」
「そうですね……ごめんなさい」
アッサリと真樹は言いながら、笑みを浮かべた。
「……まぁ、いいけど。そんなに気になるなら、今度見かけたら声でもかければいいだろう。もし俺だったら何か奢ってやるよ」
「何言ってんだか、講義良いんですか?」
友人が不機嫌そうに、用事は終わったから何処か行けとでも言うように追い払う。
「なんだよ!!」
舌打ちの音と共に去る男。
「一度気になると過剰に反応しちゃうだけ、そう言うもんよ。気にしない気にしない」
そうねと同意しようと友人を見れば、その背後10mほどの場所に、朝出会った男がいたような気がした――私は空を見て深呼吸をする。
「図書館に行こうか?」
「そうそう、早く行こうよ。って、大丈夫?何?」
私の視線の先を友人が振り返り、肩を竦める。
「何もないじゃない、行こう」
私は友人の声を頭の中で繰り返した。
「うん、行こう」
友人の視線、言葉を気にして黙り込んでみたけれど、一度気になりだすとリズムから逸れる音がやけに気になって仕方がなかった。
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