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2章 囀り
13.境界と嘘
「俺に喧嘩を売る? いい度胸だ」
ダン、ダン!
机が両手で叩かれた。
その音を合図に、麻生と“思考の方向が似ている者たち”が、対立を楽しむように煽り始める。
ダン、ダン。
机を叩く音が連鎖し、教室に広がった。
後ろで見守っていた松沢教授が前のめりになり、私の側へ歩み寄る。
騒々しいテーブルの音とは対照的に、麻生の集団以外は不安と戸惑いを抱え、救いを求めるように視線を彷徨わせていた。
もはやグループセッションは形を成していない。
どのテーブルも、私のいる場所と同じように動揺していた。
「他人事で済ませられない、ということか……ふむ、興味深い。個の理性が消失し、種としての生存本能――つまり『力による序列』が、同調という名の触手を介して再構築されている。文明という薄皮を剥げば、現れるのは結局これだ」
松沢教授のぶつぶつとした呟きは、同調から外れた者にしか届かない。
横に立たれたことで、その不穏な言葉が望まぬ鮮明さで耳に入り、背筋がゾワリとした。
「教授?」
「……あぁ、続けてくれたまえ。とても興味深い話だ」
教授は少し声を上げた。
授業という場の“許し”を得た麻生は、ヘラリと笑う。
「嘘はよくねぇってのを理解してくれて嬉しいよ、教授」
「そこまでだ。テーマは境界であって、他人の境界を破り踏み荒らすための免罪符を与えたわけじゃない。そこを守れないなら出て行ってもらう。だが出て行けば……自分の境界を否定したことになるが、どうする?」
「三宮君!!」
珍しく松沢教授が声を上げたが、三宮の視線ひとつで押しとどめられた。
「教授は俺の味方のようですけど?」
麻生がヘラリと笑う。
「今は俺の授業だ。人の境界は尊重して守るからこそ、ディスカッションとして成立する」
三宮は松沢教授を教室の隅へ押しやる。
「さぁ、再開しろ」
教授は小声で何か文句を言っているようだが、その声は誰にも届かない。
麻生はそっぽを向いた。
同じグループの残り二人――上原栄一と緒方さつき。
どちらも大人しいタイプで、互いに視線を合わせ、どちらが先に話すか無言で押し付け合っているように見えた。
(同じ集団の者は避けてグループ分けしたはずなのに……)
上原が先に口を開いた。
「僕は……皆が理解し合えて、幸せそうに笑っていられるのがいい。そんな状況なら、僕の境界を踏み荒らされることもない。だから……平和が僕の境界になっている、かな」
麻生は唾を吐くように顔をしかめた。
「はぁ?」
その一言で、上原の顔色はみるみる悪くなる。
「で、あんた……えっと、緒方はどうなのよ」
「わ、私は……その……」
「黙ってたらグループセッションにならないだろ。なぁ、アンタはどうなのよ? この平和ボケの馴れ合い野郎と俺、どっちが正しいと思うかって聞いてんの」
「わ、私は……その、上原君と同じ……です」
緒方は視線を合わせず、震えていた。
「何それ。そうやって人を弾いて、自分たちだけで平和ですってやるのが理想だと? 自分さえ幸せならいいって、それがアンタの境界? 違うだろ。緒方も上原もさぁ、俺がウザいって思ってるだろ? そういう嘘が嫌いだって言ってんだよ」
対立が明確になっていく。
「ぁ、そ、その……榊さんの境界は何ですか?」
麻生を“いないもの”として扱うように、緒方は私へ視線を向けた。
「お互いを尊重し合い、妥協点を見出すことですね。それができれば、私の境界は維持されます」
「お前、境界の維持って言ったな。境界がテーマだろう。お前の境界を、お前の芯を話せよ。お前ら皆嘘つきだ。人と分かり合うのがいいって言いながら、自分を必死に隠してやがる。俺が一番正直で正しい。これで決まりな」
「自分の気持ちに他人を巻き込んで同調を強いるのは、境界というテーマとは別で、あなたの気持ちで他人の境界を塗り替えようとする行為では?」
しまった――そう思った。
この手の人間は、場を丸めればいい。
どうせ私と境界を越えて親友になるなど考えていない。
流しておけばよかった。
それでも私は言葉を続けた。
「誰も、あなたの境界に触れていませんよ。嘘は言っていないのですから。ここであなたに怯え、『嘘はいけない』と同調することこそ嘘になります」
「は……? ああ、なるほどね」
麻生は一瞬呆気に取られたが、すぐに嫌な笑みを深めた。
「つまりお前、俺が怖くて堪んないって認めたわけだ。心の中じゃ怯えてるのに、口先だけで『仲良くしましょう』なんて嘘はつかないってか。ははっ、いいぜ、合格だ。結局、お前も俺の言う通り“正直であること”が一番だって同調したんだな。俺の力に、嘘偽りなく屈服したってわけだ」
麻生が机を叩いて勝ち誇る。
取り巻きたちも、勝利を共有するように下卑た笑いを漏らした。
教室全体が同調しているようだった。
強い思考に引っ張られるかのように。
不安定、混乱。
境界に入ってこないでほしいとでも言うように、表情をこわばらせる者。
相手が違うとハッキリ言い返し、境界の侵害だと不毛な言い争いを始める者。
そして
頭を抱え、頭痛を訴える者が出始めた。
あちこちから「保健室に行きたい」という声が上がる。
だが松沢教授が「今日の授業を最後まで参加した者には褒美を与える」と言った。
教授の授業は聞き取りづらく、成績はいつも一定。
だがそれ以上にはならず、後々足を引っ張る――そう先輩から聞いたことがある。
二人が講義を抜けたが、残りは留まった。
「負けを認めろよ」
麻生が言う。
「いえ……嘘は、使いようですよ」
私の声は麻生の怒鳴り声より小さかった。
けれど、騒がしい室内をなぞるように、妙に鮮明に響いた。
「たとえば、誰かを傷つけないために飲み込む言葉もあります。
その場を壊さないために、あえて言わないことだってある。
……全部が悪いわけじゃない」
麻生が「あぁ? やっぱり嘘つきじゃねえか」と食ってかかろうとする。
私は一度だけ息を吸って、言葉を継いだ。
「でも、それとこれとは別です。
思ったことをそのままぶつければ正しいとか、
相手を怯えさせて従わせれば正直だとか、
そういう話ではないでしょう」
自分でも、指先が冷えているのがわかった。
それでも視線は逸らさなかった。
「自分の気持ちは、自分のものです。
どこまで見せるかも、どこから先に入れないかも、自分で決める。
……それが、境界なんじゃないですか」
教室が、しんと静まる。
「私は、あなたに同調しません。
屈服もしません。
でも、あなたを否定するために、あなたと同じやり方を選ぶつもりもありません」
余りの静けさに息を飲む声すら聞こえる。
上原や緒方が求めていた「波風を立てないための嘘」でもない。
麻生が強要する「暴力的なまでの正直さ」でもない。
自分の心は自分だけのものだ。
誰にも暴かせないし、誰にも明け渡さない。
私の放った冷ややかな“個の意志”が、
教室に充満していた濁った同調の熱を、一瞬で凍りつかせた。
ただ松沢教授だけが、満足げな笑みを浮かべながら、
教室の端で走り書きを続けていた。
ダン、ダン!
机が両手で叩かれた。
その音を合図に、麻生と“思考の方向が似ている者たち”が、対立を楽しむように煽り始める。
ダン、ダン。
机を叩く音が連鎖し、教室に広がった。
後ろで見守っていた松沢教授が前のめりになり、私の側へ歩み寄る。
騒々しいテーブルの音とは対照的に、麻生の集団以外は不安と戸惑いを抱え、救いを求めるように視線を彷徨わせていた。
もはやグループセッションは形を成していない。
どのテーブルも、私のいる場所と同じように動揺していた。
「他人事で済ませられない、ということか……ふむ、興味深い。個の理性が消失し、種としての生存本能――つまり『力による序列』が、同調という名の触手を介して再構築されている。文明という薄皮を剥げば、現れるのは結局これだ」
松沢教授のぶつぶつとした呟きは、同調から外れた者にしか届かない。
横に立たれたことで、その不穏な言葉が望まぬ鮮明さで耳に入り、背筋がゾワリとした。
「教授?」
「……あぁ、続けてくれたまえ。とても興味深い話だ」
教授は少し声を上げた。
授業という場の“許し”を得た麻生は、ヘラリと笑う。
「嘘はよくねぇってのを理解してくれて嬉しいよ、教授」
「そこまでだ。テーマは境界であって、他人の境界を破り踏み荒らすための免罪符を与えたわけじゃない。そこを守れないなら出て行ってもらう。だが出て行けば……自分の境界を否定したことになるが、どうする?」
「三宮君!!」
珍しく松沢教授が声を上げたが、三宮の視線ひとつで押しとどめられた。
「教授は俺の味方のようですけど?」
麻生がヘラリと笑う。
「今は俺の授業だ。人の境界は尊重して守るからこそ、ディスカッションとして成立する」
三宮は松沢教授を教室の隅へ押しやる。
「さぁ、再開しろ」
教授は小声で何か文句を言っているようだが、その声は誰にも届かない。
麻生はそっぽを向いた。
同じグループの残り二人――上原栄一と緒方さつき。
どちらも大人しいタイプで、互いに視線を合わせ、どちらが先に話すか無言で押し付け合っているように見えた。
(同じ集団の者は避けてグループ分けしたはずなのに……)
上原が先に口を開いた。
「僕は……皆が理解し合えて、幸せそうに笑っていられるのがいい。そんな状況なら、僕の境界を踏み荒らされることもない。だから……平和が僕の境界になっている、かな」
麻生は唾を吐くように顔をしかめた。
「はぁ?」
その一言で、上原の顔色はみるみる悪くなる。
「で、あんた……えっと、緒方はどうなのよ」
「わ、私は……その……」
「黙ってたらグループセッションにならないだろ。なぁ、アンタはどうなのよ? この平和ボケの馴れ合い野郎と俺、どっちが正しいと思うかって聞いてんの」
「わ、私は……その、上原君と同じ……です」
緒方は視線を合わせず、震えていた。
「何それ。そうやって人を弾いて、自分たちだけで平和ですってやるのが理想だと? 自分さえ幸せならいいって、それがアンタの境界? 違うだろ。緒方も上原もさぁ、俺がウザいって思ってるだろ? そういう嘘が嫌いだって言ってんだよ」
対立が明確になっていく。
「ぁ、そ、その……榊さんの境界は何ですか?」
麻生を“いないもの”として扱うように、緒方は私へ視線を向けた。
「お互いを尊重し合い、妥協点を見出すことですね。それができれば、私の境界は維持されます」
「お前、境界の維持って言ったな。境界がテーマだろう。お前の境界を、お前の芯を話せよ。お前ら皆嘘つきだ。人と分かり合うのがいいって言いながら、自分を必死に隠してやがる。俺が一番正直で正しい。これで決まりな」
「自分の気持ちに他人を巻き込んで同調を強いるのは、境界というテーマとは別で、あなたの気持ちで他人の境界を塗り替えようとする行為では?」
しまった――そう思った。
この手の人間は、場を丸めればいい。
どうせ私と境界を越えて親友になるなど考えていない。
流しておけばよかった。
それでも私は言葉を続けた。
「誰も、あなたの境界に触れていませんよ。嘘は言っていないのですから。ここであなたに怯え、『嘘はいけない』と同調することこそ嘘になります」
「は……? ああ、なるほどね」
麻生は一瞬呆気に取られたが、すぐに嫌な笑みを深めた。
「つまりお前、俺が怖くて堪んないって認めたわけだ。心の中じゃ怯えてるのに、口先だけで『仲良くしましょう』なんて嘘はつかないってか。ははっ、いいぜ、合格だ。結局、お前も俺の言う通り“正直であること”が一番だって同調したんだな。俺の力に、嘘偽りなく屈服したってわけだ」
麻生が机を叩いて勝ち誇る。
取り巻きたちも、勝利を共有するように下卑た笑いを漏らした。
教室全体が同調しているようだった。
強い思考に引っ張られるかのように。
不安定、混乱。
境界に入ってこないでほしいとでも言うように、表情をこわばらせる者。
相手が違うとハッキリ言い返し、境界の侵害だと不毛な言い争いを始める者。
そして
頭を抱え、頭痛を訴える者が出始めた。
あちこちから「保健室に行きたい」という声が上がる。
だが松沢教授が「今日の授業を最後まで参加した者には褒美を与える」と言った。
教授の授業は聞き取りづらく、成績はいつも一定。
だがそれ以上にはならず、後々足を引っ張る――そう先輩から聞いたことがある。
二人が講義を抜けたが、残りは留まった。
「負けを認めろよ」
麻生が言う。
「いえ……嘘は、使いようですよ」
私の声は麻生の怒鳴り声より小さかった。
けれど、騒がしい室内をなぞるように、妙に鮮明に響いた。
「たとえば、誰かを傷つけないために飲み込む言葉もあります。
その場を壊さないために、あえて言わないことだってある。
……全部が悪いわけじゃない」
麻生が「あぁ? やっぱり嘘つきじゃねえか」と食ってかかろうとする。
私は一度だけ息を吸って、言葉を継いだ。
「でも、それとこれとは別です。
思ったことをそのままぶつければ正しいとか、
相手を怯えさせて従わせれば正直だとか、
そういう話ではないでしょう」
自分でも、指先が冷えているのがわかった。
それでも視線は逸らさなかった。
「自分の気持ちは、自分のものです。
どこまで見せるかも、どこから先に入れないかも、自分で決める。
……それが、境界なんじゃないですか」
教室が、しんと静まる。
「私は、あなたに同調しません。
屈服もしません。
でも、あなたを否定するために、あなたと同じやり方を選ぶつもりもありません」
余りの静けさに息を飲む声すら聞こえる。
上原や緒方が求めていた「波風を立てないための嘘」でもない。
麻生が強要する「暴力的なまでの正直さ」でもない。
自分の心は自分だけのものだ。
誰にも暴かせないし、誰にも明け渡さない。
私の放った冷ややかな“個の意志”が、
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