38 / 67
2章 囀り
19.名簿
地図の上を、指先でなぞる。
食堂、文系講義棟、学生課、広場――人が出入りし、交わる場所。
関わりが“揃い”を広げ、流れに沿って増幅しているように見えた。
なのに、図書館だけが違う。
利用者は多い。
職員もいる。
本を探し、借り、返し、同じ空間を長く共有する。
それなのに、あそこだけは妙に静かだった。
違和感がない。
真樹は地図の上で止まった指先を見つめた。
自分だって図書館には何度も通っている。
狭い部屋に本を増やせないから、資料が必要な時はあそこへ行くしかなかった。
見慣れた職員もいる。
名前を覚えている人もいる。
あの人たちは、揃っていただろうか?
よくは――覚えていない。
「図書館に……行く?」
調べに行けばいい。
でも迷ってしまう。
疑問を抱くこと、誰かを疑うことが怖いから。
迷いのまま尋ねると、三宮はすぐには答えず、真樹をまっすぐ見た。
「榊がどうしたいかだ」
突き放すような言い方なのに、どこか試すようでもあった。
どうしたいか。
本当は気づいている。
私は、確かめたいのだ。
あそこに出入りしている人間が、本当に“外れている”のかを。
真樹はもう一度、地図に目を落とした。
そして今度は迷いではなく、確かめるために口を開く。
「三宮」
顔を上げ、三宮をじっと見つめた。
「図書館の貸し出し名簿って、借りられるかな」
無言でうなずく三宮を見て、私は部屋を出ようとドアへ視線を向けた。
その前に、二日酔いで危うい足取りの松沢教授が立ち塞がった。
図書館へ向かおうとしていた真樹と三宮は、思わず足を止める。
「……何ですか?」
きょとんと問い返してしまうのも無理はなかった。
押し退ければ通れるかもしれない。
けれど相手は年寄りで、しかも二日酔いで足元も危うい。
無理にどかすのは、さすがに気が引ける。
真樹と三宮は、どうする、とでも言いたげに一瞬だけ視線を交わした。
教授は胸を張るようにして、ふん、と鼻を鳴らした。
「ようやく、私も当事者となれたんだ。そうやすやすと排除させるものか」
真樹は首を傾げた。
「当事者……なってませんよね?」
「何を言う。こんな近くで事象を観察できる機会など、そうそうないんだ。もっと観察させてくれたまえ。私が、私の名前でこれを発表するんだからね」
二日酔いでふらついているくせに、目だけは妙にぎらついていた。
真樹は呆れたように教授を見つめ、三宮は小さく息を吐く。
視線を交わし合う。
教授が視線をそらした。
そして、何かを考え始め、思いついたように声を落とした。
「……ただし、条件がある。別件の調査に向かうなら、この場は通してあげよう」
恩着せがましい言い方だったが、教授の中ではもう答えが出ていた。
教授の中にある確信――
真樹には、怪異を呼び寄せる何かがある。
田村も持つ、そういう人間特有の“何か”。
だが真樹だけでは、松沢の欲しいものには届かず、
三宮だけでは怪異は身を隠す。
だからこそ、この二人で動かす意味があるのだと教授は考えていた。
真樹と三宮は、どちらからともなく頷き合い、その条件を呑んだ。
二人は図書館へ向かう。
エントランスから広がる空間を見回し、真樹は安堵した。
そこに漂う空気は変わらず、人は静かに座り、静かに本を読む。
人がそれぞれ自分の世界に沈んでいる種類の静けさだった。
本を読む人、資料を広げる人、ページをめくる音だけが、緩やかに空気に溶けている。
――信仰に似ている、と真樹は思った。
本を前にした人は、祈るように俯く。
言葉を受け取るために、静かになる。
図書館はその場所として、ずっとここにある。
ここが静かでよかった。
侵害されないことへの安堵が胸に広がる。
そして改めて観測する。
文系講義棟で見かける顔は多かったはずなのに、今はほとんどいなかった。
利用者自体が減っているのかもしれない。
分かっているはずなのに、私は現象が教授の望むような怪異的な存在であることを、まだどこかで拒んでいるのかもしれない。
一方で、三宮は少し珍しそうに周囲を見回している。
図書館に訪れる機会がなかったのか、とても興味深そうで、居心地よさそうに見えた。
「三宮」
声を潜めて呼ぶと、
「……あぁ」
三宮は、途切れかけていた集中を引き戻すように小さく笑った。
「お願いできるよね?」
「分かってる」
そう言って三宮は、助教授という立場を使い、貸し出し名簿のコピーを取りに向かった。
残された静けさの中で、真樹は書架の並びを見渡した。
ここは相変わらず静かで、人同士の揃いは存在していない。
影響の濃い範囲の内側にあるのに、ここだけが切り離されたように、妙に穏やかだった。
だからこそ思う。
ただ偶然、外れているのではないのかもしれない、と。
もしここに、囀りを引き寄せる原因を作った誰かがいるのだとしたら。
あるいは、囀りが留まる理由になる何かを持ち込んだ誰かがいるのだとしたら。
それは場所そのものではなく、人かもしれない。
真樹は指先を握り込んだ。
図書館に通う人間。
繰り返し本を借りる人間。
この静かな場所に、何度も出入りしていた誰か。
名簿を見れば、偏りが見えるかもしれない。
不自然なくらい通っている者。
ある時期を境に急に出入りが増えた者。
あるいは、図書館という例外に最初から深く関わっていた者。
真樹は、自分が何を探そうとしているのかを、そこでようやくはっきり掴んだ。
囀りを呼んだのが“現象”ではなく“誰か”なら、
その痕跡は、きっと人の出入りの中に残っている。
「コピーもらってきたぞ」
三宮の声に振り返る。
「ありがとう」
私と三宮は名簿を眺め、視線を合わせる。
同じ名前に、目が止まっていた。
榊真樹による観測記録・抜粋
対象: 図書館利用者の属性偏りおよび現象との関連性
観測日時: 〇月〇日
記録:
図書館貸し出し名簿を参照し、利用者の所属学部、学年、所属集団、行動範囲を確認した。
利用者の約八割は文学部所属であり、他学部の利用は限定的だった。
学年分布は二年生から四年生に偏り、一年生の利用は比較的少数であった。
学内全体では一年生から三年生の利用が広く見られる一方、四年生の利用者数は想定より少なく、おおむね半数程度に留まっている。
四年次の履修状況を踏まえれば、単位取得済みの学生が図書館利用から離れること自体は一定の自然さを有する。
サークル活動との明確な相関は現時点で確認できず、講義や所属学部に沿った利用傾向の方が強く見られた。
教授層の利用頻度の変化については、時期的要因を考えれば不自然とは断定できない。
また、過去には定期的に図書館を訪れていた食堂職員の利用が減少、あるいは途絶えている。
以上の中で、文学部三年・森清正の利用履歴は、頻度および時期の点で目を引いた。
考察未満の所見:
図書館利用者の偏りは、現象の影響範囲と無関係ではない可能性がある。
特に文学部生への集中は、講義内容、接触機会、行動圏の重なりを通じて現象が強まっていることを示唆する。
四年生利用者の減少は自然要因でも説明可能だが、他集団の離脱傾向と合わせてみると、現象との関連を完全には否定できない。
森清正については、単独で異常と断定できる段階にはないものの、追加観察対象として記録しておく必要がある。
食堂、文系講義棟、学生課、広場――人が出入りし、交わる場所。
関わりが“揃い”を広げ、流れに沿って増幅しているように見えた。
なのに、図書館だけが違う。
利用者は多い。
職員もいる。
本を探し、借り、返し、同じ空間を長く共有する。
それなのに、あそこだけは妙に静かだった。
違和感がない。
真樹は地図の上で止まった指先を見つめた。
自分だって図書館には何度も通っている。
狭い部屋に本を増やせないから、資料が必要な時はあそこへ行くしかなかった。
見慣れた職員もいる。
名前を覚えている人もいる。
あの人たちは、揃っていただろうか?
よくは――覚えていない。
「図書館に……行く?」
調べに行けばいい。
でも迷ってしまう。
疑問を抱くこと、誰かを疑うことが怖いから。
迷いのまま尋ねると、三宮はすぐには答えず、真樹をまっすぐ見た。
「榊がどうしたいかだ」
突き放すような言い方なのに、どこか試すようでもあった。
どうしたいか。
本当は気づいている。
私は、確かめたいのだ。
あそこに出入りしている人間が、本当に“外れている”のかを。
真樹はもう一度、地図に目を落とした。
そして今度は迷いではなく、確かめるために口を開く。
「三宮」
顔を上げ、三宮をじっと見つめた。
「図書館の貸し出し名簿って、借りられるかな」
無言でうなずく三宮を見て、私は部屋を出ようとドアへ視線を向けた。
その前に、二日酔いで危うい足取りの松沢教授が立ち塞がった。
図書館へ向かおうとしていた真樹と三宮は、思わず足を止める。
「……何ですか?」
きょとんと問い返してしまうのも無理はなかった。
押し退ければ通れるかもしれない。
けれど相手は年寄りで、しかも二日酔いで足元も危うい。
無理にどかすのは、さすがに気が引ける。
真樹と三宮は、どうする、とでも言いたげに一瞬だけ視線を交わした。
教授は胸を張るようにして、ふん、と鼻を鳴らした。
「ようやく、私も当事者となれたんだ。そうやすやすと排除させるものか」
真樹は首を傾げた。
「当事者……なってませんよね?」
「何を言う。こんな近くで事象を観察できる機会など、そうそうないんだ。もっと観察させてくれたまえ。私が、私の名前でこれを発表するんだからね」
二日酔いでふらついているくせに、目だけは妙にぎらついていた。
真樹は呆れたように教授を見つめ、三宮は小さく息を吐く。
視線を交わし合う。
教授が視線をそらした。
そして、何かを考え始め、思いついたように声を落とした。
「……ただし、条件がある。別件の調査に向かうなら、この場は通してあげよう」
恩着せがましい言い方だったが、教授の中ではもう答えが出ていた。
教授の中にある確信――
真樹には、怪異を呼び寄せる何かがある。
田村も持つ、そういう人間特有の“何か”。
だが真樹だけでは、松沢の欲しいものには届かず、
三宮だけでは怪異は身を隠す。
だからこそ、この二人で動かす意味があるのだと教授は考えていた。
真樹と三宮は、どちらからともなく頷き合い、その条件を呑んだ。
二人は図書館へ向かう。
エントランスから広がる空間を見回し、真樹は安堵した。
そこに漂う空気は変わらず、人は静かに座り、静かに本を読む。
人がそれぞれ自分の世界に沈んでいる種類の静けさだった。
本を読む人、資料を広げる人、ページをめくる音だけが、緩やかに空気に溶けている。
――信仰に似ている、と真樹は思った。
本を前にした人は、祈るように俯く。
言葉を受け取るために、静かになる。
図書館はその場所として、ずっとここにある。
ここが静かでよかった。
侵害されないことへの安堵が胸に広がる。
そして改めて観測する。
文系講義棟で見かける顔は多かったはずなのに、今はほとんどいなかった。
利用者自体が減っているのかもしれない。
分かっているはずなのに、私は現象が教授の望むような怪異的な存在であることを、まだどこかで拒んでいるのかもしれない。
一方で、三宮は少し珍しそうに周囲を見回している。
図書館に訪れる機会がなかったのか、とても興味深そうで、居心地よさそうに見えた。
「三宮」
声を潜めて呼ぶと、
「……あぁ」
三宮は、途切れかけていた集中を引き戻すように小さく笑った。
「お願いできるよね?」
「分かってる」
そう言って三宮は、助教授という立場を使い、貸し出し名簿のコピーを取りに向かった。
残された静けさの中で、真樹は書架の並びを見渡した。
ここは相変わらず静かで、人同士の揃いは存在していない。
影響の濃い範囲の内側にあるのに、ここだけが切り離されたように、妙に穏やかだった。
だからこそ思う。
ただ偶然、外れているのではないのかもしれない、と。
もしここに、囀りを引き寄せる原因を作った誰かがいるのだとしたら。
あるいは、囀りが留まる理由になる何かを持ち込んだ誰かがいるのだとしたら。
それは場所そのものではなく、人かもしれない。
真樹は指先を握り込んだ。
図書館に通う人間。
繰り返し本を借りる人間。
この静かな場所に、何度も出入りしていた誰か。
名簿を見れば、偏りが見えるかもしれない。
不自然なくらい通っている者。
ある時期を境に急に出入りが増えた者。
あるいは、図書館という例外に最初から深く関わっていた者。
真樹は、自分が何を探そうとしているのかを、そこでようやくはっきり掴んだ。
囀りを呼んだのが“現象”ではなく“誰か”なら、
その痕跡は、きっと人の出入りの中に残っている。
「コピーもらってきたぞ」
三宮の声に振り返る。
「ありがとう」
私と三宮は名簿を眺め、視線を合わせる。
同じ名前に、目が止まっていた。
榊真樹による観測記録・抜粋
対象: 図書館利用者の属性偏りおよび現象との関連性
観測日時: 〇月〇日
記録:
図書館貸し出し名簿を参照し、利用者の所属学部、学年、所属集団、行動範囲を確認した。
利用者の約八割は文学部所属であり、他学部の利用は限定的だった。
学年分布は二年生から四年生に偏り、一年生の利用は比較的少数であった。
学内全体では一年生から三年生の利用が広く見られる一方、四年生の利用者数は想定より少なく、おおむね半数程度に留まっている。
四年次の履修状況を踏まえれば、単位取得済みの学生が図書館利用から離れること自体は一定の自然さを有する。
サークル活動との明確な相関は現時点で確認できず、講義や所属学部に沿った利用傾向の方が強く見られた。
教授層の利用頻度の変化については、時期的要因を考えれば不自然とは断定できない。
また、過去には定期的に図書館を訪れていた食堂職員の利用が減少、あるいは途絶えている。
以上の中で、文学部三年・森清正の利用履歴は、頻度および時期の点で目を引いた。
考察未満の所見:
図書館利用者の偏りは、現象の影響範囲と無関係ではない可能性がある。
特に文学部生への集中は、講義内容、接触機会、行動圏の重なりを通じて現象が強まっていることを示唆する。
四年生利用者の減少は自然要因でも説明可能だが、他集団の離脱傾向と合わせてみると、現象との関連を完全には否定できない。
森清正については、単独で異常と断定できる段階にはないものの、追加観察対象として記録しておく必要がある。
あなたにおすすめの小説
心霊タクシーでおかえりなさい
黄鱗きいろ
ホラー
十八歳の少女、凪は、
心霊タクシーの噂を頼りに片田舎のロータリーを訪れる。
そこで出会った心霊タクシーの運転手に
凪は札束を突きつけて頼み込んだ。
「お願いします。このお金で、行けるところまで私を連れて行ってください! 両親を探してるんです!」
おっさん運転手と訳あり少女の
優しくて少し哀しい心霊譚。
※他サイトにも掲載しています。
「お前のカメラ、ずっと映ってるよ」〜ホラースポット配信者が気づいた時には、もう遅かった〜
まさき
ホラー
ホラースポット専門のYouTuber・桐島悠は、霊も怪異も一切信じない合理主義者だ。
ある廃病院での配信中、今まで感じたことのない「違和感」を覚えた。しかし撮影は無事終了。その後も普通に配信を続け、あの夜のことなど忘れかけていた頃——深夜、金縛りにあう。
疲れてるだけだ。
しかし、それは始まりに過ぎなかった。
記憶の空白。知らない足跡。動画に毎回映り込む、同じ女の姿。そして——「やっと、見つけた」という声。
カメラが映し続けていたのは、心霊スポットではなかった。もっとずっと、近いところにいるものだった。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
私がみた夢の話を誰かきいてくれませんか?※これはあくまでフィクションです。
芝 稍重
ホラー
私は子供の頃から夢日記を書いています。
この話には続きがありますが、ここでは書きません。この話でピンときた人は、コメント欄で知らせてほしいです。
(※このあらすじは、本文にでてくる「夢日記」投稿当時のものを復刻した内容です)
表紙はぱくたそのフリー写真です
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【奨励賞】初恋のその先で、私は母になる
妄夢【ピッコマノベルズ連載中】
恋愛
第19回恋愛小説大賞にて、奨励賞を受賞いたしました。読者の皆様のおかげです!本当ありがとうございます。
王宮で12年働き、気づけば28歳。
恋も結婚も遠いものだと思っていたオリビアの人生は、憧れの年下公爵と一夜を共にしたことで大きく動き出す。
優しく守ろうとする彼。
けれどオリビアは、誰かに選ばれるだけの人生を終わらせたいと思っていた。
揺れる想いの中で、彼女が選んだのは――
自分の足で立ち、自分の未来を選ぶこと。
これは、一人の女性が恋を通して自分を取り戻し、母として、そして一人の人間として強くなっていく物語。
※表紙画像はAI生成イラストをつかっています。
出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です
流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。
父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。
無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。
純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。