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22.日常生活に組み込まれた皆の訓練
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私は人型を取った黒姫を護衛役に人通りの多い中央街に向かう。 人型の黒姫は私より2.3歳年下に見える完全な少女姿。 でも、実際にはルシェよりも年上ならしい。
そんな大層な魔物に護衛されているというと仰々しく感じるのだけど、彼女でなければいけない。
魔物の知性は生きた年数に比例するし、黒姫ほど長く生きていると自然と多くの知識を持つものらしい。 だから悩みのある人の相談にも良く応じてくれる。 後は、魔物の持つ魔力を人に慣れさせるためとか、単純に強いからとか、人に完璧に化けれるとか理由は色々。
家を作る職人が大ケガをして運ばれてくるのを治療すれば、なぜケガが起こったのか? ソレの改善をと言う話を黒姫がする訳で……、だけど人は怒りだす。
「何かあった時になおしてくれればソレでいい!!」
男の言葉に、黒姫は目を座らせる。
「あぁ? 治療してもらっておいて礼も言えないのかい?! そんなんで人の世の道理にかなうっていると思っているのか?!」
コレ本気で怖い、漏らしそうになるほど怖い。 まぁ、私は漏らさないけど。 ってか、ヤラレタ人はズボンを濡らしていた。 それでも、それって人間に対する恐怖なんですよ? 人の姿を完全に模倣しているだけで、人間だと認識して拒絶しないのですすから不思議ですよね?
そんな風に思いながらニマニマしてしまう。 だって、魔物が人の世の道理とか言って、人間を遣り込める様子が妙に痛快で楽しい。 嬉しそうにしていれば黒姫は呆れた顔で私を見るけどね。
「アンタねぇ……そんなに喜ばない」
そして、気絶しかけた人間の胸倉掴んで持ち上げて、頬を殴り黒姫は言う。
「そもそも、こんな事言いたくないし、私だってしたくないんだからさぁ、はいお礼は? ありがとうございますは? いえないの?」
「は、はい!! ありがとうございます!! 面倒をおかけして申し訳ありませんでした!! ところで……」
「なによ」
「姉御と呼んでいいですか?! 後、もう一発殴って下さい」
なんて風なファンが黒姫に増えているのが笑える。 まぁ、かっこいいし優しいし、私も黒姫好きだから、私のと主張するように黒姫を背後から抱きしめてしまう訳で、そうするとまた呆れたように笑われる。
「こらこら、ケガを見て欲しい人が後を待っているわよ」
私には少しだけ声が優しくなるのが、特別感があって嬉しかったりするわけだ。
『キッチリ訓練させてもらいなさい』
結晶を作ることなく、同じ効果を持つ魔力で他者に影響を与えるコントロールの訓練も兼ねている。 治療の順番を待つ人の列を整理するのは、小動物系魔物が化けた子供。 耳とか尻尾とか見えるけど、魔物の流入が隠されていることから、人は勝手に廃棄者だと勘違いする。
それはとても都合がいいらしい。
外から声が聞こえた。
「仕事終わった?」
大人の手伝いも出来ない程の小さな子達が、廃棄者(偽)の子に声をかけていた。 多分魔物の子はマダと首を振っているのだろう。
「そっかぁ、いつ終わる?」
「いつ遊べる?」
「遊ぶ、嬉しい、けど、仕事」
たどたどしい言葉は、音を発して話慣れていないから。
「なら、横でお話してていい」
両手をモジモジし、恥ずかしそうに魔物の子が言う。
「嬉しい」
廃棄者(偽)の子は、人間の子供達に結構人気だ。 言葉が上手く使えないから、基本聞き役に回る者が多いし、大人しく優しく見えるらしい。 最初こそ廃棄者だと胡散臭がっていた子供達の親も、今は廃棄者(偽)と一緒なら安心だと温かな視線で送り出すようだ。
子供魔物が黒姫に聞いた。
「列終わりました。 遊びたい、いい、ですか?」
「約束を守れるならね」
「大丈夫、です」
「なら、いってらっしゃい」
「遊ぶ!」
「うん、いこう!!」
「何する? カクレンボ? 鬼ごっこ? ままごと? お店やさんごっこ?」
そう言う子供達は楽しそう。
約束と言うのは、本気を出さないで、人間にあわせる事。 それが彼等の特訓らしい。 あと、感情が揺さぶられても噛みつかない。 まぁ、自制が効く子だから外に出るのが許されているはずだから、うん、多分、平気。
「呼んだら戻ってきなさいよ!! あと、オヤツは皆で分けて食べること!」
そう告げるのは黒姫。
色々な経験を踏まえ、餌付けは大事だと仲良し手段として採用がなされた。
無邪気な子は柔軟でいいよね。
過去に治療を施した者達の中でも、特に子供達は廃棄者である私、そして私と一緒にいる者達に対しては友好的だ。 自分の子供達を通して納得した大人達は同様で、世話になっているからと色々とくれたりするようになった。
でもそれは極一部で、今でも治療を経験していても警戒している者は少なくないし。 警戒しているけど、ケガや病気は治して欲しいと言う者も多い。
いっそ羽毛だけでなく翼も隠してしまえば、人に馴染みやすいのでは? と思ったのだけど、段階をもって魔物を受け入れやすくしたい。 と言われたのだ。
良く分からない。
「力づくなら数日で制圧できるのに、ずいぶんと手間をかけるんだね」
そうボソリと私が呟いた時、ルシェはこう言っていた。
『俺達が目指すのは、人間との共存であり支配ではないからな』
そんな大層な魔物に護衛されているというと仰々しく感じるのだけど、彼女でなければいけない。
魔物の知性は生きた年数に比例するし、黒姫ほど長く生きていると自然と多くの知識を持つものらしい。 だから悩みのある人の相談にも良く応じてくれる。 後は、魔物の持つ魔力を人に慣れさせるためとか、単純に強いからとか、人に完璧に化けれるとか理由は色々。
家を作る職人が大ケガをして運ばれてくるのを治療すれば、なぜケガが起こったのか? ソレの改善をと言う話を黒姫がする訳で……、だけど人は怒りだす。
「何かあった時になおしてくれればソレでいい!!」
男の言葉に、黒姫は目を座らせる。
「あぁ? 治療してもらっておいて礼も言えないのかい?! そんなんで人の世の道理にかなうっていると思っているのか?!」
コレ本気で怖い、漏らしそうになるほど怖い。 まぁ、私は漏らさないけど。 ってか、ヤラレタ人はズボンを濡らしていた。 それでも、それって人間に対する恐怖なんですよ? 人の姿を完全に模倣しているだけで、人間だと認識して拒絶しないのですすから不思議ですよね?
そんな風に思いながらニマニマしてしまう。 だって、魔物が人の世の道理とか言って、人間を遣り込める様子が妙に痛快で楽しい。 嬉しそうにしていれば黒姫は呆れた顔で私を見るけどね。
「アンタねぇ……そんなに喜ばない」
そして、気絶しかけた人間の胸倉掴んで持ち上げて、頬を殴り黒姫は言う。
「そもそも、こんな事言いたくないし、私だってしたくないんだからさぁ、はいお礼は? ありがとうございますは? いえないの?」
「は、はい!! ありがとうございます!! 面倒をおかけして申し訳ありませんでした!! ところで……」
「なによ」
「姉御と呼んでいいですか?! 後、もう一発殴って下さい」
なんて風なファンが黒姫に増えているのが笑える。 まぁ、かっこいいし優しいし、私も黒姫好きだから、私のと主張するように黒姫を背後から抱きしめてしまう訳で、そうするとまた呆れたように笑われる。
「こらこら、ケガを見て欲しい人が後を待っているわよ」
私には少しだけ声が優しくなるのが、特別感があって嬉しかったりするわけだ。
『キッチリ訓練させてもらいなさい』
結晶を作ることなく、同じ効果を持つ魔力で他者に影響を与えるコントロールの訓練も兼ねている。 治療の順番を待つ人の列を整理するのは、小動物系魔物が化けた子供。 耳とか尻尾とか見えるけど、魔物の流入が隠されていることから、人は勝手に廃棄者だと勘違いする。
それはとても都合がいいらしい。
外から声が聞こえた。
「仕事終わった?」
大人の手伝いも出来ない程の小さな子達が、廃棄者(偽)の子に声をかけていた。 多分魔物の子はマダと首を振っているのだろう。
「そっかぁ、いつ終わる?」
「いつ遊べる?」
「遊ぶ、嬉しい、けど、仕事」
たどたどしい言葉は、音を発して話慣れていないから。
「なら、横でお話してていい」
両手をモジモジし、恥ずかしそうに魔物の子が言う。
「嬉しい」
廃棄者(偽)の子は、人間の子供達に結構人気だ。 言葉が上手く使えないから、基本聞き役に回る者が多いし、大人しく優しく見えるらしい。 最初こそ廃棄者だと胡散臭がっていた子供達の親も、今は廃棄者(偽)と一緒なら安心だと温かな視線で送り出すようだ。
子供魔物が黒姫に聞いた。
「列終わりました。 遊びたい、いい、ですか?」
「約束を守れるならね」
「大丈夫、です」
「なら、いってらっしゃい」
「遊ぶ!」
「うん、いこう!!」
「何する? カクレンボ? 鬼ごっこ? ままごと? お店やさんごっこ?」
そう言う子供達は楽しそう。
約束と言うのは、本気を出さないで、人間にあわせる事。 それが彼等の特訓らしい。 あと、感情が揺さぶられても噛みつかない。 まぁ、自制が効く子だから外に出るのが許されているはずだから、うん、多分、平気。
「呼んだら戻ってきなさいよ!! あと、オヤツは皆で分けて食べること!」
そう告げるのは黒姫。
色々な経験を踏まえ、餌付けは大事だと仲良し手段として採用がなされた。
無邪気な子は柔軟でいいよね。
過去に治療を施した者達の中でも、特に子供達は廃棄者である私、そして私と一緒にいる者達に対しては友好的だ。 自分の子供達を通して納得した大人達は同様で、世話になっているからと色々とくれたりするようになった。
でもそれは極一部で、今でも治療を経験していても警戒している者は少なくないし。 警戒しているけど、ケガや病気は治して欲しいと言う者も多い。
いっそ羽毛だけでなく翼も隠してしまえば、人に馴染みやすいのでは? と思ったのだけど、段階をもって魔物を受け入れやすくしたい。 と言われたのだ。
良く分からない。
「力づくなら数日で制圧できるのに、ずいぶんと手間をかけるんだね」
そうボソリと私が呟いた時、ルシェはこう言っていた。
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