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4話 治療ポーション
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「息はしてるけど、すぐ治療しなきゃ」
追いかけてくる足音は消えたのか先ほどよりも静かになっている。人肌から離れて背中に冷たい土の感触が伝わってきた。その後に布切れをこすり合わせる音がする。何かを探しているのか。
「これ効くかな。とりあえず飲ませてみよう」
水の音だ。何を飲ませる気なのかと気になりそっと目を開けると、女が細い筒状のフラスコを持っている。その中には水色の液体が入っていた。なんなんだあれは。どうやったら水色になるんだ? 草以外のものを混ぜたとして何を混ぜた。
分からない。
そんな不明なものを飲ませようとしているのかこいつは。なんとかして拒否しなくては。ただでさえ体力と血を失いかけているというのに。それが毒だったら間違いなく死ぬ。
「あ、起きたんだね。これ怪我を治すポーションだから飲んで」
そう言って寝転がせた私の上半身を起こし、フラスコの先についたコルクを外して口元に近づけてくる。手で払いのけるほどの体力も残っていない。だからせめてものの抵抗として顔をそらしたが、正面に戻された。逸らし続けることも出来ないのか。
「うぇ……」
少しずつ口の中に入ってくる水はまずいし、草の味しかしない。吐き出したくても入ってくるものに邪魔されて吐き出せない。喉が圧迫される。
「ご、ごめん!」
私の口から流れ出た水に驚いたのか慌てて離していたが、いまだ喉のあたりに残っている水が余計に息苦しさを助長している。上体を起こして欲しいが、水のせいで声も出せない。
「これで出せそう?」
私のお腹あたりに腕を回し、背中をさすっている。上体を起こしたことで喉あたりにあった水を吐き出せたが、まだ少しだけ違和感がある。
「全部出せたみたいだね。よかった」
フラスコを近づけてくる。またあれを飲まないといけないのか。
「まずい……」
「我慢だよ」
とてつもなく苦いが、口にして分かったのは今飲まされているのは毒薬ではなかった。嘘はついてなかったのか。
大人のときであれば匂いでも判断出来たが、今だと口にしないと分からなくなっている。早く元の姿に戻らなくては。
さきほどのこともあり、私の喉がゆっくりと上下に動いているのを確認してから次の量を入れてくる。やけに慣れた手つきだが、近くに看病する者がいるのだろうか。
「全部ではないけど、飲めて良かった」
私を地面に横たわらせ、空っぽになったフラスコ瓶をカバンの中に戻し、慈愛じあいの眼差しで見てくる。
そして何故か頭を優しく撫でられた。
「なぜそんな目で見てくる」
「あ、いや、弟と重ねちゃって」
「弟」
弟か。私にはいないからその眼差しの意図は分からないが、何かあったのだけはわかる。
さっきから休んでいたおかげで起き上がれるほどに体力は戻ってきた。
さて、今後どうするか。今の私の状況では、あの牛すらも狩れないほどに力が失われている。別の方法で生き抜く術すべを探さなくては。
「ど、どこ行くの?」
女の子が心配そうに見上げてくる。
「生き残るための方法を探しに行く」
そして、元の世界に戻る方法を探す。
目線の先にちょうどいいのがあった。それを取ろうと歩き出すだけでもふらふらするが、支えがあればどうにか移動は出来そうだ。洞窟までの移動手段として木の棒を持っていたが、連れ去られたときなくなってしまったようだ。
手に取った木の棒は今の自分の目線よりも少し下ぐらいの大きさだが、前持っていた物よりは使いやすい。
「そういえば名前を聞いていなかった」
いつか恩返しするために名前を知っておかなくては。
「私? 私はアレシアっていうの。君は?」
「アーロ・ガルシアという」
「え、苗字があるってことは貴族の子?!」
何を驚いているのだろうか。今の時代ではファミリーネームがあるのは普通のことだろう。と、思ったが、女の子の防具らしきものなどをよく見てみれば革を鞣したものを着ている。服だって私が着ているものよりも荒い作りだ。
体力を一時的に戻すことに専念していたから気付くのが遅くなったが、まさか昔の地球にタイムスリップでもしたというのか?
そんなことあり得ない。
いくら世界の技術が進化していたとしても、まだタイムスリップするものは作られていない。
追いかけてくる足音は消えたのか先ほどよりも静かになっている。人肌から離れて背中に冷たい土の感触が伝わってきた。その後に布切れをこすり合わせる音がする。何かを探しているのか。
「これ効くかな。とりあえず飲ませてみよう」
水の音だ。何を飲ませる気なのかと気になりそっと目を開けると、女が細い筒状のフラスコを持っている。その中には水色の液体が入っていた。なんなんだあれは。どうやったら水色になるんだ? 草以外のものを混ぜたとして何を混ぜた。
分からない。
そんな不明なものを飲ませようとしているのかこいつは。なんとかして拒否しなくては。ただでさえ体力と血を失いかけているというのに。それが毒だったら間違いなく死ぬ。
「あ、起きたんだね。これ怪我を治すポーションだから飲んで」
そう言って寝転がせた私の上半身を起こし、フラスコの先についたコルクを外して口元に近づけてくる。手で払いのけるほどの体力も残っていない。だからせめてものの抵抗として顔をそらしたが、正面に戻された。逸らし続けることも出来ないのか。
「うぇ……」
少しずつ口の中に入ってくる水はまずいし、草の味しかしない。吐き出したくても入ってくるものに邪魔されて吐き出せない。喉が圧迫される。
「ご、ごめん!」
私の口から流れ出た水に驚いたのか慌てて離していたが、いまだ喉のあたりに残っている水が余計に息苦しさを助長している。上体を起こして欲しいが、水のせいで声も出せない。
「これで出せそう?」
私のお腹あたりに腕を回し、背中をさすっている。上体を起こしたことで喉あたりにあった水を吐き出せたが、まだ少しだけ違和感がある。
「全部出せたみたいだね。よかった」
フラスコを近づけてくる。またあれを飲まないといけないのか。
「まずい……」
「我慢だよ」
とてつもなく苦いが、口にして分かったのは今飲まされているのは毒薬ではなかった。嘘はついてなかったのか。
大人のときであれば匂いでも判断出来たが、今だと口にしないと分からなくなっている。早く元の姿に戻らなくては。
さきほどのこともあり、私の喉がゆっくりと上下に動いているのを確認してから次の量を入れてくる。やけに慣れた手つきだが、近くに看病する者がいるのだろうか。
「全部ではないけど、飲めて良かった」
私を地面に横たわらせ、空っぽになったフラスコ瓶をカバンの中に戻し、慈愛じあいの眼差しで見てくる。
そして何故か頭を優しく撫でられた。
「なぜそんな目で見てくる」
「あ、いや、弟と重ねちゃって」
「弟」
弟か。私にはいないからその眼差しの意図は分からないが、何かあったのだけはわかる。
さっきから休んでいたおかげで起き上がれるほどに体力は戻ってきた。
さて、今後どうするか。今の私の状況では、あの牛すらも狩れないほどに力が失われている。別の方法で生き抜く術すべを探さなくては。
「ど、どこ行くの?」
女の子が心配そうに見上げてくる。
「生き残るための方法を探しに行く」
そして、元の世界に戻る方法を探す。
目線の先にちょうどいいのがあった。それを取ろうと歩き出すだけでもふらふらするが、支えがあればどうにか移動は出来そうだ。洞窟までの移動手段として木の棒を持っていたが、連れ去られたときなくなってしまったようだ。
手に取った木の棒は今の自分の目線よりも少し下ぐらいの大きさだが、前持っていた物よりは使いやすい。
「そういえば名前を聞いていなかった」
いつか恩返しするために名前を知っておかなくては。
「私? 私はアレシアっていうの。君は?」
「アーロ・ガルシアという」
「え、苗字があるってことは貴族の子?!」
何を驚いているのだろうか。今の時代ではファミリーネームがあるのは普通のことだろう。と、思ったが、女の子の防具らしきものなどをよく見てみれば革を鞣したものを着ている。服だって私が着ているものよりも荒い作りだ。
体力を一時的に戻すことに専念していたから気付くのが遅くなったが、まさか昔の地球にタイムスリップでもしたというのか?
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