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5話 異世界に来てしまった……
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「た、大変失礼いたしました」
「私は貴族ではない」
焦った表情をしながら勢いよく立ち上がり、頭を下げてきた。まずは誤解を解かなくては。
「で、ですが、お忍びでこちらにいるのでは」
「お忍びでもなんでもない。ただ迷っていただけだ」
「では、なぜ怪我を」
「さきほど襲ってきた牛のせいだ」
いくら違うと言ってもそれは隠すための言葉にしか聞こえていないようだ。
どうすればいい。
ファミリーネームについて言及すれば誤解が解けるか?
確か普及し始めたのは13世紀ごろだったはずだ。となるとここは中世後期よりも前の時代ということになる。ファミリーネームが世界に広がるまでは時間がかかる。それを踏まえて別の国出身だと言えばまかり通るのでは。
「苗字があるからといって貴族とは限らないぞ。別の国ではそれが普通かもしれない」
「た、確かに。私この国の外に行ったことないし、ガルシアさんの服も初めて見ました」
これなら怪しまれない。服も相まって理解してくれた。ただ、ずっとこの服でいるわけにもいかないな。
「とにかく私のことはアーロと呼んでくれ。堅苦しい話し方もなしだ」
「わ、わかりました」
素直だったから簡単に誤解が解けたが、もし疑い深い人物だったら証拠を出せずにこちらが慌ててたな。
さて、この後どうするか。
まずはここが私が知ってるウェールズ領の森なのかどうかを知らなくては。
アラクネが張った蜘蛛の糸がなくなっているとはいえ、同じ場所かもしれないからな。
とりあえず太陽の位置を確認しよう。今は6月。1番日照時間が多い時期だ。
目覚めた場所であれば真上を見れば分かるのだが、牛に襲われて移動したから分からなくなっている。
「疲れるが体力付けだと思えばなんとも……」
いきなりハードなことをしても自分の体を壊すだけだ。だからまずは歩くことで少しずつ体力をつけていく。
永遠に歩くわけでもないからな。
私の後ろを心配そうな顔をしながらアレシアが付いてきている。
「大丈夫?」
「平気だ」
なにについて言っているのか分からんが、目線の先に光が見えてきた。
だが、その光は昼を表す薄い白色ではなく、夕方を表すオレンジ色だった。
もう夕暮れなのか? いくらなんでも早すぎる。
目覚めた時、真上に太陽はなかったがまだ明るかった。
それに6月ならばかなり遅くまで明るいはずだぞ。
そんなまさか。
木々の間から見える外らしき場所に向かって走って行けば、そこに見えるのは遠くに街らしき場所と空高くを飛んでいるなにか。
そして地で喧嘩しているサイらしき動物と巨大な蛇。
「ここは……私の知る世界ではない」
あんなのは知らない。
疑いたくない。疑いたくないだが、受け止めなくてはならないという考えが頭の中を巡る。
何度も目をこすったり、頬をつねってみたが何も変わらなかった。
アラクネから毒と呪いをもらって、さらには違う世界に飛ばされた?
私が何をしたとはさすがに言えんな。さんざん怪物たちを殺して来たんだ。その報復だろうな。
仕方がない。違う世界ならばこの世界について詳しい者に聞くのが一番だ。
何事も柔軟に対応していかなければ、今のままではいつか近いうちに死んでしまう。
そんなのは嫌だ。なにがなんでも元の場所に戻らなくては。それにこの体についても調べておかないと。
「アレシア。ここについていろいろと教えてほしい」
「えっ!」
アレシアにはすでに素の自分を出してしまっているが、これから会う人物たちには子供という武器を使って世の中を渡る。
プライドがどうのこうのって言われるかもしれんが、死には替えられない。
「私は貴族ではない」
焦った表情をしながら勢いよく立ち上がり、頭を下げてきた。まずは誤解を解かなくては。
「で、ですが、お忍びでこちらにいるのでは」
「お忍びでもなんでもない。ただ迷っていただけだ」
「では、なぜ怪我を」
「さきほど襲ってきた牛のせいだ」
いくら違うと言ってもそれは隠すための言葉にしか聞こえていないようだ。
どうすればいい。
ファミリーネームについて言及すれば誤解が解けるか?
確か普及し始めたのは13世紀ごろだったはずだ。となるとここは中世後期よりも前の時代ということになる。ファミリーネームが世界に広がるまでは時間がかかる。それを踏まえて別の国出身だと言えばまかり通るのでは。
「苗字があるからといって貴族とは限らないぞ。別の国ではそれが普通かもしれない」
「た、確かに。私この国の外に行ったことないし、ガルシアさんの服も初めて見ました」
これなら怪しまれない。服も相まって理解してくれた。ただ、ずっとこの服でいるわけにもいかないな。
「とにかく私のことはアーロと呼んでくれ。堅苦しい話し方もなしだ」
「わ、わかりました」
素直だったから簡単に誤解が解けたが、もし疑い深い人物だったら証拠を出せずにこちらが慌ててたな。
さて、この後どうするか。
まずはここが私が知ってるウェールズ領の森なのかどうかを知らなくては。
アラクネが張った蜘蛛の糸がなくなっているとはいえ、同じ場所かもしれないからな。
とりあえず太陽の位置を確認しよう。今は6月。1番日照時間が多い時期だ。
目覚めた場所であれば真上を見れば分かるのだが、牛に襲われて移動したから分からなくなっている。
「疲れるが体力付けだと思えばなんとも……」
いきなりハードなことをしても自分の体を壊すだけだ。だからまずは歩くことで少しずつ体力をつけていく。
永遠に歩くわけでもないからな。
私の後ろを心配そうな顔をしながらアレシアが付いてきている。
「大丈夫?」
「平気だ」
なにについて言っているのか分からんが、目線の先に光が見えてきた。
だが、その光は昼を表す薄い白色ではなく、夕方を表すオレンジ色だった。
もう夕暮れなのか? いくらなんでも早すぎる。
目覚めた時、真上に太陽はなかったがまだ明るかった。
それに6月ならばかなり遅くまで明るいはずだぞ。
そんなまさか。
木々の間から見える外らしき場所に向かって走って行けば、そこに見えるのは遠くに街らしき場所と空高くを飛んでいるなにか。
そして地で喧嘩しているサイらしき動物と巨大な蛇。
「ここは……私の知る世界ではない」
あんなのは知らない。
疑いたくない。疑いたくないだが、受け止めなくてはならないという考えが頭の中を巡る。
何度も目をこすったり、頬をつねってみたが何も変わらなかった。
アラクネから毒と呪いをもらって、さらには違う世界に飛ばされた?
私が何をしたとはさすがに言えんな。さんざん怪物たちを殺して来たんだ。その報復だろうな。
仕方がない。違う世界ならばこの世界について詳しい者に聞くのが一番だ。
何事も柔軟に対応していかなければ、今のままではいつか近いうちに死んでしまう。
そんなのは嫌だ。なにがなんでも元の場所に戻らなくては。それにこの体についても調べておかないと。
「アレシア。ここについていろいろと教えてほしい」
「えっ!」
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