子豚の魔法が解けるまで

宇井

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5 天使の行き過ぎた施術

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「他にご希望は?」
 「……ある。下半身を改造して欲しい」

  それを口にすると、初めて天使が顔を赤らめた。
  何事にも動じない奴だと思っていたから、こっちの方が、おおっ!? となる。こいつ下ネタ弱いの? って。

 「あの、俺って一回きりの人なんだよ。一晩一発。それが限界。全然回復しないの」

  一度射精すると、それで終了。二度目三度目は汁しか出ない。
  そうなると舐められても擦られても、快楽ではなく苦痛しか感じなくなるのだ。
  アナルでいけるように頑張ってくれた男もいたが、それも駄目だった。挿入されて出し入れされるのは気持ちいいけれど、それはあくまで第二の快感であって、ちんこから得られる快感が一番なことに変わりない。
  だから俺のセックスはちんこで一回勝負。射精した後はアナルでも感じられらなくなって、相手が達するまではひらすら忍耐の時間。
  それを知った歴代の恋人たちには、ちんこに器具を付けられるし、尿道にまで金属棒をつっこまれるしで大変だった。どれも射精を引き延ばす為や、体質を変えようとする為の策だった。
  俺こんなに虐げられちゃってるっ……みたいな興奮があっても気持ち良さはなかったな。
  どの男も俺をいかせないように、かつ俺を気持ちよくさせるようにと頑張ってくれたのだ。だけどそれは俺にとって迷惑でしかなかった。
  一度で満足してくれればいいものの、エリートと言われる男達は総じて性欲も強い。ギリギリまで我慢してようやく達した後は、もう苦痛を抱えながら揺さぶられるしかなかった。変な道具や薬を使われるよりはそっちの方がまし。
  半勃ちにもならなくて、いつまでもブーラブラ揺さぶられてた俺のちんこ。
  立ちバックなんて、視界の隅で親指サイズの力ないちんこがペチンペチン上下左右に揺さぶられてて、慣れたとはいえ何とも情けなかった。

 「……それは大変でしたね。では徹底的にいきましょう」

  天使は急にやる気を出し、両手を合わせ指を鳴らすような仕草をする。
  そして俺の前に跪くと、足を軽く開けさせ、おもむろに袋を揉みしだしてきた。何しろ全裸だからすぐに掴める。
  ふわんふわん。
  ソフトタッチに踵が浮きそうになった。
  それがまた絶妙な力加減で、変な声出そう。そして玉もみの手を緩ませないまま、そっとちんこにも手を添えてきた。それは予想できた行動だったが、きつい。
  これはきつい。
  天使は俺好みのいい男。どうしても奉仕しているようにしか見えないし、これから交わる準備をするのだと視覚から脳がそう錯覚してしまうのは仕方ない事だろう。
  完璧な男が、俺に奉仕している。
  息子が立ち上がってしまうのも、致し方ない事だ……
 血が集まってきて、むきむきっと、完璧に立ち上がってしまった。俺一人で人間じゃない奴に興奮してるのが本気で恥ずかしい。

 「気持いいのですね」

  うっとりと言うな、うっとりと。そこはビジネスちっくにやってくれ。
  天使は跪き、本格的に玉をもみしだく。見下ろせば、挑発的な笑顔で俺をこすっている。

 「確かに、あなたを一度しか味わえないのは、辛いでしょう。過去のあなたの恋人たちの気持ちがよくわかります。色も綺麗ですね。特にさきっぽ。熟れた桃のようです」
 「……うぁ……」

  敏感な先端をいじられて、腰が跳ねる。
  何かにすがりつきたいのに、ここには俺を支える物がなにもない。前に伸ばした手も何も掴む事ができず、俺は戻した手で自分自身を抱きしめるしかなかった。

 「とても……色っぽいですよ」

  上を向いているちんこの先から、つうっと雫が溢れ竿を伝っていくのがわかった。それは天使の指に絡められ、潤滑油の代わりに使われる。
  親指を立ち上がった割れ目に這わせ、ぐりぐりと弄んでくる。たったそれだけの芸がないともいえる手淫なのに、大胆な動きとは裏腹に、上目遣いの天使が舌なめずりしている姿が、腰の奥にぐっとくるのだ。
 こいつ豹変しすぎ。

 「はぁ……あぁ……時間、かかりすぎじゃない……?」

  身長や目の時より随分時間がかかっている。明らかに熱心すぎる。

 「それはもう、念入りにしていますから」
 「ああっ……!」

  脚を大きく開かされ袋の後ろにある窄まりに、指が侵入してきた。流石天使、するっと抵抗なく入ってきて、まるで指先からローションでも出しているかのように滑らかだ。それを腸壁で嫌というほど感じてしまう。
  水分の多いとろみと言うより、固めのゲルを塗り付けられてる感じ。
  立ったままだから膝がガクガクしてくる。

 「はぁっ……すごっ……すぎる」

  俺の頭の中はダダ漏れなんだからと、出てしまう声を抑えずにいた。というか、これを飲み込むのは無理だった。
  何この気持ち良さ、本当、魔法だよ。
  そう思った瞬間、臍をペロリと舐められたのか、その部分が空気に触れると冷たく感じ背が震える。
  そこ、何かあったっけ。
  自分でも気づかぬうちに怪我をしていた、痕がついていたのだろうか。

 「いえ違います。あなたが挑発するから、つい口づけてしまいました」

  不敵な声と共に、弄ぶ速度が早くなる。お蔭で下半身だけでなく全身が熱くて仕方がない。
  臍舐め、ちんこ擦りに指挿入。
  立ったままこれほど攻められるのは初めてだった。この場で崩れ落ちて楽な姿勢で甘受したいけど、天使の力によってかそれが許されない。
  辛い。
  いっつもベッドやバスルームでも横になって愛撫されいたせいか、立っていると余計な力が入ってしまって、他にも意識が持っていかれてしまう。
  気持ちいいのに、気持ちいいだけに集中できないのが辛い。

  せっかくアナルだってちんこ並に気持ち良くなってきてるのにっ……こんなの初めてなのに……っ!

  ちゃんと集中したいのにできないのが悲しい。
  ぐちゅぐちゅ音が、前より後ろの方で大きくなってくる。頭がぼうっとしてくる。
  指、何本入ってだろ。

 「二本ですよ。あなたのここはとてもいい子です。締まりがよくて、指が気持ちよくて止められません。生き物のように絡みついてきます」

  とめる必要なないけど、でもやっぱり長くね。さっきまでって一瞬で終わったよね。だからやっぱり長くね?
  そのつぶやきには返事がなかった。
  まあ、なくていいけど、気持ちいし。

 「素敵ですよ。もう……入れてしまいましょうか?」

  吐息混じり。悪戯に誘うような声にぞくりとした。頬を赤らめていた数分前とは大違いだ。

 「んっ……そんなん、してもいいのかよ……」
 「治療であれば、です。どうでしょう、指が届く範囲には限界がありますが、もっと奥に施した方がいいと思いませんか?」

  悪魔の声だと思った。それが腰にビィンビン響く。これぞ凶器って感じ。
  こいつは天使じゃない、悪魔だって……そうじゃなきゃ、こうしていちいち了解取ることないだろ。目潰しした時みたいにさっさと突っ込めばいいんだ。
  横になりたい。ちゃんと感じたい。ちゃんと抱いて欲しい。

  入れて……

 願った途端、天使に抱きしめられていた。
  しっかりとした体躯に突然抱きしめられ、イケメン顔が俺の髪に埋まる。息遣いがすぐそこにあって、金玉がぎゅっと縮まった。

  早く突っ込んで……! ぐじゅぐじゅにしてっ!

  俺は天使の手で背中を向けることになり、軽く腰を突き出した。
  そして待ち焦がれていた場所に、ぶにゅっと柔らかな感触……
 外国人のちんこって柔らかいって噂で聞いたけど本当だな。
  ぶにぶにした感触が、それでも力強く迷いなく俺に入ってくる。
  あっ、ふっとい。
  みっちりと、これほど入口が拡張されたのは初めてだ。だけど天使の肉が柔らかいからなのか、襞に優しく密着する。
  体の中からミシミシと軋む音がするのに、挿入はスムーズだ。
  カリの段差が前立腺をたっちして、その先を進む。

 「……あうっ!」

  入口にばかり気をやっていたら、そこからはばちゅんと一気に挿入された。それは腸を突き破るんじゃないかってほど深くに入って、俺はのどをさらけ出すと同時に、精を放っていた。
  びゅっと飛び出した精液は、目の前の美しい自然の景色に散り、俺の腹を少し濡らしていた。

  いった。入れられただけでいった……

 急激に高められて爆発してしまった感じで、余韻でちんこの先はジンジンしている。爆ぜる瞬間は気持ち良かったのかもわからず、まるで置いてけぼりをくらったようだ。

「残念。時間です」
 「……はぁ……?」

  間抜けな声がでる。
  下は繋がったまま、顔だけ天使を振り返る。天使も軽く息を荒げ粒の汗を浮かべていた。

 「時間をオーバーしてしまいます。あと三十秒であなたは新たな世界に送られる。それ以降、こちらから世界への干渉は不可能になります」
 「嘘、もう終わりかよっ」

  一応一区切りには違いない。たしかに前ではいったけど、大事なのはこれからじゃない? 本当に一発屋が治ったのかどうかを確かめたいのに。
  それに何だか、いった後なのにじんわり繋がった部分が気持ちいい。これも初めての事だ。それなのにこれで放置は泣くから。
  喋ってないで突いてくれよぉ……

「申し訳ありません。私のミスです。体ばかりに特化して、肝心な願いを聞いていませんでした。重要なことです。次の生で、あなたはどうやって生きたいのですか?」

  俺につっこんだまま、天使は真面目な顔で問う。さっきまであった濃厚な空気は失せているのに、天使のペニスは内側から俺を押している。変な気分だ。
  抱きしめられた腕に力を入れられ、背中に天使を感じ密着したまま答えを請われる。
  だけどあまりにも質問が漠然としていて、どう答えていいかわからなかった。
  どうやって生きたいか? そんなことこの人生で問われたことなんて一度もない。
  それをどう答えろって言うの。
  思わず、まわっていた腕にぎゅっとしがみついた。縋るものが必要だったけれど、尻にも力が入ったみたいで、天使の腹筋がピクピク動いた。

 「……難しく考える必要はないのですよ。何かの研究したい、店を経営したい。単純でいいのです。どうですか? あなたはまた同じように、恋人に愛され養ってもらいたいのですか?」
 「うん、それでいい。だけど……」
 「だけど?」

  促されても口が上手く開かない。

 「こっ、子供……、家族、とか」

  いいな、なんて思うけど……

 男だけど子供とか、家族とか欲しいなぁ、なんて続ける前に、鼓膜が破れるんじゃないかってほどの耳鳴りに襲われる。

 「うわっ!」

  それは脳まで切りつけるような凶悪さで、あっと言う間に意識を失いそうになる。
  そして足元にぽっかり空いた穴に、ギュインと吸引されていく。そしていつの間にか天使の存在感もなくなっていた。
  その耳鳴りの隙間から、天使の声が聞こえた気がした。

 『あなたと束の間ひとつになれてよかったです。どうかあちらでもお幸せに。私は遠くから見守っていますよ』

  なんて、気のせいじゃないよな。
  重力に任せてって感じじゃなくて、吸引力がすごすぎて、腰からぽきっと体が二つ折りになって、前屈姿勢で勢いにのまれる。
   別世界への移動方法が落下とい乱暴さが気になりつつも、流れに身を任せた。
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