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15 救助?
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苦しそうな様子は声だけでなくその状態から伝わってくる。
いや、怖いけど、でもこれって流石に放置できない。
これ、びょ、病気?の発作?
「え、えっ、ちょっと、大丈夫ですか!?」
郁也を抱えたまま走り寄って地面に膝をつくと、郁也は自から俺の膝から降りる。
身軽になった俺は下から男性をのぞきこみ、地面に倒れてしまわないよう腕に手を添える。がっちり筋肉ののった腕だ。助けに入ったつもりだが圧し掛かられたら二人そろって崩れてしまうだろう。
「苦しいんですか、何か持病がありますか?」
一度目が合う。すぐにこの人がαだとわかった。匂いではなく体格と理知的な瞳からだ。
でも今はそれどころじゃない。男性の目からは幾つもの筋になった涙が流れ、胸にあった手を濡らしていた。紳士が人前で流してはいけないもの、鼻水まで垂れている。やはりこれは大ごとだ。
胸に手があるということは心臓が悪いのだろうか。ええっ……心臓って大変じゃん。
「胸が痛いんですか? 薬は持ってますか?」
「……いや……だいじょうぶ。これは……なんでもないんだ。なんでも……あうううっ……どうして……こんなに……こんなにっ……ううっ」
「大丈夫そうには見えないんです。喋ることはできるようですけど、とりあえず横になりませんか」
「……ああ……ああ、そうだね、それがいい……そうしよう。なんてことだ。なんて日だ……すまない」
まだ上着の胸元を握りしめているし、本当はよくないんだと思う。
横になってしばらくすると荒い息が整ってきて、かなりこっちもほっとする。発作がおさまったのだろうか。
地面についていた足から失礼しますと靴を脱がせ、膝を曲げるようにさせてベンチに置く。大人四人が座れるベンチでもこの人が横になると小さく窮屈にみえる。
男性は上の空というか、無意識に俺と郁也の顔を交互に見ている。そして鼻をぐすんと一度鳴らして、また苦しそうに静かに涙を流した。
苦しくて仕方ないように見える。見ているこっちも息がしにくい。眉間の三本の皺がゆっくりと深くなって浅くなって、また深くなって戻らなくなった。
さっきまでこの事態にびびって俺の後ろに隠れていた郁也が、なぜか突然張りきり出して、ポケットから出したハンカチで男性の涙を拭きだす。
この様子は幼児でも見ていられないのだろう。
右左右左と交互にやってるから忙しそうだ。そしてたまに額をぺちぺち触る。熱でも測っている気なのだろう。不謹慎だとは意識していないだろうけれど、興奮してしまっている様子が伝わってくる。この場面でお医者さんごっことは、さすが郁也だ。
「こら、郁也、やめなさい」
「いや、いいんだ……郁也君、ありがとう……冷たくて気持ちがいいよ。でも君が疲れてしまうから」
男性は涙声で笑いかけるけど、顔は歪んでしまっている。
「あの、この状態が続くなら、救急車を呼んでもいいと思いますけど」
多分だけど、軽い症状で救急車呼ぶなよって怒られることはないはず。
「いや、もうしばらく休めば楽になるでしょう、それに近くに車があります。もう大丈夫ですから、私のことは気になさらず、どうぞ行ってください。巻き込んでしまい、本当に申し訳ない」
「だったら職場の方とか、ご家族に連絡しましょうか? その方がいいと思うんですが」
このまま放置してこの人になにかあったら困る。ではお大事に~! とこのまま帰っても気になってしまうだろう。あの人が川っぺりで死んでたらどうしようなんて考え始めたら、きっと夕食なんて喉を通らなくなる。
「連絡……じつは、わたしは仕事はしていなくて、無職でして……それに家族は、いないんですよ……」
「そうでしたか……」
やべ。いらんこと言ってしまったわ。
ちらっと見た革靴はピカピカ、高級品でくたびれていない。スーツの中のシャツは襟も白くぱりっとしている。タブレットやら何やらで常に情報に触れてるイメージだったけど、まさかの無職。
俺と違って悲壮感なんてないから会社員だと勘違いしてしまった。それに家族いないとか。家族いないのは、寂しいよな。病気の時なんて特に不安になる。
この人は家に帰ったら一人なんだ。αだって辛い時は辛いし、人恋しい時だってあるはずだ。
「なあ郁也、もう少しここでこの方を見ていてもいいよね。ご病気だから」
「はい、僕もその方が安心です」
了解をとって男性を見守ることにした。
郁也が何かかけてやったらと言うので、リュックから体操着を出して肩にかける。かけると言うか、ハンカチみたいな小さな布が乗っかってる感じになってしまった。この人、体が大きいんだった。
「おじさん、僕の水筒のお茶のみますか?」
「ありがとう郁也君……十分だよ。これでだけで、すごく、あたたかいよ……うっうっうっ、あたたかいんだ……私には、あたたかすぎるんだぁ。優しすぎるんだぁ……」
体操服をそっと掴んで、目をぎゅっとつむる。あるかないかの保温力より、郁也の優しさを感じているみたいだ。
その間郁也は男性の手をとって「がんばれがんばれ」と声かけ。「静かにしなさい」と俺が注意し、「子供の声に励まされると元気がでます。ううっ、ぐすん」と男性が郁也を庇うループに入っていた。
十五分ほどで男性は復活し自分の足で立った。
郁也が彼の手を引き、俺はタブレットを持って、彼の車の置いてある場所まで歩いた。ゆっくりとした足取りを意識して。そこで初めて互いに自己紹介し、どうしてもと言われて連絡先を交換した。
男性の名前は松園佐保さん。何と言うか、雅なお名前すぎて両手をついてひれ伏したくなる感じ。
『しょうえんさん』じゃ長くて呼びにくいから、佐保さん、史君、郁也君、こんな感じで呼び合う事になった。
佐保さんはやはりゆとりのあるαらしく、近くにある車というのはそこらへんに駐車しておいた乗用車ではなく、白手袋をした運転手つきの車だった。
無理にでもタクシーを呼ぶべきか迷っていたけど、余計なおせっかいをしなくてよかった。
日はもう傾いていて、佐保さんも郁也も夕焼けに染まっている。その橙色で郁也は血色がよく、佐保さんは高い鼻の影と目尻の皺が深く感じられて、やはり疲れてみえた。
「佐保さん、病院にいってくださいね。僕との約束ですからね」
佐保さんは郁也の声に素直に「はい」と短い返事をして、郁也と繋いだ手と長いこと握手していた。
宗賀の義父と近い年頃の佐保さんと接するのは郁也にとって新鮮だったのだろう。宗賀であまり構ってもらった記憶がないせいか、この年頃の男性は郁也も苦手だったはずなのに、すっかり仲良しになっている。
佐保さんにとってもちびっ子は未知との遭遇だったのだろう、最初は手を繋ぐのもぎこちなかったけどすぐに慣れたようだ。
佐保さんと郁也が二人して別れがたそうにしている。
この人とはまた近いうちに会いそうだ。
そう予感して、去っていく車が小さくなり、やがて見えなくなるまで手をふりようやく帰路についた。
いや、怖いけど、でもこれって流石に放置できない。
これ、びょ、病気?の発作?
「え、えっ、ちょっと、大丈夫ですか!?」
郁也を抱えたまま走り寄って地面に膝をつくと、郁也は自から俺の膝から降りる。
身軽になった俺は下から男性をのぞきこみ、地面に倒れてしまわないよう腕に手を添える。がっちり筋肉ののった腕だ。助けに入ったつもりだが圧し掛かられたら二人そろって崩れてしまうだろう。
「苦しいんですか、何か持病がありますか?」
一度目が合う。すぐにこの人がαだとわかった。匂いではなく体格と理知的な瞳からだ。
でも今はそれどころじゃない。男性の目からは幾つもの筋になった涙が流れ、胸にあった手を濡らしていた。紳士が人前で流してはいけないもの、鼻水まで垂れている。やはりこれは大ごとだ。
胸に手があるということは心臓が悪いのだろうか。ええっ……心臓って大変じゃん。
「胸が痛いんですか? 薬は持ってますか?」
「……いや……だいじょうぶ。これは……なんでもないんだ。なんでも……あうううっ……どうして……こんなに……こんなにっ……ううっ」
「大丈夫そうには見えないんです。喋ることはできるようですけど、とりあえず横になりませんか」
「……ああ……ああ、そうだね、それがいい……そうしよう。なんてことだ。なんて日だ……すまない」
まだ上着の胸元を握りしめているし、本当はよくないんだと思う。
横になってしばらくすると荒い息が整ってきて、かなりこっちもほっとする。発作がおさまったのだろうか。
地面についていた足から失礼しますと靴を脱がせ、膝を曲げるようにさせてベンチに置く。大人四人が座れるベンチでもこの人が横になると小さく窮屈にみえる。
男性は上の空というか、無意識に俺と郁也の顔を交互に見ている。そして鼻をぐすんと一度鳴らして、また苦しそうに静かに涙を流した。
苦しくて仕方ないように見える。見ているこっちも息がしにくい。眉間の三本の皺がゆっくりと深くなって浅くなって、また深くなって戻らなくなった。
さっきまでこの事態にびびって俺の後ろに隠れていた郁也が、なぜか突然張りきり出して、ポケットから出したハンカチで男性の涙を拭きだす。
この様子は幼児でも見ていられないのだろう。
右左右左と交互にやってるから忙しそうだ。そしてたまに額をぺちぺち触る。熱でも測っている気なのだろう。不謹慎だとは意識していないだろうけれど、興奮してしまっている様子が伝わってくる。この場面でお医者さんごっことは、さすが郁也だ。
「こら、郁也、やめなさい」
「いや、いいんだ……郁也君、ありがとう……冷たくて気持ちがいいよ。でも君が疲れてしまうから」
男性は涙声で笑いかけるけど、顔は歪んでしまっている。
「あの、この状態が続くなら、救急車を呼んでもいいと思いますけど」
多分だけど、軽い症状で救急車呼ぶなよって怒られることはないはず。
「いや、もうしばらく休めば楽になるでしょう、それに近くに車があります。もう大丈夫ですから、私のことは気になさらず、どうぞ行ってください。巻き込んでしまい、本当に申し訳ない」
「だったら職場の方とか、ご家族に連絡しましょうか? その方がいいと思うんですが」
このまま放置してこの人になにかあったら困る。ではお大事に~! とこのまま帰っても気になってしまうだろう。あの人が川っぺりで死んでたらどうしようなんて考え始めたら、きっと夕食なんて喉を通らなくなる。
「連絡……じつは、わたしは仕事はしていなくて、無職でして……それに家族は、いないんですよ……」
「そうでしたか……」
やべ。いらんこと言ってしまったわ。
ちらっと見た革靴はピカピカ、高級品でくたびれていない。スーツの中のシャツは襟も白くぱりっとしている。タブレットやら何やらで常に情報に触れてるイメージだったけど、まさかの無職。
俺と違って悲壮感なんてないから会社員だと勘違いしてしまった。それに家族いないとか。家族いないのは、寂しいよな。病気の時なんて特に不安になる。
この人は家に帰ったら一人なんだ。αだって辛い時は辛いし、人恋しい時だってあるはずだ。
「なあ郁也、もう少しここでこの方を見ていてもいいよね。ご病気だから」
「はい、僕もその方が安心です」
了解をとって男性を見守ることにした。
郁也が何かかけてやったらと言うので、リュックから体操着を出して肩にかける。かけると言うか、ハンカチみたいな小さな布が乗っかってる感じになってしまった。この人、体が大きいんだった。
「おじさん、僕の水筒のお茶のみますか?」
「ありがとう郁也君……十分だよ。これでだけで、すごく、あたたかいよ……うっうっうっ、あたたかいんだ……私には、あたたかすぎるんだぁ。優しすぎるんだぁ……」
体操服をそっと掴んで、目をぎゅっとつむる。あるかないかの保温力より、郁也の優しさを感じているみたいだ。
その間郁也は男性の手をとって「がんばれがんばれ」と声かけ。「静かにしなさい」と俺が注意し、「子供の声に励まされると元気がでます。ううっ、ぐすん」と男性が郁也を庇うループに入っていた。
十五分ほどで男性は復活し自分の足で立った。
郁也が彼の手を引き、俺はタブレットを持って、彼の車の置いてある場所まで歩いた。ゆっくりとした足取りを意識して。そこで初めて互いに自己紹介し、どうしてもと言われて連絡先を交換した。
男性の名前は松園佐保さん。何と言うか、雅なお名前すぎて両手をついてひれ伏したくなる感じ。
『しょうえんさん』じゃ長くて呼びにくいから、佐保さん、史君、郁也君、こんな感じで呼び合う事になった。
佐保さんはやはりゆとりのあるαらしく、近くにある車というのはそこらへんに駐車しておいた乗用車ではなく、白手袋をした運転手つきの車だった。
無理にでもタクシーを呼ぶべきか迷っていたけど、余計なおせっかいをしなくてよかった。
日はもう傾いていて、佐保さんも郁也も夕焼けに染まっている。その橙色で郁也は血色がよく、佐保さんは高い鼻の影と目尻の皺が深く感じられて、やはり疲れてみえた。
「佐保さん、病院にいってくださいね。僕との約束ですからね」
佐保さんは郁也の声に素直に「はい」と短い返事をして、郁也と繋いだ手と長いこと握手していた。
宗賀の義父と近い年頃の佐保さんと接するのは郁也にとって新鮮だったのだろう。宗賀であまり構ってもらった記憶がないせいか、この年頃の男性は郁也も苦手だったはずなのに、すっかり仲良しになっている。
佐保さんにとってもちびっ子は未知との遭遇だったのだろう、最初は手を繋ぐのもぎこちなかったけどすぐに慣れたようだ。
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