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第一章 浅草十二階バラバラ殺人事件
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長兄も満足そうに笑い、椅子から立ちあがろうとした、のだが、
「待って下さい」
「何だい?」
「彼の疑いは晴れていません」
鈴木巡査が止めた。
「まず彼は男だから、沖塩氏を殺し解体出来た可能性が上がります。さらに動機もある。本人はああ言ってますが、客観的に見れば良客の氏と縁を切られそうになった訳です。情があったのなら尚更、離れる事に怒りを感じたでしょう。何らかの手を使い、中嶋と大串の目を盗んで遺体の各部位を凌雲閣内に置いた事も可能です。それから、お忘れではないでしょうね。現場には、沖塩氏が小波津に渡したハンケチが落ちていた。せめて二人の間に怨恨が無かったと証明して頂きたい」
「忘れてないよ。鈴木巡査の主張も尤もだ。警官らしい着眼点だよ」
長兄は気を悪くした様子は無く、微笑みを返した。
「女性に物騒な力仕事が出来ないかどうかはともかく、君の推測は筋が通っている」
特に、動機は。
小波津の顔が恐怖で引きつった。
「待って下さい。沖塩さんからは大金をもらった訳ではありません。毎回ご指名下さったという意味です。それに私の方から、お金の絡まない純粋な関係になりたいと望んだのです。そして三日前、ハンケチを渡された時も、素っ気ない態度で突き放されたのではありません」
しかし、証拠が無い。言葉では何とでも言える。
「待って下さい」
「何だい?」
「彼の疑いは晴れていません」
鈴木巡査が止めた。
「まず彼は男だから、沖塩氏を殺し解体出来た可能性が上がります。さらに動機もある。本人はああ言ってますが、客観的に見れば良客の氏と縁を切られそうになった訳です。情があったのなら尚更、離れる事に怒りを感じたでしょう。何らかの手を使い、中嶋と大串の目を盗んで遺体の各部位を凌雲閣内に置いた事も可能です。それから、お忘れではないでしょうね。現場には、沖塩氏が小波津に渡したハンケチが落ちていた。せめて二人の間に怨恨が無かったと証明して頂きたい」
「忘れてないよ。鈴木巡査の主張も尤もだ。警官らしい着眼点だよ」
長兄は気を悪くした様子は無く、微笑みを返した。
「女性に物騒な力仕事が出来ないかどうかはともかく、君の推測は筋が通っている」
特に、動機は。
小波津の顔が恐怖で引きつった。
「待って下さい。沖塩さんからは大金をもらった訳ではありません。毎回ご指名下さったという意味です。それに私の方から、お金の絡まない純粋な関係になりたいと望んだのです。そして三日前、ハンケチを渡された時も、素っ気ない態度で突き放されたのではありません」
しかし、証拠が無い。言葉では何とでも言える。
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