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乙女ゲーム以前
一夜が明けて
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朝食の後、のろのろと部屋から出てきたフィリベールとバッタリ会った。私の顔を見るなり逃げようとする彼の襟を引っ張る。
「フィリベール!」
「ぐえ。……何するんだ!」
「逃げないで話をしてくれるなら離してあげる」
「何様だっての……まあいい。話って何だ?」
何度か咳払いをして、彼は私の方を向いた。
フィリベールの部屋に入るのは憚られたので、音楽室に場所を移すことにした。部屋に入るとミレイユ様がピアノの鍵盤を撫でて物思いに耽っていた。
「母上……」
「お、起きたのね?体調は?」
息子に向かって笑顔を作る。あの事件の後だ。王宮には行かず、今日は一日フィリベールと過ごすことにしたのか。親子関係はドライに見えても、そうでもないのね。
「問題ありません。……昨日は、その……お騒がせしました」
「毒を飲んだって連絡が来た時は、本物の毒かと思ってびっくりしたよー。第二報で、うちの倉庫にある『毒』だって分かって、王女殿下がうちに向かわれたと聞いて、まー、どうしましょって」
にやり、と悪戯な微笑を浮かべる。
「……母上は意地が悪い」
「結果的にいい方に転がったんだから、喜びなさいよ。王女殿下と晴れて両想いよ」
バシバシと息子の背中を叩く。フィリベールは真っ赤になって震えている。そうよね。親に冷やかされるのって嫌よね。
「ミレイユ様」
「エレナにも心配かけたね。あのじいさん医師に薬を調べろって言ったんだって?」
「いいえ……私は何も。調べてはいただけませんでしたし。王女殿下がいらっしゃってよかったです」
王宮の医師団が来なかったら、毒が毒でないことも分からないままだった。下手に他の解毒薬を飲んで、かえって体調不良になることもある。
「皆に聞いたんだけど、殿下の気迫がすごかったらしいね。次代の女王陛下は、うちの使用人達にも指示を出して……流石だよねえ」
「殿下はそれだけ、必死だったのですわ。誰かさんが変な薬を飲んだから」
「嫌味な言い方やめろ。こっちだっていっぱいいっぱいだったんだからな。お前の婚約者が、殿下に近づいたりするから」
「クラウディオは王女殿下の眼中にありませんわ。殿下のお部屋に入れていただいた時に……」
「殿下のお部屋だって!?ずるいぞ、お前!外国人のくせに!僕だって入ったことがないのに」
「あなたをお部屋に入れるのは、殿下も勇気が必要だと思いますわ」
隣でミレイユ様がくすくすと笑う。
「私も入ったことはある」
「母上まで……」
「あれはなかなか、強烈な……。王女殿下は絵がご趣味だと分かっていても、ああも壁一面に……」
「絵が飾られているのですか?何が問題なのです?」
フィリベールが首を傾げる。ミレイユ様は私を見て、続きを話してほしそうにしている。
「殿下のお部屋にあるのは、ご自分でお描きになった男性の肖像画ばかりなのよ」
「何てことだ……!」
頭を抱えて倒れそうになった息子を支え、椅子に誘導する。
「気になるなら見せてほしいとお願いするのね」
「頼むから、教えてください、母上!殿下は誰の肖像画を飾っていたのです?絵のモデルとはいえ、殿下と長時間同じ空間にいたなど……僕が許さない!」
わなわなと震えている。教えてあげてもいいけれど、殿下に直接訊いてほしい。
「その人をどうするつもりなの?」
「会って話をつけます。殿下に好意を抱いているようなら、どんなことでもして諦めさせます」
「諦めさせるのは無理じゃないかしら?ねえ、エレナ?」
「そうですね。将来を悲観して毒を飲むかもしれませんわ」
「一体、誰が……」
ミレイユ様と私が顔を見合わせて笑うと、フィリベールは不満そうな顔で黙った。
◆◆◆
「僕が、殿下を?監禁するって?」
「そうよ。そんな気持ちになったことはない?」
「何を言っているんだ?エレナ、君は馬鹿なの?」
ブスとかバカとか、いい加減にしろっての!
「その減らず口、永久に閉じさせてあげましょうか?」
握りこぶしを作ってフィリベールの顔にロックオンする。
「やめろって。僕の顔に傷がついたら、王女殿下が気になさるだろ」
「ほほー。愛されてるアピールかしら?」
「違うって!……王女殿下を監禁なんかしたら、罰せられるのは僕だけじゃない。母上や親戚全員が何らかの罰を受ける。僕は死罪だろうけど。シルヴェーヌ殿下が女王に即位された後でも、状況は同じさ。数時間自由を奪っただけで、僕に未来はない」
瞳は真剣だった。フィリベールは監禁したいタイプのヤンデレではなかったのか。王女殿下に聞いた他のキャラが全く見えて来ないところを見ると、ヤンデレ化を起こすフラグすら立っていないらしい。他の攻略対象の好感度が全く上がっていないのかしら?
「シルヴェーヌ殿下には、あなたの他に求婚者はいないの?ええと、ほら、少し年上のハトコとか、年下ワンコ系騎士とか、ツンデレ家庭教師とか……」
列挙する度にフィリベールの目が昏くなっていく。ギリ、と奥歯を噛む音がした。
「あいつら……また、性懲りもなく……」
「いやいや、今のはたとえよ?」
王女殿下から乙女ゲームの設定を聞いたとは言えない。殿下の話では、ハトコの家は事業に失敗して王宮に上がれるような経済状況ではなく、騎士になりそうなワンコ君はとんでもないビビリで自宅に引き籠っているらしいし、家庭教師もいつの頃からか女性に代わったって……まさかね。
「あらゆる可能性は排除したのに、まさか外国から余計なや……コホン。客人が来るとは思っていなかったよ。防ぎようがなかった。……しかし、君の婚約者は何なんだ?僕が直々に教えてやったのに、女性を褒める言葉の一つも紡げないなんて。どこかおかしいんじゃないか?」
「そうかもしれませんわね」
絶対におかしいわよ。私もそう思うもの。
私を前にした時の、挙動不審なこと。加えて、あのたどたどしい告白……。
……嫌だ。思い出しちゃうじゃない。
「昨日、殿下が僕に話してくださったんだ。僕の前では緊張なさって、思っていらっしゃることをうまく伝えられないと」
「私もお聞きしましたわ」
「クラウディオもそうなんだろう?」
「……は?」
「彼の場合はそれほど親しくない人全般に緊張するようだけれど、慣れれば問題なさそうだ。ただ、君に対しては余計酷くなる気がする。単なる人見知りではないよね。彼と何があったんだ?」
「何って……」
いろいろありすぎて説明しにくいわ。
あいつにはたくさん傷つけられてきたんだもの。
「王女殿下はあれほどお美しい方なのに、ご自分の容姿が僕に釣り合わないとお考えだった。だから、僕が殿下を美しいと褒める度に、僕の言葉が信じられなくなったのだと仰っていたよ。トラウマになっていたのだとね。クラウディオのトラウマは何なんだ?」
「知らないわ。トラウマなんて……」
あの最低男に過去の傷なんてあるの?
私は幼い頃から、彼に気に入られようと……努力していたのよ。無駄だったけれど。
「僕と陛下が初めてお会いしたのは六歳の頃だった。その頃から、僕は陛下を心から崇拝して、彼女に向かって美しいと言い続けてきたんだ。殿下は僕の言葉をそのまま信じてはくださらない。相当時間をかけないと氷は融けそうにないよ」
六歳?
私がクラウディオと会ったのは、五歳の時だった。
乙女ゲームに転生したと気づいて、絶叫して……。
そうか。あの時、自分のことで精いっぱいだったけれど、クラウディオだって八歳の子供だったのよね。
私が考え込んでいると、フィリベールは席を立った。
「話は、終わり?」
「え、ええ……」
「僕はそろそろ、殿下の御機嫌伺いに行く時間だから」
じゃあ、と言うと、フィリベールはスキップしそうな軽やかな足取りで音楽室から出て行った。
侍女がクラウディオの来訪を告げたのは、それから間もなくのことだった。
「フィリベール!」
「ぐえ。……何するんだ!」
「逃げないで話をしてくれるなら離してあげる」
「何様だっての……まあいい。話って何だ?」
何度か咳払いをして、彼は私の方を向いた。
フィリベールの部屋に入るのは憚られたので、音楽室に場所を移すことにした。部屋に入るとミレイユ様がピアノの鍵盤を撫でて物思いに耽っていた。
「母上……」
「お、起きたのね?体調は?」
息子に向かって笑顔を作る。あの事件の後だ。王宮には行かず、今日は一日フィリベールと過ごすことにしたのか。親子関係はドライに見えても、そうでもないのね。
「問題ありません。……昨日は、その……お騒がせしました」
「毒を飲んだって連絡が来た時は、本物の毒かと思ってびっくりしたよー。第二報で、うちの倉庫にある『毒』だって分かって、王女殿下がうちに向かわれたと聞いて、まー、どうしましょって」
にやり、と悪戯な微笑を浮かべる。
「……母上は意地が悪い」
「結果的にいい方に転がったんだから、喜びなさいよ。王女殿下と晴れて両想いよ」
バシバシと息子の背中を叩く。フィリベールは真っ赤になって震えている。そうよね。親に冷やかされるのって嫌よね。
「ミレイユ様」
「エレナにも心配かけたね。あのじいさん医師に薬を調べろって言ったんだって?」
「いいえ……私は何も。調べてはいただけませんでしたし。王女殿下がいらっしゃってよかったです」
王宮の医師団が来なかったら、毒が毒でないことも分からないままだった。下手に他の解毒薬を飲んで、かえって体調不良になることもある。
「皆に聞いたんだけど、殿下の気迫がすごかったらしいね。次代の女王陛下は、うちの使用人達にも指示を出して……流石だよねえ」
「殿下はそれだけ、必死だったのですわ。誰かさんが変な薬を飲んだから」
「嫌味な言い方やめろ。こっちだっていっぱいいっぱいだったんだからな。お前の婚約者が、殿下に近づいたりするから」
「クラウディオは王女殿下の眼中にありませんわ。殿下のお部屋に入れていただいた時に……」
「殿下のお部屋だって!?ずるいぞ、お前!外国人のくせに!僕だって入ったことがないのに」
「あなたをお部屋に入れるのは、殿下も勇気が必要だと思いますわ」
隣でミレイユ様がくすくすと笑う。
「私も入ったことはある」
「母上まで……」
「あれはなかなか、強烈な……。王女殿下は絵がご趣味だと分かっていても、ああも壁一面に……」
「絵が飾られているのですか?何が問題なのです?」
フィリベールが首を傾げる。ミレイユ様は私を見て、続きを話してほしそうにしている。
「殿下のお部屋にあるのは、ご自分でお描きになった男性の肖像画ばかりなのよ」
「何てことだ……!」
頭を抱えて倒れそうになった息子を支え、椅子に誘導する。
「気になるなら見せてほしいとお願いするのね」
「頼むから、教えてください、母上!殿下は誰の肖像画を飾っていたのです?絵のモデルとはいえ、殿下と長時間同じ空間にいたなど……僕が許さない!」
わなわなと震えている。教えてあげてもいいけれど、殿下に直接訊いてほしい。
「その人をどうするつもりなの?」
「会って話をつけます。殿下に好意を抱いているようなら、どんなことでもして諦めさせます」
「諦めさせるのは無理じゃないかしら?ねえ、エレナ?」
「そうですね。将来を悲観して毒を飲むかもしれませんわ」
「一体、誰が……」
ミレイユ様と私が顔を見合わせて笑うと、フィリベールは不満そうな顔で黙った。
◆◆◆
「僕が、殿下を?監禁するって?」
「そうよ。そんな気持ちになったことはない?」
「何を言っているんだ?エレナ、君は馬鹿なの?」
ブスとかバカとか、いい加減にしろっての!
「その減らず口、永久に閉じさせてあげましょうか?」
握りこぶしを作ってフィリベールの顔にロックオンする。
「やめろって。僕の顔に傷がついたら、王女殿下が気になさるだろ」
「ほほー。愛されてるアピールかしら?」
「違うって!……王女殿下を監禁なんかしたら、罰せられるのは僕だけじゃない。母上や親戚全員が何らかの罰を受ける。僕は死罪だろうけど。シルヴェーヌ殿下が女王に即位された後でも、状況は同じさ。数時間自由を奪っただけで、僕に未来はない」
瞳は真剣だった。フィリベールは監禁したいタイプのヤンデレではなかったのか。王女殿下に聞いた他のキャラが全く見えて来ないところを見ると、ヤンデレ化を起こすフラグすら立っていないらしい。他の攻略対象の好感度が全く上がっていないのかしら?
「シルヴェーヌ殿下には、あなたの他に求婚者はいないの?ええと、ほら、少し年上のハトコとか、年下ワンコ系騎士とか、ツンデレ家庭教師とか……」
列挙する度にフィリベールの目が昏くなっていく。ギリ、と奥歯を噛む音がした。
「あいつら……また、性懲りもなく……」
「いやいや、今のはたとえよ?」
王女殿下から乙女ゲームの設定を聞いたとは言えない。殿下の話では、ハトコの家は事業に失敗して王宮に上がれるような経済状況ではなく、騎士になりそうなワンコ君はとんでもないビビリで自宅に引き籠っているらしいし、家庭教師もいつの頃からか女性に代わったって……まさかね。
「あらゆる可能性は排除したのに、まさか外国から余計なや……コホン。客人が来るとは思っていなかったよ。防ぎようがなかった。……しかし、君の婚約者は何なんだ?僕が直々に教えてやったのに、女性を褒める言葉の一つも紡げないなんて。どこかおかしいんじゃないか?」
「そうかもしれませんわね」
絶対におかしいわよ。私もそう思うもの。
私を前にした時の、挙動不審なこと。加えて、あのたどたどしい告白……。
……嫌だ。思い出しちゃうじゃない。
「昨日、殿下が僕に話してくださったんだ。僕の前では緊張なさって、思っていらっしゃることをうまく伝えられないと」
「私もお聞きしましたわ」
「クラウディオもそうなんだろう?」
「……は?」
「彼の場合はそれほど親しくない人全般に緊張するようだけれど、慣れれば問題なさそうだ。ただ、君に対しては余計酷くなる気がする。単なる人見知りではないよね。彼と何があったんだ?」
「何って……」
いろいろありすぎて説明しにくいわ。
あいつにはたくさん傷つけられてきたんだもの。
「王女殿下はあれほどお美しい方なのに、ご自分の容姿が僕に釣り合わないとお考えだった。だから、僕が殿下を美しいと褒める度に、僕の言葉が信じられなくなったのだと仰っていたよ。トラウマになっていたのだとね。クラウディオのトラウマは何なんだ?」
「知らないわ。トラウマなんて……」
あの最低男に過去の傷なんてあるの?
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「僕と陛下が初めてお会いしたのは六歳の頃だった。その頃から、僕は陛下を心から崇拝して、彼女に向かって美しいと言い続けてきたんだ。殿下は僕の言葉をそのまま信じてはくださらない。相当時間をかけないと氷は融けそうにないよ」
六歳?
私がクラウディオと会ったのは、五歳の時だった。
乙女ゲームに転生したと気づいて、絶叫して……。
そうか。あの時、自分のことで精いっぱいだったけれど、クラウディオだって八歳の子供だったのよね。
私が考え込んでいると、フィリベールは席を立った。
「話は、終わり?」
「え、ええ……」
「僕はそろそろ、殿下の御機嫌伺いに行く時間だから」
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