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霧島七瀬というキャラクターを通じて描きたかったのは「持っている人間なりの苦悩」でした。
彼女は考えられうる最短のルートで教師になる夢を叶え、同棲相手もいて、容姿端麗で、教師なのでもちろん頭脳明晰です。
何ひとつ失うものはないのですが、実のところ、手に入ったものもそこまで多くない。
親との仲は壊れてしまったし、初恋の相手には気持ちを伝えられなかったし、同棲相手ともあまり上手くいってない。容姿端麗であることも、時としてマイナスに働いた。
それら全ては(ある意味)彼女の自業自得ともいえるし、それだけに強い苦悩を抱えています。
そういった彼女の苦悩を深めていた元凶が、悦子であり美登里であるわけですね。名わき役たちの存在意義を感じていただけて感謝です。
書きたい展開が多かったため思いのほか長くなったのと、最後もうちっと盛り上げたかったなーという後悔もあるのですが、花火のシーンは二回ともエモかったんじゃないかなと、花火展開マニアとしては思うのです。
結末の解釈は仰るとおり、読み手に全てまかせました。それでも言えるのは、記憶を失ったことは森川にとって完全に不幸ではないし、彼ら彼女らは、しっかり前を向けたはず、ということですかね。
そうなんじゃないかな? と思わせたり、いや、もしかして勘違いかな? と思わせたり。情報の出し入れに拘った章でした。
七瀬に比べると尺の短い章になりましたが、短いなかでもしっかり落ちはつけられたのかなと。
冒頭の蓮はわりとクズっぽい(苦笑)思考をしているので、元々あったはずの純粋さを取り戻していく様が、あまり不自然にならないようにと気遣いました。
背伸びをしていたこの思考こそが、彼にとっての『嘘』であったわけです。
こちらも拝読させて頂く決意がつきました。
タイムカプセルに入れられた十年後の自分たち。
未来への手紙に何が記されているのか?
楽しみにして読ませて頂きます。
一話目の気持ちをここに残しておきます。
アルファでは初感想。ありがとうございます!
事件の裏と表を、二人の主人公の視点から描いた作品です。
タイムカプセルから出てきた手紙の文面が、彼らの心にどんな影を落とすのか。過去を見つめ直したことで、どんな決断をくだすのか?あたりがテーマでしょうか。