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芽吹の箱庭
出会い
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「よし、そろそろ移動するか。ここに長居はしたくないな。」
初めての戦闘の後、僕はしばらく立ち上がることができなかった。仕方のないことだ。初めて、死への恐怖と命を奪う戸惑いを同時に体験したのだ。
本当はもう少し休憩したかったのだが、またすぐに別の魔物が襲ってくる可能性もあるため、まだ震える膝を叩いて歩き出した。
歩を進めるごとに、足元にあった怪しい植物たちは、棘は丸みを帯び、色も柔らかくなっていく。毒々しい花の隣に、白い小花がひっそりと咲いている。光が差し込む隙間が増え、空気が少しずつ澄んでいく。鳥のさえずりが遠くから聞こえ始め、風が頬を撫でる。
やがて森は開け、そこには淡いピンクや黄色の花々が揺れる小道が現れる。先ほどまでの不気味さは嘘のように、心がほどけていく。
「ふぅー。」
自然と安堵のため息が漏れた。少し足取りが軽くなり、緊張感がほぐれたその時。
かすかに金属音と怒声が聞こえた気がして足を止めた。耳を澄ますと、静寂を破るその気配は明らかに戦闘のものだった。
空気が一瞬で張り詰める。足元の草がざわめき、木々が緊張に震えるように見えた。
誰かが戦っている? この世界に来てから、初めて聞く“人の気配”。敵かもしれない。罠かもしれない。けれど、胸の奥がざわつく。
手のひらが汗ばみ、足が自然と音の方へ向かってしまう。理性は止めようとするのに、心が逸る。
孤独だった。ずっと、誰にも会えなかった。やはりどこか寂しかったのだろう。
だからこそ、戦闘音の向こうに“誰か”がいるかもしれないという事実が、胸を熱くする。
たとえそれが危険でも、たとえ言葉が通じなくても——人に、出会えるかもしれない。
茂みを抜けると、視界が開けた小さな谷間に出る。そこでは、冒険者のような恰好をした若い男女二人が二足歩行の群れと交戦していた。
鋭い不快な奇声を発しながら動き回っているのは、肌は灰緑色で、背丈は人間の半分ほど。その目は濁った黄色に光り、獲物を見つけた獣のようにぎらついている。
「ゴブリン?!」
ゴブリン達は、それぞれが粗末な武器を手にしていた——錆びた短剣、骨のような物でできた棍棒、そして石を詰めた革袋や弓矢を持った者までいる。
少年の方は大剣を振るい、敵の注意を引きつけながらも、肩口から血を流している。少女の方は短杖を手に、素早く詠唱を繰り返しながら援護魔法を放っていた。
「リオ!下がって!」少女の叫びが響く。
「無理だ、今下がったらお前が囲まれる!」と、少年――リオは歯を食いしばりながら応戦を続ける。
押されているようだ。
ゴブリンは一匹だと大したことがなくても、群れでこられると厄介なんだよな?
僕は一瞬迷ったが、すぐに足を踏み出した。つい今しがた命の危機に面したところだが、今は迷っている場合ではない。
「援護する!」
声を上げ、瞬時に箱庭内で石から鋭く尖った破片をイメージする。即席のナイフだ。
迫るゴブリンの喉元へ突き出す。
抵抗の感触、そして手に返る温かい血の感覚。
ゴブリンは呻き声を上げ、崩れ落ちた。
先程の遠距離からの攻撃とは違い、自らの手で命を奪う感触。
だがその感覚に浸る間もなく二匹目が襲い掛かってくる。
少女が驚いたように僕を振り返る。
「あなたは……!」
「後で話そう!今は、こいつらを片付けるのが先だ!」
「ありがとう!」
「助かる!」
三人の呼吸が一つになり、戦場の空気が変わる。初対面のはずなのに、不思議と連携が取れていた。
初めての戦闘の後、僕はしばらく立ち上がることができなかった。仕方のないことだ。初めて、死への恐怖と命を奪う戸惑いを同時に体験したのだ。
本当はもう少し休憩したかったのだが、またすぐに別の魔物が襲ってくる可能性もあるため、まだ震える膝を叩いて歩き出した。
歩を進めるごとに、足元にあった怪しい植物たちは、棘は丸みを帯び、色も柔らかくなっていく。毒々しい花の隣に、白い小花がひっそりと咲いている。光が差し込む隙間が増え、空気が少しずつ澄んでいく。鳥のさえずりが遠くから聞こえ始め、風が頬を撫でる。
やがて森は開け、そこには淡いピンクや黄色の花々が揺れる小道が現れる。先ほどまでの不気味さは嘘のように、心がほどけていく。
「ふぅー。」
自然と安堵のため息が漏れた。少し足取りが軽くなり、緊張感がほぐれたその時。
かすかに金属音と怒声が聞こえた気がして足を止めた。耳を澄ますと、静寂を破るその気配は明らかに戦闘のものだった。
空気が一瞬で張り詰める。足元の草がざわめき、木々が緊張に震えるように見えた。
誰かが戦っている? この世界に来てから、初めて聞く“人の気配”。敵かもしれない。罠かもしれない。けれど、胸の奥がざわつく。
手のひらが汗ばみ、足が自然と音の方へ向かってしまう。理性は止めようとするのに、心が逸る。
孤独だった。ずっと、誰にも会えなかった。やはりどこか寂しかったのだろう。
だからこそ、戦闘音の向こうに“誰か”がいるかもしれないという事実が、胸を熱くする。
たとえそれが危険でも、たとえ言葉が通じなくても——人に、出会えるかもしれない。
茂みを抜けると、視界が開けた小さな谷間に出る。そこでは、冒険者のような恰好をした若い男女二人が二足歩行の群れと交戦していた。
鋭い不快な奇声を発しながら動き回っているのは、肌は灰緑色で、背丈は人間の半分ほど。その目は濁った黄色に光り、獲物を見つけた獣のようにぎらついている。
「ゴブリン?!」
ゴブリン達は、それぞれが粗末な武器を手にしていた——錆びた短剣、骨のような物でできた棍棒、そして石を詰めた革袋や弓矢を持った者までいる。
少年の方は大剣を振るい、敵の注意を引きつけながらも、肩口から血を流している。少女の方は短杖を手に、素早く詠唱を繰り返しながら援護魔法を放っていた。
「リオ!下がって!」少女の叫びが響く。
「無理だ、今下がったらお前が囲まれる!」と、少年――リオは歯を食いしばりながら応戦を続ける。
押されているようだ。
ゴブリンは一匹だと大したことがなくても、群れでこられると厄介なんだよな?
僕は一瞬迷ったが、すぐに足を踏み出した。つい今しがた命の危機に面したところだが、今は迷っている場合ではない。
「援護する!」
声を上げ、瞬時に箱庭内で石から鋭く尖った破片をイメージする。即席のナイフだ。
迫るゴブリンの喉元へ突き出す。
抵抗の感触、そして手に返る温かい血の感覚。
ゴブリンは呻き声を上げ、崩れ落ちた。
先程の遠距離からの攻撃とは違い、自らの手で命を奪う感触。
だがその感覚に浸る間もなく二匹目が襲い掛かってくる。
少女が驚いたように僕を振り返る。
「あなたは……!」
「後で話そう!今は、こいつらを片付けるのが先だ!」
「ありがとう!」
「助かる!」
三人の呼吸が一つになり、戦場の空気が変わる。初対面のはずなのに、不思議と連携が取れていた。
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