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芽吹の箱庭
鍛冶屋のグレン爺さん
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「成程。じゃあその箱庭ってギフトでカニスルプスの群れを倒すことができたってわけだな。しかも収納代わりにもなるし箱庭の中は自由自在に操れるってか・・・。」
そう言ってギルド長のロウさんは頭を抱えた。
「これは、思っていた以上の案件でしたね・・・。」
受付嬢のリゼさんも顎に手を置いてなにやら試案顔だ。
「えっと、確かにこのギフトにはかなり助けられていますが、そんなに考え込む程では・・・。」
「お前・・・。そんなとんでもない能力があったら敵国に拉致られて死ぬまでこき使われるだろうが!国内でも怪しい動きをしている教会や貴族たちがいるんだ。そいつらに目をつけられでもしたら逃げられんぞ。」
「ある程度はギルドで牽制できますが、そういう輩はどんな手を使ってでも欲しい物は手に入れようとしますからね。とにかくタクミさん、今後一人行動は絶対に慎んで下さい。そもそもあなたの能力を知られないことが一番なのですが・・・。」
「善処します・・・。」
「まぁ、人前では使わんようにな。魔法が箱庭内でしか使えないってのも不便な気はするが、多分外でも使えるような裏技があるんだろう? 怪しまれないようにバッグ同様、カモフラージュとして魔道具を身に着けておくことだな。本物でなくてもいいが、万一の時には使えた方がいいからな、、リゼ、後でグレン爺の店を紹介してやってくれ。」
「分かりました。グレンさんならタクミさんに合った魔道具を作ってくれるでしょう。」
「というわけでタクミ。リオ達の村へ一緒に向かうそうだが、くれぐれもやらかすんじゃないぞ?程々にだ。」
失礼な。やらかすなんて!
「程々以下でお願いします。では戻りましょう。失礼します。」
程々以下・・・。気をつけます・・・。
ギルド長に一礼をして、外に出ようと扉を開けると
「きゃあ!」
「うおっ!」
誰かが転がった。
「あら、リオさん、ミナさん、聞き耳ですか?」
「あ、いやまぁそのなんだ、タクミが連れて行かれたって聞いてな。」
「何かやらかしちゃってロウさんに叱られているのかと思って・・・。」
二人とも心配してくれていたようだ。
ただ理由が解せぬ。まぁ、正解なんだけど。。。
「防音の結界が張ってあるから先ほどの会話の内容は漏れておりませんのでご安心下さい。と言ってもお二人はあなたのギフトについてはご存じのようですが。丁度良かったです。お二人も一緒にいらして下さい。」
リゼさんがニッコリと僕達に微笑んだ。
蒼銀のギルドを出てすぐ隣(と言っても建物が大きいので数百メートル程離れた場所だ。)に、その鍛冶屋はあった。
「グレン爺か、成程な。ここの爺さんは信頼できるから安心しろ。」
細長い煙突らしき筒から煙が立ちのぼっている。
それは灰色ではなく、どこか柔らかな琥珀色を帯びていて、まるで夕暮れの空気が形を持ったようだった。
鍛冶屋の建物は、石と木を組み合わせた素朴な造り。
軒先には風に揺れる鉄製の看板があり、そこには小さく「グレン工房」と刻まれている。
扉の前に立つと、かすかに焼けた金属と油の香りが鼻をくすぐった。
リゼさんが扉を押すと、ギィ…という音とともに、室内の熱気がふわりと頬を撫でる。
壁には大小さまざまな武具が並び、どれも使い込まれた跡があるのに、不思議と美しい。
奥の炉では、赤く燃える炭が静かに脈打っていた。
「ほう…新顔か。リゼが一緒ってぇことはロウのやつの紹介だな、ただのガキじゃなさそうじゃ。」
低く、しかしどこか朗らかな声が響く。
炉をのぞき込んでいた白髪混じりの髪を後ろで束ねた老人が振り向いた。分厚い革の前掛けをつけている。
その瞳は、炎のように揺れる琥珀色。
そこに宿るのは戦いの光ではなく、何かを“支える”者の静かな光だった。
「グレンだ。鍛冶屋をやってる。武器だけじゃなく、道具も防具も、魂を込めて打ってる。ふむ。何やら特殊なギフト持ちのようだの。まだ使いこなせていないようだが、どうやら授かって日が浅いようだな。
お前さんが何を求めてるかは知らんが…形にしてやろう。」
僕が何も話していないのに、グレン爺さんはそう言い当てた。
「タクミです。はい、まだついこの間このギフトを授かりました。何となくは使えているんですけど、まだまだ分からないことばかりで・・・。」
「グレンさん。タクミさんに、カモフラージュ用の魔道具を用意していただきたいのです。魔力は膨大にあるようなのですが、魔法は使えないそうで。」
「ほう、魔法が使えないとな。どれ、手をだしてみろ。」
グレン爺さんに両手を差し出すと、軽く握られて何だかポカポカと暖かいものが流れてきた。
気持ちいい~と、ほわっとしていると
「ふむ、確かに魔力は桁違いに持っておるな。ただ、お前さんの魔力回路が一般的なそれと違うようだ。何かを介してなら使えるようだな。」
「やっぱりタクミは今の状態では魔法は使えないのね?何かを介すれば使えるってことは、、だから魔道具ね!」
不安そうなミナの表情がパッと明るくなった。
「そうだ。指輪でもブレスレットでも、邪魔にならん物の方がいい。これをつけてみろ。」
そう言って、グレン爺はカウンターの引き出しから何かを取り出して僕に渡した。
そう言ってギルド長のロウさんは頭を抱えた。
「これは、思っていた以上の案件でしたね・・・。」
受付嬢のリゼさんも顎に手を置いてなにやら試案顔だ。
「えっと、確かにこのギフトにはかなり助けられていますが、そんなに考え込む程では・・・。」
「お前・・・。そんなとんでもない能力があったら敵国に拉致られて死ぬまでこき使われるだろうが!国内でも怪しい動きをしている教会や貴族たちがいるんだ。そいつらに目をつけられでもしたら逃げられんぞ。」
「ある程度はギルドで牽制できますが、そういう輩はどんな手を使ってでも欲しい物は手に入れようとしますからね。とにかくタクミさん、今後一人行動は絶対に慎んで下さい。そもそもあなたの能力を知られないことが一番なのですが・・・。」
「善処します・・・。」
「まぁ、人前では使わんようにな。魔法が箱庭内でしか使えないってのも不便な気はするが、多分外でも使えるような裏技があるんだろう? 怪しまれないようにバッグ同様、カモフラージュとして魔道具を身に着けておくことだな。本物でなくてもいいが、万一の時には使えた方がいいからな、、リゼ、後でグレン爺の店を紹介してやってくれ。」
「分かりました。グレンさんならタクミさんに合った魔道具を作ってくれるでしょう。」
「というわけでタクミ。リオ達の村へ一緒に向かうそうだが、くれぐれもやらかすんじゃないぞ?程々にだ。」
失礼な。やらかすなんて!
「程々以下でお願いします。では戻りましょう。失礼します。」
程々以下・・・。気をつけます・・・。
ギルド長に一礼をして、外に出ようと扉を開けると
「きゃあ!」
「うおっ!」
誰かが転がった。
「あら、リオさん、ミナさん、聞き耳ですか?」
「あ、いやまぁそのなんだ、タクミが連れて行かれたって聞いてな。」
「何かやらかしちゃってロウさんに叱られているのかと思って・・・。」
二人とも心配してくれていたようだ。
ただ理由が解せぬ。まぁ、正解なんだけど。。。
「防音の結界が張ってあるから先ほどの会話の内容は漏れておりませんのでご安心下さい。と言ってもお二人はあなたのギフトについてはご存じのようですが。丁度良かったです。お二人も一緒にいらして下さい。」
リゼさんがニッコリと僕達に微笑んだ。
蒼銀のギルドを出てすぐ隣(と言っても建物が大きいので数百メートル程離れた場所だ。)に、その鍛冶屋はあった。
「グレン爺か、成程な。ここの爺さんは信頼できるから安心しろ。」
細長い煙突らしき筒から煙が立ちのぼっている。
それは灰色ではなく、どこか柔らかな琥珀色を帯びていて、まるで夕暮れの空気が形を持ったようだった。
鍛冶屋の建物は、石と木を組み合わせた素朴な造り。
軒先には風に揺れる鉄製の看板があり、そこには小さく「グレン工房」と刻まれている。
扉の前に立つと、かすかに焼けた金属と油の香りが鼻をくすぐった。
リゼさんが扉を押すと、ギィ…という音とともに、室内の熱気がふわりと頬を撫でる。
壁には大小さまざまな武具が並び、どれも使い込まれた跡があるのに、不思議と美しい。
奥の炉では、赤く燃える炭が静かに脈打っていた。
「ほう…新顔か。リゼが一緒ってぇことはロウのやつの紹介だな、ただのガキじゃなさそうじゃ。」
低く、しかしどこか朗らかな声が響く。
炉をのぞき込んでいた白髪混じりの髪を後ろで束ねた老人が振り向いた。分厚い革の前掛けをつけている。
その瞳は、炎のように揺れる琥珀色。
そこに宿るのは戦いの光ではなく、何かを“支える”者の静かな光だった。
「グレンだ。鍛冶屋をやってる。武器だけじゃなく、道具も防具も、魂を込めて打ってる。ふむ。何やら特殊なギフト持ちのようだの。まだ使いこなせていないようだが、どうやら授かって日が浅いようだな。
お前さんが何を求めてるかは知らんが…形にしてやろう。」
僕が何も話していないのに、グレン爺さんはそう言い当てた。
「タクミです。はい、まだついこの間このギフトを授かりました。何となくは使えているんですけど、まだまだ分からないことばかりで・・・。」
「グレンさん。タクミさんに、カモフラージュ用の魔道具を用意していただきたいのです。魔力は膨大にあるようなのですが、魔法は使えないそうで。」
「ほう、魔法が使えないとな。どれ、手をだしてみろ。」
グレン爺さんに両手を差し出すと、軽く握られて何だかポカポカと暖かいものが流れてきた。
気持ちいい~と、ほわっとしていると
「ふむ、確かに魔力は桁違いに持っておるな。ただ、お前さんの魔力回路が一般的なそれと違うようだ。何かを介してなら使えるようだな。」
「やっぱりタクミは今の状態では魔法は使えないのね?何かを介すれば使えるってことは、、だから魔道具ね!」
不安そうなミナの表情がパッと明るくなった。
「そうだ。指輪でもブレスレットでも、邪魔にならん物の方がいい。これをつけてみろ。」
そう言って、グレン爺はカウンターの引き出しから何かを取り出して僕に渡した。
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