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芽吹の箱庭
いざ!ノーヴ村へ!
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夜の帳がまだ完全に上がりきらぬ頃、風は冷たく、空気は澄んでいた。東の空がわずかに白み始め、遠くの山々の輪郭がぼんやりと浮かび上がる。
僕は風籠亭の裏庭に立ち、いつ戻れるか分からない蔦が絡まったどこかぬくもりを感じさせる建物を見上げた。左手の中指にはミュリィが宿る指輪がはまっており、右肩には風の妖精フィリナが座っている。足元の石畳が朝露に濡れてひんやりと冷たい。ふと気配を感じて振り返ると、男女の冒険者が建物から出てくるところだった。
男はリオ。背の高いがっちりとした体格のいい剣士で、背中には得物の大剣を背負っている。女はミナ。魔法使いで、髪をひとつに束ね、蔦や小花の刺繍を裾にあしらったローブをまとっている。
「……おはようタクミ。早いわね」
まだ少し眠そうなミナがそう言いながら空を見上げる。
「何だか眠れなくて」
「大丈夫か? 村まではかなり距離があるから無理はするなよ」
「あぁ、大丈夫だ。ちょっと興奮してしまって。ミナの方が眠そうだが大丈夫なのか?」
「えぇ、朝が苦手なの。段々と目が覚めていくから大丈夫よ」
「よし!じゃあノーヴ村に向かって出発だ!」
リオがそう言って、三人は言葉少なに頷き合い、風籠亭の門を静かにくぐった。まだ人々が眠る街を抜け、朝霧の立ちこめる森へと足を踏み入れる。
鳥のさえずりはまだなく、ただ風が木々を揺らす音だけが耳に残る。旅の始まりは、静けさと決意に満ちていた。
「はぁ、はぁ、、まだ、、着かない、よな?」
太陽が大分高く昇ってきた頃、僕たちはまだ森の中を歩いている。
地理感のない僕は今どの辺にいるのか、あとどのくらいで村に着くのか皆目見当がつかない。景色も変わらないから余計だ。そして悲しいかな、前世では運動とは無縁だった僕の貧弱な身体は、ずっと歩きっぱなしでそろそろ限界だ。
「タクミったら~、か弱いのね」
僕の頭の周りを、フィリナがせわしなく飛び回っている。やめてくれ。吐きそうだ。
「…。頑張って」
ミュリィは指輪から、肩より上を出して小さな声で応援してくれている。あぁ、癒される。
「なんだぁ?もうバテたのか?まだちっとも進んでいないぞ。タクミは体力がなさすぎるんじゃあないか?」
「ちっとも? はぁ、ひぃ、む、村まではどのくらいかかるんだ? ふぅ、、」
「ん?言ってなかったか?村までは一週間ほどかかるぞ」
「い?!一週間?!そんなにかかるなんて聞いてないぞー!」
「あら?だからあんなに色々買い込んでいたんじゃないの?」
ミナがキョトンとした顔で突っ込んできた。まさか前世でできなかった憧れの爆買いを満喫していたなんて言えない。
「いや、聞いたのかもしれないが、、色々あったからな。でもまだ先は長いなんて・・・不安しかな」
「はっはっ!確かにタクミと出会ってから何回驚かされているか分からないな。まぁ、このペースなら予定通りに着くさ。少し早いが、そろそろ昼飯にするか」
「そうね、もう次は驚かないって思うのに、タクミには毎回驚かされているわ。確かもう少し進んだところに川があったはずよ。そこで休憩しましょう」
そんなに驚かせるようなことはしたつもりはないんだけどなぁ~。気をつけよう。よし!やっと休憩だ!
しばらく進むと開けた場所に出て、少し幅のある川が流れていた。
「まだこの辺りは危険な動物や魔獣は出てこないが、警戒は怠るなよ」
そう言いながらリオが周囲を見渡した。
「ここならコテージを出すほどでもないか?スープとパンと串焼きがあるからすぐ用意できるぞ」
コテージでなくても、休憩は快適にしたい。クリプトメリアで作ったテーブルと椅子を出して、鍋敷きの上にスープを鍋ごと取り出して乗せる。スープ屋のおばちゃんが鍋ごと売ってくれたからな。色んな味のスープの在庫がたっぷりとある。
今の気分は、きのことハーブのコンソメスープだ。しめじ、舞茸、エリンギのような見た目のきのこがたっぷり入っていて、タイムやローズマリーだろうか?いい香りが漂っている。そして籠に焼き立てのロールパンのようなパンを盛って出し、屋台で買った大きな葉っぱで包まれたホーンラビットの串焼きを葉っぱごと広げる。人数分の食器を並べてテーブルセッティングは完成だ!うーん、美味しそうだ!
と一人でテキパキと準備をし終わって2人を呼ぼうと振り向くと、リオとミナがあっけに取られてこちらを見ていた。
「リオ、森の中でランチができるなんて。串焼きが焼き立てよ。あぁ、タクミのとんでも収納があったわね」
「あぁ、ミナ。お前の好きなキノコのスープが鍋ごとあるぞ。あぁ、タクミの収納はバカみたいな容量だったな」
何気に失礼なことを言い合っている。
「ほらほら~早く座って! 冷めてしまうぞ!」
ボーっとしている二人を椅子に座らせて
「いただきまーす!」
串焼きを興味深そうに見ているフィリナに、肉を串から外して小さく切って、これまたフィリナ用に作った小さな小さな皿に盛りつけてやった。勿論カトラリーもセットだ。
「わぁ!人間の食べ物を食べてみたかったの!良い香りがするわ」
そう言って串焼きをフォークに刺して口に入れる。
「おいひぃ~!」
ほっぺたを膨らませて目を細めながらそう言うフィリナを、ミュリィが興味深そうに見ている。
「ミュリィも食べてみるか?」
ミュリィの分のカトラリーも出して、フイリナと同じように肉を細かく切って載せてあげる。その様子を真剣に見つめている様子は、待てを言われているワンコのようだ。
おそるおそる口に肉を運んだミュリィの表情がパァっと明るくなった。
「うまいか?」
そう聞くと、大きく目を見開いてもぐもぐさせながら何度もうんうんと頷いた。
どうやら人間の食事は精霊様たちにも通用するようだ。
必死に肉をほおばる二人を見ながら自分も串焼きにかぶりつく。
「うん!うまい!」
と、向かいの二人がやけに静かなことに気付く。ふと見ると、二人とも目を見開いて肉を口いっぱいにほおばるミュリィを見つめている。
あ、ミュリィの紹介がまだだった。
「悪い、紹介が遅くなった。こちら指輪に宿る風の精霊のミュリィだ。ミュリィ、この二人は今から向かうノーヴ村出身のリオとミナだ」
ミュリィが肉を口に運ぶ手を止めて、恥ずかしそうに二人をチラッと見る。お口はもぐもぐさせたままだ。ちなみに今は指輪から出てきて全身がきちんと見える状態だ。ミュリィの周りは柔らかな風の流れそのもので、髪や服が常にゆるやかに揺れている。
ミュリィと目が合ったリオとミナが、椅子から転げ落ちる勢いで地面にひれ伏した。
「え?!二人ともどうしたんだよ?」
そう聞いても顔を上げる様子もなく、どうしようかとおろおろしていると
「あら?この二人、信仰心が厚いわね。そんなあなた達に私の加護を授けてあげる」
そうフィリナが言うと同時に、二人がフワッと優しい風に包まれた。それは冷たくもなく、熱くもない。ただ、心の奥に沈んでいた何かを、そっと撫でていくような風だった。
「どんな加護なんだ?」
放心して何も聞くことのできない状態の二人に変わって聞いてみる。
「私は記憶を司る風の精霊なの。この二人に過去の記憶を夢で垣間見ることができるようにしたの。過去の痛みや後悔を一時的に軽くしたり、精神的な重荷を『風に乗せて』手放したり。2人の絆も更に強くなったわ」
へぇ~、フィリナの加護にはそんな効果があるのか。何気にすごいな。
と、ここで我に返ったリオが
「胸の奥が、少しだけ……軽くなった気がする」
隣のミナも、ゆっくりと息を吐いて
「ずっと、村のことで心が痛くて。けど……今は、少しだけ、ささくれが取れた気がするわ」
フィリナは微笑む。彼女の背後で、風が静かに舞った。
リオは立ち上がり、深く頭を下げた。
「フィリナさん……あなたの風に、救われました。タクミが助けてくれると信じたいが、どこかで諦めていた。もう一度、前を向いていきます」
ミナも続いて頭を下げる。
「あなたの風は、心に触れて、ほどいてくれる……。こんな加護を授けて下さるなんて、ありがとうございます」
フィリナは静かに言った。
「風は、ただ通り過ぎるだけ。でも、通ったあとに残るものがあるなら、それはあなたたち自身の力です」
二人は顔を見合わせ、少しだけ笑った。
「…では、私からは心の再生を促す癒しと、迷いを晴らす加護を…」
ミュリィがそう言うと、周囲に柔らかな風が巻き起こり、花の香りや懐かしい記憶がふと蘇るような感覚が広がる。ミュリィの存在は、ただそこにいるだけで空気を和らげ、心をほぐしてくれる。
しばし三人ともその柔らかい風に身をゆだねてボーっとしていた。
「生きているうちに、こんな体験ができるなんて…」
「あぁ…。信じられないな」
あれ?そういえば
「ところで、僕には加護はくれないのかい?」
「気付いていないの?あなたはもうすでに十分すぎるくらい、加護がたくさんついているわ。でもそうね… 風で体を押してあげるわ。歩くのが楽になるわよ」
と、フィリナがとんでも発言をした。何だって?加護がたくさんついている? 全く気が付かなかったぞ?
すると、ミュリィがなにやらもじもじしている。
「ん?ミュリィも何かくれるのかい?」
「…疲れにくくなりますように」
そう言って指輪の中にシュッと入ってまた顔だけ出して恥ずかしそうに僕を見上げた。
その可愛さだけで疲れも吹っ飛びます!
「よし!じゃあ早くご飯を食べてノーヴ村へ出発だ!」
僕たちの旅はまだ始まったばかり。
僕は風籠亭の裏庭に立ち、いつ戻れるか分からない蔦が絡まったどこかぬくもりを感じさせる建物を見上げた。左手の中指にはミュリィが宿る指輪がはまっており、右肩には風の妖精フィリナが座っている。足元の石畳が朝露に濡れてひんやりと冷たい。ふと気配を感じて振り返ると、男女の冒険者が建物から出てくるところだった。
男はリオ。背の高いがっちりとした体格のいい剣士で、背中には得物の大剣を背負っている。女はミナ。魔法使いで、髪をひとつに束ね、蔦や小花の刺繍を裾にあしらったローブをまとっている。
「……おはようタクミ。早いわね」
まだ少し眠そうなミナがそう言いながら空を見上げる。
「何だか眠れなくて」
「大丈夫か? 村まではかなり距離があるから無理はするなよ」
「あぁ、大丈夫だ。ちょっと興奮してしまって。ミナの方が眠そうだが大丈夫なのか?」
「えぇ、朝が苦手なの。段々と目が覚めていくから大丈夫よ」
「よし!じゃあノーヴ村に向かって出発だ!」
リオがそう言って、三人は言葉少なに頷き合い、風籠亭の門を静かにくぐった。まだ人々が眠る街を抜け、朝霧の立ちこめる森へと足を踏み入れる。
鳥のさえずりはまだなく、ただ風が木々を揺らす音だけが耳に残る。旅の始まりは、静けさと決意に満ちていた。
「はぁ、はぁ、、まだ、、着かない、よな?」
太陽が大分高く昇ってきた頃、僕たちはまだ森の中を歩いている。
地理感のない僕は今どの辺にいるのか、あとどのくらいで村に着くのか皆目見当がつかない。景色も変わらないから余計だ。そして悲しいかな、前世では運動とは無縁だった僕の貧弱な身体は、ずっと歩きっぱなしでそろそろ限界だ。
「タクミったら~、か弱いのね」
僕の頭の周りを、フィリナがせわしなく飛び回っている。やめてくれ。吐きそうだ。
「…。頑張って」
ミュリィは指輪から、肩より上を出して小さな声で応援してくれている。あぁ、癒される。
「なんだぁ?もうバテたのか?まだちっとも進んでいないぞ。タクミは体力がなさすぎるんじゃあないか?」
「ちっとも? はぁ、ひぃ、む、村まではどのくらいかかるんだ? ふぅ、、」
「ん?言ってなかったか?村までは一週間ほどかかるぞ」
「い?!一週間?!そんなにかかるなんて聞いてないぞー!」
「あら?だからあんなに色々買い込んでいたんじゃないの?」
ミナがキョトンとした顔で突っ込んできた。まさか前世でできなかった憧れの爆買いを満喫していたなんて言えない。
「いや、聞いたのかもしれないが、、色々あったからな。でもまだ先は長いなんて・・・不安しかな」
「はっはっ!確かにタクミと出会ってから何回驚かされているか分からないな。まぁ、このペースなら予定通りに着くさ。少し早いが、そろそろ昼飯にするか」
「そうね、もう次は驚かないって思うのに、タクミには毎回驚かされているわ。確かもう少し進んだところに川があったはずよ。そこで休憩しましょう」
そんなに驚かせるようなことはしたつもりはないんだけどなぁ~。気をつけよう。よし!やっと休憩だ!
しばらく進むと開けた場所に出て、少し幅のある川が流れていた。
「まだこの辺りは危険な動物や魔獣は出てこないが、警戒は怠るなよ」
そう言いながらリオが周囲を見渡した。
「ここならコテージを出すほどでもないか?スープとパンと串焼きがあるからすぐ用意できるぞ」
コテージでなくても、休憩は快適にしたい。クリプトメリアで作ったテーブルと椅子を出して、鍋敷きの上にスープを鍋ごと取り出して乗せる。スープ屋のおばちゃんが鍋ごと売ってくれたからな。色んな味のスープの在庫がたっぷりとある。
今の気分は、きのことハーブのコンソメスープだ。しめじ、舞茸、エリンギのような見た目のきのこがたっぷり入っていて、タイムやローズマリーだろうか?いい香りが漂っている。そして籠に焼き立てのロールパンのようなパンを盛って出し、屋台で買った大きな葉っぱで包まれたホーンラビットの串焼きを葉っぱごと広げる。人数分の食器を並べてテーブルセッティングは完成だ!うーん、美味しそうだ!
と一人でテキパキと準備をし終わって2人を呼ぼうと振り向くと、リオとミナがあっけに取られてこちらを見ていた。
「リオ、森の中でランチができるなんて。串焼きが焼き立てよ。あぁ、タクミのとんでも収納があったわね」
「あぁ、ミナ。お前の好きなキノコのスープが鍋ごとあるぞ。あぁ、タクミの収納はバカみたいな容量だったな」
何気に失礼なことを言い合っている。
「ほらほら~早く座って! 冷めてしまうぞ!」
ボーっとしている二人を椅子に座らせて
「いただきまーす!」
串焼きを興味深そうに見ているフィリナに、肉を串から外して小さく切って、これまたフィリナ用に作った小さな小さな皿に盛りつけてやった。勿論カトラリーもセットだ。
「わぁ!人間の食べ物を食べてみたかったの!良い香りがするわ」
そう言って串焼きをフォークに刺して口に入れる。
「おいひぃ~!」
ほっぺたを膨らませて目を細めながらそう言うフィリナを、ミュリィが興味深そうに見ている。
「ミュリィも食べてみるか?」
ミュリィの分のカトラリーも出して、フイリナと同じように肉を細かく切って載せてあげる。その様子を真剣に見つめている様子は、待てを言われているワンコのようだ。
おそるおそる口に肉を運んだミュリィの表情がパァっと明るくなった。
「うまいか?」
そう聞くと、大きく目を見開いてもぐもぐさせながら何度もうんうんと頷いた。
どうやら人間の食事は精霊様たちにも通用するようだ。
必死に肉をほおばる二人を見ながら自分も串焼きにかぶりつく。
「うん!うまい!」
と、向かいの二人がやけに静かなことに気付く。ふと見ると、二人とも目を見開いて肉を口いっぱいにほおばるミュリィを見つめている。
あ、ミュリィの紹介がまだだった。
「悪い、紹介が遅くなった。こちら指輪に宿る風の精霊のミュリィだ。ミュリィ、この二人は今から向かうノーヴ村出身のリオとミナだ」
ミュリィが肉を口に運ぶ手を止めて、恥ずかしそうに二人をチラッと見る。お口はもぐもぐさせたままだ。ちなみに今は指輪から出てきて全身がきちんと見える状態だ。ミュリィの周りは柔らかな風の流れそのもので、髪や服が常にゆるやかに揺れている。
ミュリィと目が合ったリオとミナが、椅子から転げ落ちる勢いで地面にひれ伏した。
「え?!二人ともどうしたんだよ?」
そう聞いても顔を上げる様子もなく、どうしようかとおろおろしていると
「あら?この二人、信仰心が厚いわね。そんなあなた達に私の加護を授けてあげる」
そうフィリナが言うと同時に、二人がフワッと優しい風に包まれた。それは冷たくもなく、熱くもない。ただ、心の奥に沈んでいた何かを、そっと撫でていくような風だった。
「どんな加護なんだ?」
放心して何も聞くことのできない状態の二人に変わって聞いてみる。
「私は記憶を司る風の精霊なの。この二人に過去の記憶を夢で垣間見ることができるようにしたの。過去の痛みや後悔を一時的に軽くしたり、精神的な重荷を『風に乗せて』手放したり。2人の絆も更に強くなったわ」
へぇ~、フィリナの加護にはそんな効果があるのか。何気にすごいな。
と、ここで我に返ったリオが
「胸の奥が、少しだけ……軽くなった気がする」
隣のミナも、ゆっくりと息を吐いて
「ずっと、村のことで心が痛くて。けど……今は、少しだけ、ささくれが取れた気がするわ」
フィリナは微笑む。彼女の背後で、風が静かに舞った。
リオは立ち上がり、深く頭を下げた。
「フィリナさん……あなたの風に、救われました。タクミが助けてくれると信じたいが、どこかで諦めていた。もう一度、前を向いていきます」
ミナも続いて頭を下げる。
「あなたの風は、心に触れて、ほどいてくれる……。こんな加護を授けて下さるなんて、ありがとうございます」
フィリナは静かに言った。
「風は、ただ通り過ぎるだけ。でも、通ったあとに残るものがあるなら、それはあなたたち自身の力です」
二人は顔を見合わせ、少しだけ笑った。
「…では、私からは心の再生を促す癒しと、迷いを晴らす加護を…」
ミュリィがそう言うと、周囲に柔らかな風が巻き起こり、花の香りや懐かしい記憶がふと蘇るような感覚が広がる。ミュリィの存在は、ただそこにいるだけで空気を和らげ、心をほぐしてくれる。
しばし三人ともその柔らかい風に身をゆだねてボーっとしていた。
「生きているうちに、こんな体験ができるなんて…」
「あぁ…。信じられないな」
あれ?そういえば
「ところで、僕には加護はくれないのかい?」
「気付いていないの?あなたはもうすでに十分すぎるくらい、加護がたくさんついているわ。でもそうね… 風で体を押してあげるわ。歩くのが楽になるわよ」
と、フィリナがとんでも発言をした。何だって?加護がたくさんついている? 全く気が付かなかったぞ?
すると、ミュリィがなにやらもじもじしている。
「ん?ミュリィも何かくれるのかい?」
「…疲れにくくなりますように」
そう言って指輪の中にシュッと入ってまた顔だけ出して恥ずかしそうに僕を見上げた。
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僕たちの旅はまだ始まったばかり。
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