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婚約破棄された令嬢
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フィリア国第一王子のアレン様とは
ながらく深いお付き合いをしていた。
伯爵の子である私は、彼と懇意になり
愛を確かめあうほどの関係だった。
「リン。もうこの関係は終わらせよう」
しかし、突然の申し立てにわたしは動揺してしまう。
「アレン様。どういうことでしょう?」
「そのままの意味だよ。リン、僕たち別れよう」
「…なぜですか?わたしはこんなにもアレン様をお慕え申しておりますのに」
「僕たちは結婚できない…。だって男どうしだろ?それに、僕は君の妹が好きになってしまったんだ」
妹…?あのブサイクで、頭の悪いハルのどこがいいの?
「ハルは、アレン様のようなお方にはつり合わないと思いますが…」
「そうは思わないよ。あの伯爵のむすめだ。それに、父に早く婚約を結ぶように言われててね…」
「しかし、あのような醜女では、アレン様も嫌でしょう…?」
「いや。君に似てハルはかわい…」
「もういいです!!」
わたしはその場から逃げ出した。
アレン様がそんな想いを持っているとは知らなかった。
妹がにくい…。
気がつくと、自分の部屋に戻り、
ベットに潜っていた。
「お兄様、いつの間にかお帰りになっていたのですね」
…ハルがわたしの心もはばからず、話しかけてきた。
「お兄様は、やめなさい」
「…お姉様。どうかなさいました?
ずいぶんと体調がわるそうですが」
「わかってて言ってるのでしょ?」
「ええ。アレン様のことでしょう?
お姉様はそれしか頭にありませんものね」
「……」
「わたしは、お姉様にはしっかりしてほしいのですよ。それに、私のことを見初めてくださったのはアレン様ですから…」
「……うるさい。出ていけ」
「お父様が呼んでいます。たまにはカッコイイところを見せてください。リン兄様…」
そういうと、ハルは出ていった。
わたしは魂が抜けたように、父上の元へ向かった。ざっくり言うと、リディア公爵家のご令嬢のエリスとの婚約を勧められた。
エリスは気立てがよくとても美しいという評判を知っていた。
ハルに想いびとを奪われ、心を失っていたわたしは、そのお見合いを受けることにした。完全に自暴自棄になっていたのだ。相手には失礼だろう。しかし、わたしにはその程度の心づかいも無くなっていた。
数日後、
エリスとの縁談の日になった。
「本日はお招きいただきありがとうございます。エリス様のようなとても麗しい方にお会い出来て光栄です」
確かにエリスは美しい。
しかし、アレン様と比べると見劣りしてしまうのは事実だった。
「あら、ありがとう。あなたもキレイよ」
「…恐縮です」
「でもね。私、嘘をつくひとは嫌いなの」
「……」
どうやら彼女はとても賢いひとのようだ。
わたしのことを一目見て、この縁談に乗り気でないことが見透かされたのだろう。
「あなたが今いるべき場所は
ここではないのではなくて?」
「…そうかもしれません」
「知ってますか?
私たち。人は後悔をよくしますが、
行動しなかったことを悔やむのは、
失敗を犯すよりも強く大きく残るのですよ」
「…っ!!」
エリスの言葉で目が冷めた。
わたしのするべきことは、父に勧められた婚姻に従うことでも、妹のハルに屈することでもない。
…アレン様へ
想いを
真に伝えるべきだ…。
わたしは走り出した。
彼のもとへ。
「アレン様!!」
「リン…。久しぶりだね…」
「アレン様。やはり、わたしは納得ができません」
「……」
「ほかの異性を見ても、どうしてもアレン様のことが忘れられないのです…」
「……」
「わたしはアレン様が好きです!大好きです!」
流れる沈黙。
こわい…。
想いを伝えるのが
こんなにも怖いとは
思わなかった。
時間の流れが
ものすごく
遅く感じる。
アレン様の口が
ゆっくりと動く。
「僕も…。リンのことが一番好きだ」
「…!!」
「自分の気持ちに嘘はつけない。
実は、ハルさんにリンのことを相談されていたんだ。彼女にとって、兄は普通の人と結婚して欲しかったんだろうね…」
「……」
「リディア家のご令嬢との婚姻の話を聞いた彼女は、僕に協力を持ちかけて、
僕達の関係をどうにかしようと思ってたみたいだ。僕もリンのことは好きだけど、この関係をずっとは続けられないと考えていた…。
だから、彼女の提案に乗ったんだ」
「そんなことが…」
「リン。君を試すようなことをして、本当にごめん。でも、今の君の顔を見て、僕の気持ちも変わったよ。
結婚してくれ!リン!」
「はい!アレン様!」
わたしたちは愛しあった。
……
「リン。ひとつお願いがあるんだ」
「なんでしょう?アレン様」
「その…様付けはやめてほしい…。
リンとは対等な関係でいたいんだ」
「……うん。アレン♡」
(完)
----------------------
あとがき
最後まで見てくださり、ありがとうございます!
筆者の、貴族とか令嬢に関する知識が乏しいため、
「チンパンジー恋愛物語」のようになってしまったことを、非常に反省しております。
恋愛小説としての内容は、比較的オーソドックスだと思うので、楽しんでいただけたら幸いです。
ながらく深いお付き合いをしていた。
伯爵の子である私は、彼と懇意になり
愛を確かめあうほどの関係だった。
「リン。もうこの関係は終わらせよう」
しかし、突然の申し立てにわたしは動揺してしまう。
「アレン様。どういうことでしょう?」
「そのままの意味だよ。リン、僕たち別れよう」
「…なぜですか?わたしはこんなにもアレン様をお慕え申しておりますのに」
「僕たちは結婚できない…。だって男どうしだろ?それに、僕は君の妹が好きになってしまったんだ」
妹…?あのブサイクで、頭の悪いハルのどこがいいの?
「ハルは、アレン様のようなお方にはつり合わないと思いますが…」
「そうは思わないよ。あの伯爵のむすめだ。それに、父に早く婚約を結ぶように言われててね…」
「しかし、あのような醜女では、アレン様も嫌でしょう…?」
「いや。君に似てハルはかわい…」
「もういいです!!」
わたしはその場から逃げ出した。
アレン様がそんな想いを持っているとは知らなかった。
妹がにくい…。
気がつくと、自分の部屋に戻り、
ベットに潜っていた。
「お兄様、いつの間にかお帰りになっていたのですね」
…ハルがわたしの心もはばからず、話しかけてきた。
「お兄様は、やめなさい」
「…お姉様。どうかなさいました?
ずいぶんと体調がわるそうですが」
「わかってて言ってるのでしょ?」
「ええ。アレン様のことでしょう?
お姉様はそれしか頭にありませんものね」
「……」
「わたしは、お姉様にはしっかりしてほしいのですよ。それに、私のことを見初めてくださったのはアレン様ですから…」
「……うるさい。出ていけ」
「お父様が呼んでいます。たまにはカッコイイところを見せてください。リン兄様…」
そういうと、ハルは出ていった。
わたしは魂が抜けたように、父上の元へ向かった。ざっくり言うと、リディア公爵家のご令嬢のエリスとの婚約を勧められた。
エリスは気立てがよくとても美しいという評判を知っていた。
ハルに想いびとを奪われ、心を失っていたわたしは、そのお見合いを受けることにした。完全に自暴自棄になっていたのだ。相手には失礼だろう。しかし、わたしにはその程度の心づかいも無くなっていた。
数日後、
エリスとの縁談の日になった。
「本日はお招きいただきありがとうございます。エリス様のようなとても麗しい方にお会い出来て光栄です」
確かにエリスは美しい。
しかし、アレン様と比べると見劣りしてしまうのは事実だった。
「あら、ありがとう。あなたもキレイよ」
「…恐縮です」
「でもね。私、嘘をつくひとは嫌いなの」
「……」
どうやら彼女はとても賢いひとのようだ。
わたしのことを一目見て、この縁談に乗り気でないことが見透かされたのだろう。
「あなたが今いるべき場所は
ここではないのではなくて?」
「…そうかもしれません」
「知ってますか?
私たち。人は後悔をよくしますが、
行動しなかったことを悔やむのは、
失敗を犯すよりも強く大きく残るのですよ」
「…っ!!」
エリスの言葉で目が冷めた。
わたしのするべきことは、父に勧められた婚姻に従うことでも、妹のハルに屈することでもない。
…アレン様へ
想いを
真に伝えるべきだ…。
わたしは走り出した。
彼のもとへ。
「アレン様!!」
「リン…。久しぶりだね…」
「アレン様。やはり、わたしは納得ができません」
「……」
「ほかの異性を見ても、どうしてもアレン様のことが忘れられないのです…」
「……」
「わたしはアレン様が好きです!大好きです!」
流れる沈黙。
こわい…。
想いを伝えるのが
こんなにも怖いとは
思わなかった。
時間の流れが
ものすごく
遅く感じる。
アレン様の口が
ゆっくりと動く。
「僕も…。リンのことが一番好きだ」
「…!!」
「自分の気持ちに嘘はつけない。
実は、ハルさんにリンのことを相談されていたんだ。彼女にとって、兄は普通の人と結婚して欲しかったんだろうね…」
「……」
「リディア家のご令嬢との婚姻の話を聞いた彼女は、僕に協力を持ちかけて、
僕達の関係をどうにかしようと思ってたみたいだ。僕もリンのことは好きだけど、この関係をずっとは続けられないと考えていた…。
だから、彼女の提案に乗ったんだ」
「そんなことが…」
「リン。君を試すようなことをして、本当にごめん。でも、今の君の顔を見て、僕の気持ちも変わったよ。
結婚してくれ!リン!」
「はい!アレン様!」
わたしたちは愛しあった。
……
「リン。ひとつお願いがあるんだ」
「なんでしょう?アレン様」
「その…様付けはやめてほしい…。
リンとは対等な関係でいたいんだ」
「……うん。アレン♡」
(完)
----------------------
あとがき
最後まで見てくださり、ありがとうございます!
筆者の、貴族とか令嬢に関する知識が乏しいため、
「チンパンジー恋愛物語」のようになってしまったことを、非常に反省しております。
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