シュレディンガーの竜

みらい

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10.パンドラの箱

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 黒蝶が舞う屋敷。
 黒い花園。
 誰も気付くことのない俺の場所。

 他の者であれば、ただ岩山があるとしか思えない。
 中は伽藍堂。
 強いて言うならば、あの子宛に送りかけた手紙くらい。

 赤子の時のあの子をこの腕に抱いた時。
 体温が。
 姉から授かった重さ。
 とても尊くて。儚かった。
 忘れられない。
 忘れたくない。

 見れる位置に置かなければ心配だった。
 閉じ込めていたほうが、一番安全だった。
 レイというゆりかごに。
 殻を被せ閉じ込めた。


 しかし、君が幸せになるまでは。
 憂いを全て取り除くまでは。
 守らなければ。
 見守ろう。
 影からでも。
 成長を。

 あの子が辛いと言うのであれば、俺は消えたほうが良い。
 青い炎で消さなかったのは君の優しさだろうか?
 そうであれば救われるもの。



 せめて、君の記憶からいなくなるまでは。
 世界からいなくなるまでは。

 指を鳴らして、己に呪縛をかけた。
 セレスタには興味ないーーそんな暗示を。
 そんな嘘で本心を隠した。
 再び歩き出した。



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