君に、炎を捧ぐⅢ〜偽りの剣と、真実の愛〜

みらい

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四十三話、思ひ色燃え上がる

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 その爆風で陛下の剣はどこかに行った。
 それでも彼女はこちらに歩きよる。
 その姿はいつもの堂々としたものだけれど……どこか違う。
 私は、剣を地に突き立てて、手を握った。

 暖かい。
 いつもの掌。
 大好きな手。
 彼女の左手の指輪が当たった。

 ……まだここにいる。

 グッと唇を噛む。

 まだ。
 アッシュ様が戻ってくるまで涙は出さない。

 繋いだ手が、一瞬だけ震えた。
 私を、思い出しかけたのか。
 それとも、それすら私の願望だったのか。

 くいっと抵抗していた。
 つないだ手を外そうとしているのだ。
 それでも私の力じゃ敵わない。

 周って飛んで。
 まるでダンスをしているようだ。
 ここまで近づいてやっとわかった。

 ……頬が濡れている。
 ごめんなさい。
 守るって誓ったのに。

 炎が。
 紅葉の焔が、揺れている。
 ここにいる。
 彼女も頑張っているんだ。

「アッシュ様」

 呼びかけと共に、つないだ手がさらに熱くなる。

 ――爆発するつもりだ。

 なら、私も。  
 あなたを止めるために、燃やす。  
 あなたの痛みに触れるために、爆ぜる。 

 この青い炎を、全部――あなたへ。

 視界が次第に藤色だけになった。
 ただただ手で彼女を感じた。
 紫色の粉塵が、灰色の世界に色づいた。



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