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 ところがつぎの日も、くるみおばさんが一分いっぷんほどそのからはなれたすきに、カカリロールパンがなくなってしまいました。

 そうしてるうちに、パンは毎日まいにちぬすまれるようになり、くるみおばさんはがまんがならなくなりました。
 ぬすんだ相手あいては、やることがはやいのでしょう。

 そこでくるみおばさんは、パンどろぼうをつかまえるために、かくれてはりはじめました。



 何日なんにちかした、ある日のことです。

 いままでレジのかげでずっとはってきましたが、パンどろぼうは最近さいきん姿すがたせずにいました。

 くるみおばさんははりながらもふっとためいきをついて、


「やっぱり、どろぼうはもうないのかしら。あのときで最後さいごだったか。つかまえて、こらしめてやろうとおもったのに」

 と、ぼやきました。



 そんなふうにおもいかけていた、そのとき。

 ふゆつめたい夕日ゆうひがふりそそぐ中に、一人の人かげがみせへむかってるではありませんか。

 それにづいたくるみおばさんは、あわててレジだいうしろにかくれました。
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