チャロアと99人の魔法使い

13

「みんな！　光を灯ともそうよ！」

　チャロアの言葉ことばに、おとなたちは目をまるくします。

「何なにを言いっているんだい、チャロア」
「わたしたちはもう、魔法まほうを使つかえないのよ」

　それでもチャロアはえがおのまま、杖つえをかかげてみせました。

「でも今、みんなが魔法まほうの杖つえを持もっているよ！　やってみようよ！」

　こまったように顔かおを見合みあわせる、おとなたち。
　すると、お父とうさんとお母かあさんがツリーに向むかって、杖つえをふりました。

　ふたりの杖つえの先さきから赤色と青色の光が生まれ、フワフワと空中くうちゅうを飛とび、ツリーにすいこまれていきます。
　みんなから、どよめきがおこりました。

「なんてことだ！」
「おとななのに魔法まほうが使つかえた！　しんじられない！」
「お、おれもやってみよう」
「わたしも」

　みんなが、杖つえをふり始はじめます。
　すると、どうでしょう。ひとつ、またひとつと、杖つえの先さきから光が生まれ、ツリーに向むかって飛とんでいくではありませんか。

　あちらこちらから「わあっ」と、よろこびの声こえがあがります。広場ひろばは、色とりどりの光に包つつまれていきます。


　やがて、すべての光がツリーに集あつまりました。

「すごい！　なんてきれいなの……！」
「こんなに光あふれたツリーを見たことがない！」

　みんながゆめを見ているような気持きもちで、光のツリーを見上みあげていました。


　その時とき。

　リーン、ゴーン……。

　教会きょうかいのかねが、12時じゅうにじを知しらせます。
　みんなは、じっと耳をすませました。

　シャララン……シャララン……。

　きれいなすずの音が、遠とおい空から聞きこえてきます。

「サンタさんだ！」

　子どもたちが、いっせいに声こえをあげました。