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第四章:全国との戦い

第77話:深まる関係

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「………うっせーな。誰だよ……」

 朝から来客を告げるチャイムが鳴り響く。和弥はカメラで来客を確認する。

『おはよう竜ヶ崎くん。ごめんね? 来ちゃった』

(まさかの委員長かよ)

 カメラ越しにも分かる美少女。来客は小百合だった。こんな朝から来るとは思っていなかったため、和弥は苦々しい顔をするが………。

「ちょっと待っててくれ」

『中に入っては駄目かしら?』

 勝手に和弥のマンションに来たのは、あくまで小百合だ。とはいえマンションの前で待たせておくのも、失礼な話である。

「分かった分かった。入ってくれ。今ロックを解除する」

 エントランスの自動ドアが開くと、小百合は満面の笑みを浮かべたのが分かった。

「お邪魔します」

(やれやれ……。こんな事が立川南の男子生徒に知れたら、喧嘩売られそうだな。負ける気はしねーが)

 そんな訳で、小百合を招き入れる事になってしまった。
 こんなシチュエーションなど味わった事がないだけに、妙に居心地が悪いのだが……その反面心が踊っているのも事実だった。

「………正直驚いたわ。想像よりずっと綺麗なのね」

「一週間に一回はハウスキーパーに来てもらってるからな」

 皮肉を言われている事が分からないのか、それとも惚けているのか。ため息を吐く小百合だった。

「今日は会場まではバイクで行こうと思っていたのに」

 小百合にコーヒーを出し、和弥はソファーに座った。

「ねぇ、竜ヶ崎くんのバイク。一度乗ってみたいわ」

 そう呟く小百合に和弥は微笑む。

(……マジで天然なのかこの子? それともただのお嬢様か……?)

 そんな疑問がふと頭をよぎるも、慌てて打ち消した。

「言っておくけど、かなり飛ばすぞ俺?」

「竜ヶ崎くんが運転するんでしょう? だったら何も怖くなんてないわ」

 一体なんだろう、先週あたりからのこの信頼感は?

「ウチの学校はバイク禁止だろ。そこは注意しないのかよ」

「だったら賭け麻雀をしている時点で学校に報告してるわ」

 言われてみればその通りである。

「ちょっとだけ待っててくれ。髪だけはセットしたい」

「あら、その髪も似合ってるわよ?」

 小百合の世辞をわざと聞こえないフリして、和弥は洗面所に向かった。

◇◇◇◇◇

 小百合と共に下に降りた和弥は、キーを回しエンジンを始動させる。

「じゃ……行くぞ?」

 ヘルメットを被った和弥は、小百合にもハーフキャップ型ヘルメットを手渡した。

(全く……このお嬢様は……)

 バイクの後ろに座る小百合の体温を感じながら、和弥がスロットルを開けた。
 2人を乗せたNinja400は、そのままマンションを曲がり大通りに出る。
 会場からそれほど遠くない場所に位置しているので、よほどの渋滞でも起きない開始時間の30分前には着けるだろう。
 和弥がそんな事を考えていると。前方の信号に止められた和弥と小百合を載せたNinja400に、クラクションを鳴らす車があった。

(……ん?)

 バイクのエンジン音で気づかなかったが、左側には見覚えのある外車が止まっている。
 龍子だ。助手席には綾乃も座っている。

「おい、西浦。ウチはバイクは禁止のはずだが?」
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