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第五章:絶対に負けられない戦い

第98話:直接対決・4

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 東4局。ドラは九索。
 

「ロン。2,000」

 またも上がったのは恵だった。和弥の上家カミチャ、恵から見た対面はハネ満を張ったところで放銃である。

「これ………。上家は心にキテるだろうね………」

「早い巡目で大物手を張って切った牌がズドン、か。狙ったワケではないんだろうが。今のところは発岡の描いた絵面通りに勝負が進んでいる」

 モニターで勝負を観戦していた綾乃と龍子は、うめくように呟いた。
 大会は不正防止のため、他校の生徒の手牌は和了成立まで見ることが出来ない。
 一方、和弥は静かに手牌を伏せるのみだった。

(ジリジリと差をつけられてるな。だが………)

 収納口に牌を落とす和弥。

(焦って安手競争に乗って、この女のペースにハマる必要はない)

 ついに南入。親は和弥。ドラは三萬。
 

「うわ、いい配牌!」

「ドラが暗刻アンコですよ暗刻」

「これはイケルっしょ!」

 和弥の第一打はハツ
 控室でモニター観戦している今日子、紗枝、由香までもが歓声に近い声を一斉に上げた。
 しかし、小百合と綾乃は微妙な違和感を感じた。
 モニター越しに和弥同様に、恵が全く動じてないのが分かったからである。

「恵ちゃん、全然動揺してないね」

「ですね……。竜ヶ崎くんのこと、知ってるはずなのに……」

 綾乃と小百合がそんな会話をしていると。龍子が二人の下にやって来た。

「2人とも気付いたか? そう、発岡恵は竜ヶ崎と一度対戦しているし、その実力も認めている。だがな……」

 龍子はモニターに視線を移し、こう続けた。

「あいつも……“勝負師”の子なんだよ」

 大きく息を吐く龍子。

「ど、どういう事です?」

「発岡の父親も───元・裏プロだったんだ。さらに言えば鳳美里の父親もさ」

 驚く小百合。対して綾乃は平然としている。恐らく、知っていたのだろう。
 9巡目。和弥は聴牌テンパイにとる。
 

「お、親満確定です!」

「好形だし、ダマで充分ね」

「あの捨て牌じゃリーチしても萬子マンズは出ないだろうし、あたしならリーチ行くかなぁ~」

 自分の事のようにワイワイと騒ぐ紗枝、今日子、由香。

(張ったわね。直前にドラ表………。ドラ含みの、かなり大きな手と見ていいわね。四筒を捨てた時点で筒子ピンズの面子は完成してるわ…)

 続いて恵も聴牌した。

(この手になったら私もオリる訳にはいかないわ)

「リーチ!」

 恵は隠すつもりもなく、堂々とリーチしてきた。

(チ………この女も張ったか。こうなったらまくり合いだ)

 連続ツモ切りを続ける和弥、そしてリーチをかけた恵に、他の2名もさすがに牌を絞ってきた。
 13巡目───

「ツモ!」
 

「3,000・6,000」

「えぇっ!?」

「あれツモる!?」

 最後のドラをツモッた恵に、立川南の控室は騒然とする。
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