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コーヒーとCEOの秘密 (完)
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めずらしく会長が不在の日。夕方まで時間があくので、研究所に偵察に行こうと、ラボへ連絡を入れてみた。
『---今日ですか? きょうはちょっと・・・・・』
すっかり行く気で車を待たせているのだが、好ましくない返事が返ってきた。
『事前にアポを取ってもらえませんか。ああ、ここじゃなく、まず会長に一言言っていただくと助かります』
「それはどういうこと、中を見せろって言ってるんじゃないの。そこに行って少しだけ話を聞くだけなんだけど、会長に伝えなければならないの」
『はい。おねがいします。・・・どのみち今日は省庁の視察があるので無理ですが』
「会長って・・」
『はい。もちろん、新会長です。会長の許可なしでだれも入れるなと言われてますので。申し訳ありません』
意外な言葉に驚き通話を終える。なじみの男性研究員もいて、ほぼアポなしで訪れても相手をしてくれたものだが。
――どういうことなの、会長に言えって。ラボは会長の支配下にあるわけ?・・・省庁視察って何か機密事項なのかしら。特に何も聞いてないけど。
社外秘は網羅しているつもりでいたが、そうではないようだ。
――会長が…。
研究所が大事に扱われている証拠だろうか。
ーースパイがいるかもしれないなんて取り越し苦労だったかしら。
あらためて別の番号を押した。夕方、社会人野球の練習試合を観戦する予定だ。
予定通り、三津子は球場へと足を運んだ。
比較的新しいプロ球団も試合を行う球場で観客は少ないが応援の声かけや打球音が響き渡る。
「やあ、わざわざすまないね」
バックネット席やや後方の前会長の隣へ腰を下ろした。
「お久しぶりです。会長」
腰を下ろすと会長は深い笑みを浮かべじっとグランドを見据えた。
「いいねえ、現場は。こちらまでやる気をもらえるよ」
「そうですか」
ここにいる選手=社員だが、中にはプロ野球選手を夢見ていたものもいるだろう。動きはきびきびとしていて、体つきもがっちり、明らかに高校球児とは違う。
「いいよねえ、この雰囲気、声援、照明」
悦に入ったように足を組んでしばらく見ていた。
「・・・・・・最近はプロチームも生き残りをかけていろんな画策を仕掛けてるね。昔は殿様商売だと悪く言う向きもあったが。まあ、いいことだ」
「…プロのチーム……」
「中にはね、この雰囲気に魅了されてやめられない人間もいるんだよ。一度大歓声の中大舞台に立つとね、その感動が忘れられないって」
「そうですよねえ」
「そういう子らのためにもぜひこの空間、システムは残してやりたいよ」
「ええ」
――そうなるといいけど・・。私に丸投げするくらいだからどうかしら。
躍起になってみたところで、やはり不安はある。何か手を打ってるようには見えない。
万が一廃部するとなると、今横にいる人はさぞ落胆することだろう。
ーーせめてそれはなんとかしないと。
「・・・あのー、すみません」
そこで肩をたたかれた。振り返るとかつての職場の後輩、関矢が立っていた。
「会長、お久しぶりです」
隣の前会長に挨拶をし、
「観戦されているところ申し訳ありませんが、ちょっと、よろしいですか?」
『---今日ですか? きょうはちょっと・・・・・』
すっかり行く気で車を待たせているのだが、好ましくない返事が返ってきた。
『事前にアポを取ってもらえませんか。ああ、ここじゃなく、まず会長に一言言っていただくと助かります』
「それはどういうこと、中を見せろって言ってるんじゃないの。そこに行って少しだけ話を聞くだけなんだけど、会長に伝えなければならないの」
『はい。おねがいします。・・・どのみち今日は省庁の視察があるので無理ですが』
「会長って・・」
『はい。もちろん、新会長です。会長の許可なしでだれも入れるなと言われてますので。申し訳ありません』
意外な言葉に驚き通話を終える。なじみの男性研究員もいて、ほぼアポなしで訪れても相手をしてくれたものだが。
――どういうことなの、会長に言えって。ラボは会長の支配下にあるわけ?・・・省庁視察って何か機密事項なのかしら。特に何も聞いてないけど。
社外秘は網羅しているつもりでいたが、そうではないようだ。
――会長が…。
研究所が大事に扱われている証拠だろうか。
ーースパイがいるかもしれないなんて取り越し苦労だったかしら。
あらためて別の番号を押した。夕方、社会人野球の練習試合を観戦する予定だ。
予定通り、三津子は球場へと足を運んだ。
比較的新しいプロ球団も試合を行う球場で観客は少ないが応援の声かけや打球音が響き渡る。
「やあ、わざわざすまないね」
バックネット席やや後方の前会長の隣へ腰を下ろした。
「お久しぶりです。会長」
腰を下ろすと会長は深い笑みを浮かべじっとグランドを見据えた。
「いいねえ、現場は。こちらまでやる気をもらえるよ」
「そうですか」
ここにいる選手=社員だが、中にはプロ野球選手を夢見ていたものもいるだろう。動きはきびきびとしていて、体つきもがっちり、明らかに高校球児とは違う。
「いいよねえ、この雰囲気、声援、照明」
悦に入ったように足を組んでしばらく見ていた。
「・・・・・・最近はプロチームも生き残りをかけていろんな画策を仕掛けてるね。昔は殿様商売だと悪く言う向きもあったが。まあ、いいことだ」
「…プロのチーム……」
「中にはね、この雰囲気に魅了されてやめられない人間もいるんだよ。一度大歓声の中大舞台に立つとね、その感動が忘れられないって」
「そうですよねえ」
「そういう子らのためにもぜひこの空間、システムは残してやりたいよ」
「ええ」
――そうなるといいけど・・。私に丸投げするくらいだからどうかしら。
躍起になってみたところで、やはり不安はある。何か手を打ってるようには見えない。
万が一廃部するとなると、今横にいる人はさぞ落胆することだろう。
ーーせめてそれはなんとかしないと。
「・・・あのー、すみません」
そこで肩をたたかれた。振り返るとかつての職場の後輩、関矢が立っていた。
「会長、お久しぶりです」
隣の前会長に挨拶をし、
「観戦されているところ申し訳ありませんが、ちょっと、よろしいですか?」
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