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コーヒーとCEOの秘密 (完)
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「村上さんは…騙されて転職したんですか?」
「え?」
「私…つい先日あの方にあったんです。少しお話して‥仕切りに悔んでおられたので、気になったんです。『こんなつもりじゃなかった』って」
「……そうだとしても、どうしようもないよ。自分で決めたことだ」
「だけど・・・妙です。S物産の不採算部門が…実はこんなに有望視されて‥なんだか村上さんは・・・」
犠牲になってるの?
「肉を切らせて骨を断つ・・だったかな。それを言いたいのか?」
「そうなのでしょうか、村上さん、お辛そうだったので」
何なの? お金目的じゃなくてS物産でも同じような仕事の機会を得られるつもりでいた? そして手を引いたのはマヤさん・・。
「それは・・どうなのだろうな。彼への報酬がS物産以外からあったとすればそうかもしれないが、もう関係ないことだよ」
三津子はグラスに少しだけ口を付けた。だけどまともに彼の顔を見られなかった。
「赤字部門を引き受けて、損したように見えて実際は広範囲に事業を展開するキーになっている…」
「それで合ってるよ。実際売却を公開していたら数社で競うことになっただろうし」
密約などなかったのだろうか…。誰かと誰かが示し合わせてた、とか。
「おいおい、どうしたんだ、どこかおかしいのはそのせいか? 早く言ってくれればいいのに」
どう説明すればよかった?
村上の後に会った人物…この人の恋人だった人。
彼女はこの騒ぎにどこまで関係があるの、あったのか。
誰か聞ける人、いる?
「赤石くん…」
ゆるやかに時間が流れる。薄暗い照明の中最後のピアノ演奏が響いた。
「・・・君、彼に特別な感情でもあったのか? そんなに入れ込んで」
「え? いいえ、そんなことは」
顔を上げて否定した。
「プライベートに口を出す気はないが、もし気が進まないなら、今回は見送って、しばらく様子を見てもいいよ」
気持ちが揺らぐのはそれも。このまま敷かれたレールの上を行ってよいのだろうか。
「何度も言うが、君がそこまで気に掛けることはないんだ。あとは我々が対処する」
「はい…」
「こんなところで話すことでもないしな」
「そう…ですね」
会長は腕組みをして窓の外を眺めていた。しばらく・・・。
「…延長してそのまま私の盾でいてくれてもいいけどな」
「…盾?」
その言葉に顔を上げいぶかしんだ。
「盾だよ、何かおかしいか?…シールド?か?…じゃないな、防波堤か」
防波堤!?
「そんな…それはどういう意味ですか? 防波堤…」
「なんて言えばいいんだ?」
「テトラポットを想像するじゃないですか」
「テトラポット?」眉間にしわを寄せ言葉を探る。「……ああ、海にあるあれか。そうだな、そのものじゃないか。波の干渉を変える…あれだよな」
どちらにしても……いい気はしない。
「ふっ、ニュアンスが伝わらないね。キミのおかげで流れがやんわり変わるという意味で言ったんだが」
ほわり、空気が和んだ。
しばらくアルコールを嗜んで、席を立った。もう11時。
「送っていこうか? そんな状態じゃ不安だな」
「いえ……大丈夫です」
「といってもキミの部屋、もう何も残ってないだろう」
そう……何もない。一人になれば色々思い出してしまうかも。ああ、せっかくの日が。やっぱり仕事の話はだめだ。
「それともうちの家に来るか。すぐだし」
足を止め、彼は言った。
「え?」
「父がいるしな」
「え?」
「私…つい先日あの方にあったんです。少しお話して‥仕切りに悔んでおられたので、気になったんです。『こんなつもりじゃなかった』って」
「……そうだとしても、どうしようもないよ。自分で決めたことだ」
「だけど・・・妙です。S物産の不採算部門が…実はこんなに有望視されて‥なんだか村上さんは・・・」
犠牲になってるの?
「肉を切らせて骨を断つ・・だったかな。それを言いたいのか?」
「そうなのでしょうか、村上さん、お辛そうだったので」
何なの? お金目的じゃなくてS物産でも同じような仕事の機会を得られるつもりでいた? そして手を引いたのはマヤさん・・。
「それは・・どうなのだろうな。彼への報酬がS物産以外からあったとすればそうかもしれないが、もう関係ないことだよ」
三津子はグラスに少しだけ口を付けた。だけどまともに彼の顔を見られなかった。
「赤字部門を引き受けて、損したように見えて実際は広範囲に事業を展開するキーになっている…」
「それで合ってるよ。実際売却を公開していたら数社で競うことになっただろうし」
密約などなかったのだろうか…。誰かと誰かが示し合わせてた、とか。
「おいおい、どうしたんだ、どこかおかしいのはそのせいか? 早く言ってくれればいいのに」
どう説明すればよかった?
村上の後に会った人物…この人の恋人だった人。
彼女はこの騒ぎにどこまで関係があるの、あったのか。
誰か聞ける人、いる?
「赤石くん…」
ゆるやかに時間が流れる。薄暗い照明の中最後のピアノ演奏が響いた。
「・・・君、彼に特別な感情でもあったのか? そんなに入れ込んで」
「え? いいえ、そんなことは」
顔を上げて否定した。
「プライベートに口を出す気はないが、もし気が進まないなら、今回は見送って、しばらく様子を見てもいいよ」
気持ちが揺らぐのはそれも。このまま敷かれたレールの上を行ってよいのだろうか。
「何度も言うが、君がそこまで気に掛けることはないんだ。あとは我々が対処する」
「はい…」
「こんなところで話すことでもないしな」
「そう…ですね」
会長は腕組みをして窓の外を眺めていた。しばらく・・・。
「…延長してそのまま私の盾でいてくれてもいいけどな」
「…盾?」
その言葉に顔を上げいぶかしんだ。
「盾だよ、何かおかしいか?…シールド?か?…じゃないな、防波堤か」
防波堤!?
「そんな…それはどういう意味ですか? 防波堤…」
「なんて言えばいいんだ?」
「テトラポットを想像するじゃないですか」
「テトラポット?」眉間にしわを寄せ言葉を探る。「……ああ、海にあるあれか。そうだな、そのものじゃないか。波の干渉を変える…あれだよな」
どちらにしても……いい気はしない。
「ふっ、ニュアンスが伝わらないね。キミのおかげで流れがやんわり変わるという意味で言ったんだが」
ほわり、空気が和んだ。
しばらくアルコールを嗜んで、席を立った。もう11時。
「送っていこうか? そんな状態じゃ不安だな」
「いえ……大丈夫です」
「といってもキミの部屋、もう何も残ってないだろう」
そう……何もない。一人になれば色々思い出してしまうかも。ああ、せっかくの日が。やっぱり仕事の話はだめだ。
「それともうちの家に来るか。すぐだし」
足を止め、彼は言った。
「え?」
「父がいるしな」
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