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10話 誰にも言えない
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会長室では整えられたソファに社長と水城が座っていた。そして会長。
横森の報告を受けて、水城の本音を聞くためだ。
「ドバイに行きたくないとの話だが、その意志は固いのかな」
「はい」
「今後のために、聞いておきたいんだが」
売れる試算のものを売ってくれる社員が集まらないと話にならない。有望視されていた筆頭の水城がこれでは人材活用の方向性を見直す必要がある。
「魅力を感じないというのだな」
「…それは…申し上げにくいのですが」
女の下で働きたくない―――会長は横森からその報告を受けている。
さすがにそれは口にできないだろう―――。
案の定彼の口から聞くことはなかった。
だが、その女上司――となるはずだった、赤石社員は東京への復帰を望んでいる。
それを言うべきだろうか。
彼女はおそらく社内初の女性幹部の椅子が待っている。部署の配属は水城より優先されるだろう。
「…赤石くんも東京勤務を望んでいるし、思わぬ事態に人事基準を見直さないととおもっているんだよ」
社長の言葉に水城の反応は薄かった。
どうやら本当に頭にないらしい。
見本市でてっきり乗り気だと思った自分の浅はかなこと。成明は社長に任せていた。
「そんなに魅力がないかね、君にとっては」とはいえ水城への期待値の高かった社長も同様だろう。
「…こんなことを申し上げるのはおこがましいのですが、なんだか未来都市を造ってるようで実感がわきません」その言葉におやと思わずにいられない。こう言っては何だが、子供がテレビを見ながら言ってる風に聞こえた。
「出来ましたら、私は日本の地で現実的なプロジェクトに関わりたいんです」
「未来的…と言っても今後は増えると思うが。どういう意味かね。次世代事業的な戦略にはかかわりたくないというのか」
「TIILもその分野だったと思うが」中止となった博覧会もその類であった。
「…と、申しますか」
水城は一瞬ためらった。
「売れるとわかってるものを売るのはただの営業みたいでやりがいがない、といいますか」
言葉に力があった。これが本音か。
「まあ、今回の緊急招集は主にドーム球場やポリマーの販売だからね。計画も戦略もないな。キミは先頭に立って何かを切り開きたいタイプなのだな」社長は冷静に分析した。
「そうなのでしょうか…自分が抜擢されるとは思いませんでした」
「では、今の所属で文句はないというのかな」
「はい。転勤は考えていません」
水城は退室した。
「どうでしょうねえ。彼は、赤石くんと似たタイプなのか。戦略企画…」
「そのようですな。思わぬ誤算でしたな、会長」
残った二人はどうしたものかと考えあぐねる。このままだと赤石くんの後釜はサブリーダーの昇格ということになるが。
会長の任期は来年3月、実は社長も引退を考えており、是非良い方向性を残しておきたいところなのだが。
「ドバイ行きを蹴る人間がいるとは思わなかった」しかも楽勝のはずが。
確かに個人的に行けと言われれば、中野のように喜び勇んでいくことにはならないだろうが。
結局人事に一任することになるのだろうか。
「そういえば…」何かを思い出した会長、成明。
「村上本部長は今どうしているのだろう。彼は、中東の野球チームの発足から交流戦まで細かくお膳立てしたという話だが。」
「ほう。それは興味深いですな」砂をかけてやめた人間だが、人材としては魅力的だ。
「ドーム建設の流れの基礎を作ったとも言えなくないだろうか」
横森の報告を受けて、水城の本音を聞くためだ。
「ドバイに行きたくないとの話だが、その意志は固いのかな」
「はい」
「今後のために、聞いておきたいんだが」
売れる試算のものを売ってくれる社員が集まらないと話にならない。有望視されていた筆頭の水城がこれでは人材活用の方向性を見直す必要がある。
「魅力を感じないというのだな」
「…それは…申し上げにくいのですが」
女の下で働きたくない―――会長は横森からその報告を受けている。
さすがにそれは口にできないだろう―――。
案の定彼の口から聞くことはなかった。
だが、その女上司――となるはずだった、赤石社員は東京への復帰を望んでいる。
それを言うべきだろうか。
彼女はおそらく社内初の女性幹部の椅子が待っている。部署の配属は水城より優先されるだろう。
「…赤石くんも東京勤務を望んでいるし、思わぬ事態に人事基準を見直さないととおもっているんだよ」
社長の言葉に水城の反応は薄かった。
どうやら本当に頭にないらしい。
見本市でてっきり乗り気だと思った自分の浅はかなこと。成明は社長に任せていた。
「そんなに魅力がないかね、君にとっては」とはいえ水城への期待値の高かった社長も同様だろう。
「…こんなことを申し上げるのはおこがましいのですが、なんだか未来都市を造ってるようで実感がわきません」その言葉におやと思わずにいられない。こう言っては何だが、子供がテレビを見ながら言ってる風に聞こえた。
「出来ましたら、私は日本の地で現実的なプロジェクトに関わりたいんです」
「未来的…と言っても今後は増えると思うが。どういう意味かね。次世代事業的な戦略にはかかわりたくないというのか」
「TIILもその分野だったと思うが」中止となった博覧会もその類であった。
「…と、申しますか」
水城は一瞬ためらった。
「売れるとわかってるものを売るのはただの営業みたいでやりがいがない、といいますか」
言葉に力があった。これが本音か。
「まあ、今回の緊急招集は主にドーム球場やポリマーの販売だからね。計画も戦略もないな。キミは先頭に立って何かを切り開きたいタイプなのだな」社長は冷静に分析した。
「そうなのでしょうか…自分が抜擢されるとは思いませんでした」
「では、今の所属で文句はないというのかな」
「はい。転勤は考えていません」
水城は退室した。
「どうでしょうねえ。彼は、赤石くんと似たタイプなのか。戦略企画…」
「そのようですな。思わぬ誤算でしたな、会長」
残った二人はどうしたものかと考えあぐねる。このままだと赤石くんの後釜はサブリーダーの昇格ということになるが。
会長の任期は来年3月、実は社長も引退を考えており、是非良い方向性を残しておきたいところなのだが。
「ドバイ行きを蹴る人間がいるとは思わなかった」しかも楽勝のはずが。
確かに個人的に行けと言われれば、中野のように喜び勇んでいくことにはならないだろうが。
結局人事に一任することになるのだろうか。
「そういえば…」何かを思い出した会長、成明。
「村上本部長は今どうしているのだろう。彼は、中東の野球チームの発足から交流戦まで細かくお膳立てしたという話だが。」
「ほう。それは興味深いですな」砂をかけてやめた人間だが、人材としては魅力的だ。
「ドーム建設の流れの基礎を作ったとも言えなくないだろうか」
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