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6話 甘い言葉にご用心
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ブログを開くと…まずトップページに室内から撮ったらしい風景画像がバーンと目に飛び込んできた。其れは、新宿公園の向こうに佇む高層タワー…パークハイアットとうちの社屋だ。見間違えるはずもない。この構図で撮れるってことは… マヤさんの家は、このビルと公園を隔てた向こう側の…思わず身震いした。何度も何度も通ったあのスーパーが入る新宿で有名なタワーマンション。そして、さらに驚いたことに、昔見たときは英語だったのが、記事本文が日本語で書かれていた。つまり私にも読める。タイトルは、―――前に進むとき。最新コメントには『意味深ですねー』とか、『お仕事お疲れさまでした、すごい景色ですね』とか。
「 縁があってここに住んで数年、やっと決心がつきました。穢れを克服し、今の私を理解していただくために・・・。本当のきもちをぶつける…そのときだと確信しております。数年前、私は夢のような時間を過ごしていました。秋のマンハッタン、どこを切りとっても映画のような景色…私が夢中でカメラに収めてると、毎朝同じ時刻に歩いて出勤する男性に気づいたのです。足早に歩く姿がとても素敵で、すぐに恋に落ちました。幸運にも御近付きになれて、付き合い始め…とんとん拍子に話が進みました。ですが不幸な行き違いがあり、事故にも遭って、残念な結果に終わってしまった、私はどうしても忘れることができず、こうして帰国してもあの人の影を追って過ごす毎日。でも、それも今日で終わり、因縁の仕事を終え、私は晴れて自由の身。もう一度あの人と会いたい…その思いでいっぱいです。あの人の好きなケーキを焼き、あの人の友達や親族とも仲良くし、また夢の日々を送りたい・・・。果物があまりお好きじゃないので、果物及び果物の色を使うお菓子を作るのには少し苦労しましたが、ウエディングケーキも自作するつもりでケーキ作りに励んだり…ロングアイランドのガーデンウェディングに招待されては、次は君たちの番だねと言われたりしてました。」
絵にかいたようなNYの思い出話がちりばめられてた。マヤさんは…今でも会長のことを愛してるんだな、と、痛いほど伝わる。わたしは少し冷めて見ていた。そこに書かれている会長は、私が知ってる会長と少し違って見えたからだ。お似合いなのはわかる。見るだけでドキドキした。でも、もしその当時の会長がそこらへん歩いていたとしても、かっこいいけど( ´_ゝ`)フーンて感じ。ロングアイランド?ガーデンウェディング?わたしとは世界が違いすぎる。マヤさんは、その時の会長に恋したままなの?それとも、会長ってもしかして二重人格??コメントは賞賛の嵐だった。『 マヤさん、応援してます。』『 素敵な方なのですね、頑張ってください。』『 ご縁に恵まれますように。 』『 お相手は日本の方?新宿ですよね?いい報告待ってます 。』そりゃそう来るよな、ブログの読者さんたちだもん。私はなんだか、ストンと気持ちが落ちた。なんだか、ばかみたいじゃない?知らなかったとはいえ、何度もあそこの下の店に通った。食材やお菓子を調達するために。数年前からマヤさんはあそこにいて、私は知らずに下界をちょろちょろしてて、仕事を辞めたってことは、会長の任期があと少しってことを知ってるから?もしかして会長の心の中にも少しばかりそういう気持ちが残ってるの?公園通りの向こうとこっちですぐ目と鼻の先に住んでて、不幸があったけど、今度こそ一緒になろうって、恋愛映画のような気持がもしかして会長にもあった?そしたら私、ばかみたいじゃん、なんだか、一気に冷めた。バカみたい、マヤさんがあのタワマンに住んでるの知ってたら、行かなかったかもしれない、西新宿の高層ビル群。なんだか全部嫌いになってしまいそう―――。いつの間にか、顔が濡れてるのに気づいた。うつぶせて、手が濡れたから。もういいや、二人で好きにやっちゃってください、とんだ茶番だ、ロミオとジュリエットだ。会長、果物嫌いだったか。そういえばそうかな、食べてた気もするけど、あんまり果物を皿にボンと出したことないかも。グミを出した時ピューレにしてくれって言われたもんな。カフェ店員やってたから、お客様のそういう要求、敏感なの、先の先を読んで、果物の一個食い、苦手なんだな、そこまで掬い取らなきゃいけない。何だかどこをとってもマヤさんの領域と私のそれでは明確に違う気がした。マヤさんは食事だけでなく生活全般を会長とともに過ごしてきて、私はただの給仕と料理人だ。土台が違うの。改めて思った。勘違いするな、自分。会長は以前、彼女に悪いことをした。って本当に寂しそうな表情で言ったことがある。あの時も思った、この人はもしかして恋人をまだ愛しているのかな、と。お互いそうなら、何も心配することないわ。私は…自分の仕事に徹するだけだ。
「 縁があってここに住んで数年、やっと決心がつきました。穢れを克服し、今の私を理解していただくために・・・。本当のきもちをぶつける…そのときだと確信しております。数年前、私は夢のような時間を過ごしていました。秋のマンハッタン、どこを切りとっても映画のような景色…私が夢中でカメラに収めてると、毎朝同じ時刻に歩いて出勤する男性に気づいたのです。足早に歩く姿がとても素敵で、すぐに恋に落ちました。幸運にも御近付きになれて、付き合い始め…とんとん拍子に話が進みました。ですが不幸な行き違いがあり、事故にも遭って、残念な結果に終わってしまった、私はどうしても忘れることができず、こうして帰国してもあの人の影を追って過ごす毎日。でも、それも今日で終わり、因縁の仕事を終え、私は晴れて自由の身。もう一度あの人と会いたい…その思いでいっぱいです。あの人の好きなケーキを焼き、あの人の友達や親族とも仲良くし、また夢の日々を送りたい・・・。果物があまりお好きじゃないので、果物及び果物の色を使うお菓子を作るのには少し苦労しましたが、ウエディングケーキも自作するつもりでケーキ作りに励んだり…ロングアイランドのガーデンウェディングに招待されては、次は君たちの番だねと言われたりしてました。」
絵にかいたようなNYの思い出話がちりばめられてた。マヤさんは…今でも会長のことを愛してるんだな、と、痛いほど伝わる。わたしは少し冷めて見ていた。そこに書かれている会長は、私が知ってる会長と少し違って見えたからだ。お似合いなのはわかる。見るだけでドキドキした。でも、もしその当時の会長がそこらへん歩いていたとしても、かっこいいけど( ´_ゝ`)フーンて感じ。ロングアイランド?ガーデンウェディング?わたしとは世界が違いすぎる。マヤさんは、その時の会長に恋したままなの?それとも、会長ってもしかして二重人格??コメントは賞賛の嵐だった。『 マヤさん、応援してます。』『 素敵な方なのですね、頑張ってください。』『 ご縁に恵まれますように。 』『 お相手は日本の方?新宿ですよね?いい報告待ってます 。』そりゃそう来るよな、ブログの読者さんたちだもん。私はなんだか、ストンと気持ちが落ちた。なんだか、ばかみたいじゃない?知らなかったとはいえ、何度もあそこの下の店に通った。食材やお菓子を調達するために。数年前からマヤさんはあそこにいて、私は知らずに下界をちょろちょろしてて、仕事を辞めたってことは、会長の任期があと少しってことを知ってるから?もしかして会長の心の中にも少しばかりそういう気持ちが残ってるの?公園通りの向こうとこっちですぐ目と鼻の先に住んでて、不幸があったけど、今度こそ一緒になろうって、恋愛映画のような気持がもしかして会長にもあった?そしたら私、ばかみたいじゃん、なんだか、一気に冷めた。バカみたい、マヤさんがあのタワマンに住んでるの知ってたら、行かなかったかもしれない、西新宿の高層ビル群。なんだか全部嫌いになってしまいそう―――。いつの間にか、顔が濡れてるのに気づいた。うつぶせて、手が濡れたから。もういいや、二人で好きにやっちゃってください、とんだ茶番だ、ロミオとジュリエットだ。会長、果物嫌いだったか。そういえばそうかな、食べてた気もするけど、あんまり果物を皿にボンと出したことないかも。グミを出した時ピューレにしてくれって言われたもんな。カフェ店員やってたから、お客様のそういう要求、敏感なの、先の先を読んで、果物の一個食い、苦手なんだな、そこまで掬い取らなきゃいけない。何だかどこをとってもマヤさんの領域と私のそれでは明確に違う気がした。マヤさんは食事だけでなく生活全般を会長とともに過ごしてきて、私はただの給仕と料理人だ。土台が違うの。改めて思った。勘違いするな、自分。会長は以前、彼女に悪いことをした。って本当に寂しそうな表情で言ったことがある。あの時も思った、この人はもしかして恋人をまだ愛しているのかな、と。お互いそうなら、何も心配することないわ。私は…自分の仕事に徹するだけだ。
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