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タイムリミット
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「有休?…いいよ。3連休のところね。ハイハイ」
「ありがとうございます」
早速休暇を申し出た。
調子いいわあ…いや、背に腹は代えられない。
「1週間くらいあげたい気分よー。九鬼ちゃん、よく頑張ってくれたねー」
いえいえ。所長もね。
「この色味、中々出てこないよねえ、やっぱ女性目線て違うな」
提出済みの修正図を眺めて所長は言った。
いやいや、それ、変えたのお客様だから。「たまたまラッキーでした」
派手なストライプシャツを着た所長は画面をステッドラーの鉛筆でトントンやって、「なるほどねえ…アッシュカラーみたいだな」
「カラーチャートに慣れてらっしゃるんでしょう。即決でした」
「やっぱ、その場でCG完成予想図見せちゃったら早いよね。今までなんでしなかったんだろう。バリといえばコレ。って決めつけちゃったのがなあ」
「西越様は新婚旅行でバリに行かれて、車で郊外まで遠出して、その時見た風景をイメージされたみたいですね。ホテルではなく」
「ふうん。……ところで」
所長は腰をかがめ、耳元でささやいた。
「もしかして、バリに行くとか?」
「いや、まあ……」
私は言葉を濁した。
「たまたまツアーが取れまして。格安の」
「へえ?……九鬼ちゃん、身を削ってまで頑張らないでね。もし行き詰まったらアジア好きな友人にでも頼むから」
「はい」
格安どころか……無料? 一瞬不安がよぎる…。
「今後増えてくかもなあ、アジアンスタイル。頭に入れとかないといかんな」
「大体、色が濃い目で落ち着いたスタイルですけどね」
「これってどっちかって言うとナチュラルインテリアだよねえ。うーーん、ゆるいのがきてんのかなあ…」
自分の席に戻ると、西越さんから送られた家具の画像を加工して、おうちのCGに乗せてみる。
これだと床は畳でもいいような…。
まだそんなこと思ってしまう。
どちらにせよ、家具を置いちゃったら、ゆうとくんが走り回ることはできないのよね。
どげんすると―――?
ぼーっとしてて、楠原くんに「先輩、魂抜けてますよ」と言われる。「手続きって何だろ…」「は?」
「先輩、大丈夫ですか? 無理しないでくださいよ」
大丈夫じゃなか。もうやるしかなか。
「ありがとうございます」
早速休暇を申し出た。
調子いいわあ…いや、背に腹は代えられない。
「1週間くらいあげたい気分よー。九鬼ちゃん、よく頑張ってくれたねー」
いえいえ。所長もね。
「この色味、中々出てこないよねえ、やっぱ女性目線て違うな」
提出済みの修正図を眺めて所長は言った。
いやいや、それ、変えたのお客様だから。「たまたまラッキーでした」
派手なストライプシャツを着た所長は画面をステッドラーの鉛筆でトントンやって、「なるほどねえ…アッシュカラーみたいだな」
「カラーチャートに慣れてらっしゃるんでしょう。即決でした」
「やっぱ、その場でCG完成予想図見せちゃったら早いよね。今までなんでしなかったんだろう。バリといえばコレ。って決めつけちゃったのがなあ」
「西越様は新婚旅行でバリに行かれて、車で郊外まで遠出して、その時見た風景をイメージされたみたいですね。ホテルではなく」
「ふうん。……ところで」
所長は腰をかがめ、耳元でささやいた。
「もしかして、バリに行くとか?」
「いや、まあ……」
私は言葉を濁した。
「たまたまツアーが取れまして。格安の」
「へえ?……九鬼ちゃん、身を削ってまで頑張らないでね。もし行き詰まったらアジア好きな友人にでも頼むから」
「はい」
格安どころか……無料? 一瞬不安がよぎる…。
「今後増えてくかもなあ、アジアンスタイル。頭に入れとかないといかんな」
「大体、色が濃い目で落ち着いたスタイルですけどね」
「これってどっちかって言うとナチュラルインテリアだよねえ。うーーん、ゆるいのがきてんのかなあ…」
自分の席に戻ると、西越さんから送られた家具の画像を加工して、おうちのCGに乗せてみる。
これだと床は畳でもいいような…。
まだそんなこと思ってしまう。
どちらにせよ、家具を置いちゃったら、ゆうとくんが走り回ることはできないのよね。
どげんすると―――?
ぼーっとしてて、楠原くんに「先輩、魂抜けてますよ」と言われる。「手続きって何だろ…」「は?」
「先輩、大丈夫ですか? 無理しないでくださいよ」
大丈夫じゃなか。もうやるしかなか。
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