世界一の治癒師目指して頑張ります!

睦月

文字の大きさ
5 / 124

異世界5

しおりを挟む
「なんか薬草でも採取しながら行こうかな~。色々持ってた方が雰囲気出ない?」
『すみません、よく分かりません。』
「まあポーション作りは薬師の仕事だけど、どっちもできた方がカッコいいよね~。よし、決めた!私は治癒師であり、薬師でもある!アイ、この辺にポーションの材料生えてない?」
『あります。マップに表示しますか?』
「お願いします!」
『マップに薬草の情報を表示しました。』
「ありがとう。どれどれ…沢山生えてるじゃん!採って行こうっと!」
『薬草ごとの最適な採取法をお知らせしますか?』
「そんなことできるの?じゃあお願いします。」
『お任せください。』
「自分の脳内に検索かけるよりずっと楽だわー。ありがとう!」
『いえいえ。』

香織は話し相手が出来たことで上機嫌に薬草採取を始めた。迷いの森付近は薬草が豊富に生えていた。迷いの森を警戒して、誰も近寄らないからだ。どこからが迷いの森の領域なのかははっきりしていない。森そのものに足を踏み入れるまで大丈夫な時もあれば、その周辺の草原に行くだけで方向感覚を狂わされる事もある。そのため、わざわざ命の危険を冒してまでたかが薬草を採取しに来る者などいないのだ。

「いっぱい取れたね~。もう持ちきれないや。これくらいでいいかな。鞄に入れようかと思ってたんだけど、このままじゃ鞄が汚れちゃうよね…」
『収納魔法を使いますか?』
「あー、確かに。使おう!時間停止機能とかついてたらなお良いな~。」
『鞄に収納魔法を発動しました。そのまま薬草を入れてください。』

香織が鞄を開けると、真っ暗な空間が広がっていた。待っていた薬草を入れてみると、闇の中に消えて見えなくなった。

『欲しいものを念じながら手を入れてください。』
「薬草1束。おー、出てきた。」

取り出した薬草を再び鞄の中にしまい、香織は空を見上げた。迷いの森で見上げた時より、太陽はやや傾いている。

「アイ、今何時?」
『14時13分です。』
「村に着くのは夕方近くなっちゃうね。そろそろちゃんと向かおう。」

香織は寄り道をやめ、真面目に歩き出した。しかし数分もしないうちにアイが警告を発した。

『魔物が200メートル先にいます。討伐しますか?』
「え?やっつけられるの?怖いから、できればやって欲しいけど…」
『魔法衛星から『ライトニング』を発動します。』
「え?」

その瞬間、雲ひとつない青空から一筋の雷が香織の少し離れた所に落ちた。

「え?」
『ワーウルフの死亡を確認しました。』
「え?今のどうやったの?」
『魔法衛星はこの星全域に魔力の膜を貼りました。頭上に膜がある限り、マスターとリンクしどこでも遠隔で魔法を発動させることができます。』
「私の思ってた魔法衛星と違う!」
『お役に立てましたか?』
「いや立ちすぎ!」
『それほどでも。』

香織は恐る恐る雷の落ちた場所に向かった。青々とした草原に、一箇所だけ不自然な焼け跡。その中心に、黒焦げになった狼のようなものが息絶えていた。

「これが魔物?狼に見える。」
『ワーウルフは狼が魔石を得て進化した姿だと言われています。ワーウルフを収納しますか?』
「そっか、魔物の素材って売れるんだよね。お願い。収納の中で解体ってできる?」
『マスターが望めば可能です。』
「収納魔法に解体機能付けて!」
『収納魔法に解体機能が追加されました。ワーウルフを解体します。』
「はあ~便利すぎる。神様大嫌いだけど、これだけは感謝だわ。」


「アイ、近くに魔物いない?あまり強そうじゃないやつ。」
『500メートル先にホーンラビが2匹います。』
「一人で倒せるか試してみたいから、ちょっと見ててくれる?危なくなったらサポートよろしく。」
『お任せください。』

香織はなるべく音を立てないように魔物に近付いた。ギリギリ目視で確認できる距離まで進むと、足を止めた。

「既存の魔法だと威力とかまだイマイチわからないし、オリジナル作ってみようかな…。うーん、遠くからだと…銃弾みたいなので攻撃?それとも弓矢?実物見たことないからなあ…真空波みたいなの飛ばすのも定番だよね…」

真空波と聞き香織が思い浮かべたのは、一時期テレビで流行ったとあるお笑いコンビの一発ギャグだった。

「あれで本当に真空波でたら笑っちゃうよね~『香織カッター』!みたいな。あはは。」

香織は手の先から真空波が出るのを想像しながらポーズを決め、笑った。誰かに見られていたら死にたくなるくらい恥ずかしい。

『ホーンラビの死亡を確認しました。』
「はえ!?」

魔法は想像力。香織は『香織カッター』を習得した。

「嘘でしょ、初めての戦闘がこんなふざけた魔法だなんて!」
『お見事です。』
「いやあ~!もっとかっこいいのがよかった!」

香織は嘆きながらホーンラビの元に向かった。そこには確かに頭と胴体を切り離された2匹の魔物が息絶えていた。

「わあ、ナイスコントロール。」
『ホーンラビを収納しますか?』
「お願い。」
『ホーンラビを2匹収納しました。解体しますか?』
「うん。」
『ホーンラビを解体しました。』
「はあ…もっとかっこいい魔法作らないと…」

香織は再び歩き出した。次はどんな魔法にしようかうんうん悩みながらも、アイのナビの下無事に村まで辿り着いた。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。  それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。  婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。  これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。

【完結】婚約者なんて眼中にありません

らんか
恋愛
 あー、気が抜ける。  婚約者とのお茶会なのにときめかない……  私は若いお子様には興味ないんだってば。  やだ、あの騎士団長様、素敵! 確か、お子さんはもう成人してるし、奥様が亡くなってからずっと、独り身だったような?    大人の哀愁が滲み出ているわぁ。  それに強くて守ってもらえそう。  男はやっぱり包容力よね!  私も守ってもらいたいわぁ!    これは、そんな事を考えているおじ様好きの婚約者と、その婚約者を何とか振り向かせたい王子が奮闘する物語…… 短めのお話です。 サクッと、読み終えてしまえます。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

処理中です...