闇の獣人 女神の加護で強く生き抜きます(18禁)

feriameres

文字の大きさ
380 / 386

第374話 闇の獣人、地竜・水竜とドワーフに仲良く生活するように言い含める

しおりを挟む
 俺は地竜・水竜の二種類のドラゴンを紹介して、地竜は鉱石を探したり、採掘やトンネルなどを掘るのにうってつけで、彼等の協力があれば邪神やその眷属が封印されている所を掘り当てることがなく、採掘をすることができると説明した。

 そして水竜だが…一応井戸の神のアビリティの「無限の湧水ポンプ」があるとはいえ、場所が限られているが、水竜の力があれば川の水を浄化して、いつでも飲むことができる上に魚とかも捕ることができると説明したら、ドワーフの王ゴルガンも、職人達も目をキラキラさせていた。

 「ただし! ドラゴンは誇り高い種族だ。おまえらドワーフもプライドが高いが、彼等はそれ以上。

 よって彼等の助力を得る時は、鉱石や魔物の肉などの代価になるものをもって物々交換という形にすること。お互いの距離が近すぎると、双方の信頼関係に亀裂が生じやすいからな」

 「お、お待ちください、ラフィアス様。代価といっても儂らにはドラゴンに支払える物がそう簡単に手に入るとは思えないのですが…」
 
 と、聖剣修復の職人の一人が目に怯えの色をはっきりと浮かばせながらも挙手して、俺に質問してきた。

 「貴様アホか? 何の為に俺がダンジョンの存在を教えて、そこを攻略するように言ったと思ってる? ダンジョンの中にはさまざまな武器や防具、希少金属や宝が眠っているではないか。

 そしてお前らは人間よりも屈強な肉体と、人間の技術者が作るよりも、はるかに優れた武器や防具を作る者達がいるではないか。

 ドラゴンに助力を依頼するのなら、ダンジョンに潜って魔物退治をしてその肉とかを渡せばいい。それがドラゴンの気に入らないものであれば、その肉を解体して酒屋に行って酒に替えればいいだけだろう? 酒が好きなのはお前達ドワーフだけじゃない。ドラゴンも酒好きが多いからな」

 そこまでは考えていなかったのか、ドワーフ達の目に輝きが戻ってきた。

 「た、確かに俺達よりも強いドラゴン達をタダで手伝わせる訳にはいかねぇよな…」

 「うん。だけど酒を代価にするといっても…樽の一つや二つでは足りないぜ? ドラゴンって結構でかい体しているからなぁ…」

 と、ヒソヒソと地竜や水竜を見てドワーフ達が、聖剣修復で役に立たなかった無力感に浸っていた時のことなど忘れて、どんな仕事がドラゴン達なら引き受けてくれるかを小声で話し合っている。

 「なんならダンジョンに一緒に潜ってもらうように頼んでみるのはどうだ? ドラゴンが一緒なら北東のダンジョンならともかく、強敵揃いの北北西のダンジョンはおまえらドワーフだけでは攻略は難しいだろうしな」

 そう。ドワーフ達にダンジョンに潜ってもらって、ダンジョン内の宝箱から鉱石とか採掘する代わりに入手させるということにしたんだが、いかんせん北北西のダンジョンは俺が確認の為に潜った経験からして、とてもじゃないが脳筋ぞろいのドワーフ達の手に負える相手じゃなかった。

 おまけに数も多いと来ている上に、下の階層ではクラーケンや巨人が出るからな。地竜と水竜の協力がないと攻略なんてまず不可能だ。

 もちろんこれは地竜と水竜の二種族の長老達にも伝達済みだ。

 あとドラゴンとドワーフの両種族には内緒で、ドワーフの地下都市から北東・北北西の二つのダンジョンに限っては鉱石の他に酒の入った瓶が出やすくなるように、念話でコア・ブランチに命じておいた。

 この酒も宝石を溶かした酒で錬金術の賜物だ。厳密には俺が時間停止をかけて本の神に頼んで宝石から酒に変える方法を記した薄い本を作ってもらい、その本の通りにしただけだ。
 
 おかげで今では水晶、青水晶、紫水晶、紅水晶、黄水晶、黒水晶、茶水晶、ルビー、サファイア、エメラルド、ペリドット、ダイヤモンドを酒に変異させた物をヒョドリンに食わせて100本ほど増産して、半分はコア・ブランチに吸収させておいた。

 これで宝石を溶かした酒とかダンジョン内で入手する事ができるようになったので、俺はそれを説明したらドワーフも地竜・水竜も生唾を飲み込んでいた。

 だがこの地下世界ではドワーフの方が先輩であって、ダンジョンの出入り口もドワーフの戦士達が見張っており、スタンピードでダンジョン内部の魔物が溢れ出たりしないように監視をしているから、ドラゴンはダンジョン攻略をしたい場合は必ずドワーフと組んで、北東、北北西のどちらか(または両方)に潜って探索するようにと、俺はアナントスの前でドラゴンとドワーフ達に誓約させた。

 もちろん財宝や酒などは基本的に折半で。全員が生きて帰れるのを最優先にして宝に関することで、揉めるような事があればドワーフ王と地竜、水竜の長老達に判断を委ねることも誓約させておいた。

 ざっとこんなものかな。ドラゴンがダンジョン攻略に行くとは素直に思えなかったから、エサとして酒を宝箱の中に入れておくようにコア・ブランチに命じておいたんだけど…。

 それで正解だったようだ。今ではドラゴン達がドワーフ達と仲良く話し合って、ダンジョンや地下の魔物についての情報を聞いたりしている。

 まあ…畑にはマンドラゴラ達が警備しているし、井戸は井戸の神の無限の湧水ポンプと汲んだ水はタラミレーナのゴーレム達が運んでくれるから、ドワーフ達も本当に困った時しかドラゴンを頼らないだろうしな。

 それでも心配なので俺はドワーフ王に長老達とよく話し合って、お互いを尊重しあって生きることを厳命してからダンジョンの地下131階層にアルロン、ロンドウェル、フレジョリーナ、ルぺリオ、アクリアを伴って帰還した。

 これでドワーフ達はダンジョン探索も捗るようになるし、ドラゴンとの付き合いで聖剣修復の事どころじゃなくなるから、忙しくなって落ち込んでいるどころじゃなくなるだろうな。

 でもやっぱり不安なので俺は自在門を地下都市、北東のダンジョン、北北西のダンジョンの三つに分けて開いてから奴隷達のリーダーであるミアナを手招きして、ドワーフとドラゴンがうまくやっていけるかを監視するように命じておくことにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

処理中です...