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14.高等部入学
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「ただいま戻りました。クルト」
「はい、エリザベートお嬢様、お帰りなさいませ」
急いでお家に帰った私は出迎えてくれたクルトににじり寄ります。
「で、どうでした?」
今日は王立学園高等部の入学式なんです。
「ああ、アンナさんですか?ジョゼフィーヌお姉様の予言通り、『きゃあ』ってフレドリック殿下の目の前で転びました」
ゴクリ……。
「それからそれから?」
「えーと、それから『大丈夫ですか、お嬢さん』と」
ハラハラ。
「ロシェ君がアンナさんを起こしてあげました」
「えっ、騎士見習いのロシェさんがですか?」
「はい、ロシェ君とアリシアさんは学園内でのフレドリック殿下の護衛ですから。まあ、フレドリック殿下、黒騎士に目覚めちゃったから多分我が国で一番強いですけど、一応」
ロシェさんはデュモンド卿の弟さんで、アリシアさんはセーガン卿の娘さんです。二人とも騎士を目指して頑張ってます。
学園内ではこの二人がフレドリック殿下の護衛の任務に当たります。他に大人の監視がこっそり付いているようですが、メインはこの二人です。
ちなみにデュモンド卿の兄弟とセーガン卿の子供は他にもいて、デュモンド卿の妹のオリガさんとセーガン卿の息子のカール君が私のクラスメイトです。二人も私の護衛役をしてくれています。
「僕とロシェ君とアリシアさんとそれからもちろんジョゼフィーヌお嬢様とフレドリック殿下はまた同じクラスです。それで、アンナさんも僕らと同じクラスです」
「そうでしたか……」
これもお姉様の予言通りです。このところ光属性を持つ子供達は数少ないのです。
アンナさんは貴重なその一人で特待生として期待されてます。
「お嬢様はどうでしたか?」
気分を変えるためでしょうか、クルトはわざと陽気な声を出します。
「仲の良いお友達とも一緒のクラスになれましたし、それから新しくクラスメイトになった子とも仲良くなれそうです!」
「それはよろしゅうございました」
***
この世界は昼の期とというのと、夜の期という二つの時代が交互にやって来ます。
昼の期では魔物が少なくなり、夜の期は魔物が増えます。魔王が復活してしまうのはこの夜の期です。
「今皆さんが生きているのは、夜の期です」
今は歴史の授業です。クラスで先生が教えてくれます。
先生の言葉に皆不安そうな表情になります。
「この二つの期に人間も影響されます。闇属性が増えて、光属性を持つ者が減ります。また魔王は騎士団によって倒されましたが、魔物の数は多いままです。皆さんも郊外に出掛ける時は十分に注意しないといけません」
そうなのです、まだ騎士団は魔物を狩るために国中を回っています。
「ですが、夜の期は悪いことばかりではありません」
「えっ、そうなのですか?」
驚いて声を上げてしまいます。
先生はニッコリ微笑みました。
「そうなのですよ、クラウンさん、魔物が死ぬと魔石を落とします。この魔石は魔法の原材料です。魔物が減る昼の期では魔石は手に入りにくくなりますが、夜の期で沢山手に入ります。魔法が発展するのは大体この夜の期です」
今日はフレドリック殿下と一緒に帰る約束なのです。中等部は高等部より早く授業が終わるので、フレドリック殿下をお迎えに行きます。
高等部は中等部の隣の敷地です。
「お供します」とオリガとカールが付いてきてくれました。
「あ、クルトです」
数人で花壇を囲み何かしています。
「あ、エリザベートお嬢様」
「何をしているんですか?」
「花壇で光属性の花を咲かせる訓練ですが、これが上手く行かないんですよ」
クルトは同じ光属性持ちの生徒達とヤレヤレという風に肩をすくめます。
「あ、この方は僕がお仕えしているお家のお嬢様のエリザベート様でこう見えてもすごい光属性の魔法使いです」
と雑に皆さんに説明してくれました。
「あ、どうも初めまして」
「はい、クルトがお世話になっています」
『あ……』
私はそのうちの一人を見て息が止まりそうになりました。
艶のあるピンクの髪、可愛らしい顔立ちで白い肌、小柄な体。
『アンナさんだ……』
初めて間近で見ました。数年ぶりですが、もっと可愛くなってます。庇護欲掻き立てる系の美少女です。
「あのう、お嬢様?」
「はっ、大丈夫です、クルト、えーっと課題なら部外者が手を出してはいけませんか?」
「いえ、皆で何とか咲かせるのが訓練ですから、出来ましたらアドバイスして下さい」
クルトは光属性と風属性の二属性持ちで、大人顔負けの回復魔法使いですが、お花を咲かせるのは何故か苦手です。
「そうですか、じゃあやりましょう」
葉っぱもどんよりしてます。お花が可哀想なのでお手本を見せることにします。
このお花は回復ポーションの原料なので王宮でも育てています。私はお花を育てるのは得意みたいです。
「いいですか、皆さん、治れーじゃないです。元気になれーです。大きくなるイメージです。やってみて下さい」
「あ、はい、こんな感じでしょうか」
「そうです、そんな感じです」
皆の魔力を吸ってお花が元気になってきました。
「お嬢様のおかげで何となく分かりました」
「はい、何となく分かるとそれとなく身につきます」
「あ、そろそろ授業が終わります。僕らは教室に戻らないといけません。お先に失礼します。あとよろしくお願いします、オリガさん、カールさん」
クルト達は私にペコリと挨拶してから、足早に教室へと帰っていきます。
「じゃあ私達も行きましょう」
「はい、エリザベート様」
私とフレドリック殿下の待ち合わせ場所は、王族専用の控え室なのです。
と、花壇から離れようとした時、
「……?」
小さな声が聞こえた気がしました。
キョロキョロ見回して探すと、花壇の端の目立たない場所にしおれた苗があります。
助けて。
「あ、今魔力をあげるね」
魔力を注ぐと苗は見違えるように元気になりました。
「ふーっ」
「……エリザベート様、これを。お早く」
オリガが素早く私に帽子を差し出します。
「えっ?」
「御髪の色がピンクです」
力を使いすぎると髪の毛がピンクになってしまいます。
「あ、隠さないと」
帽子を被り、帽子からはみ出た分はオリガがスカーフで隠してくれます。
二人は知ってますけど、私が聖女なのはまだ公式には内緒なのです。
「ふー、危ないところでした」
「……本当にお色が変わるのですね」
とカールが感心してます。
「そうなんです」
「エリザベート様、うつむいて下さい。お目の色もピンクです」
「は、はい」
フレドリック殿下に会うと、「髪の色が違うね、魔力を使った?」と指摘されました。
もうほとんど戻りかけてましたけど、分かってしまったみたいです。
「茶色も綺麗だけど、桃色の髪のリーザもとても綺麗だよ」
そう言うと、フレドリック殿下は私の髪の毛を一房、すくい取り、口付けました。
「…………!」
フレドリック殿下はとっても格好いいのでそんなことをされると動揺してしまいます。
フレドリック殿下はピンクの髪がお好みみたいです。
「ずっとピンクの方がいいですか?」
「いや、いつものリーザの亜麻色の髪も好きだよ。どちらのリーザも私の愛しい人に変わりないよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
サラリとそんなことを言うのはさすが王子様です。聞いた私は照れてしまってお礼を言うが精一杯です。
フレドリック殿下も力を使う時、御髪の色が金から黒へと変化します。
「私も、黒髪のフレドリック殿下も金髪のフレドリック殿下もどっちも好きです……」
恥ずかしかったから小さな声で言うと、フレドリック殿下はフワッと優しく微笑みました。
「ありがとう、リーザ」
「はい、エリザベートお嬢様、お帰りなさいませ」
急いでお家に帰った私は出迎えてくれたクルトににじり寄ります。
「で、どうでした?」
今日は王立学園高等部の入学式なんです。
「ああ、アンナさんですか?ジョゼフィーヌお姉様の予言通り、『きゃあ』ってフレドリック殿下の目の前で転びました」
ゴクリ……。
「それからそれから?」
「えーと、それから『大丈夫ですか、お嬢さん』と」
ハラハラ。
「ロシェ君がアンナさんを起こしてあげました」
「えっ、騎士見習いのロシェさんがですか?」
「はい、ロシェ君とアリシアさんは学園内でのフレドリック殿下の護衛ですから。まあ、フレドリック殿下、黒騎士に目覚めちゃったから多分我が国で一番強いですけど、一応」
ロシェさんはデュモンド卿の弟さんで、アリシアさんはセーガン卿の娘さんです。二人とも騎士を目指して頑張ってます。
学園内ではこの二人がフレドリック殿下の護衛の任務に当たります。他に大人の監視がこっそり付いているようですが、メインはこの二人です。
ちなみにデュモンド卿の兄弟とセーガン卿の子供は他にもいて、デュモンド卿の妹のオリガさんとセーガン卿の息子のカール君が私のクラスメイトです。二人も私の護衛役をしてくれています。
「僕とロシェ君とアリシアさんとそれからもちろんジョゼフィーヌお嬢様とフレドリック殿下はまた同じクラスです。それで、アンナさんも僕らと同じクラスです」
「そうでしたか……」
これもお姉様の予言通りです。このところ光属性を持つ子供達は数少ないのです。
アンナさんは貴重なその一人で特待生として期待されてます。
「お嬢様はどうでしたか?」
気分を変えるためでしょうか、クルトはわざと陽気な声を出します。
「仲の良いお友達とも一緒のクラスになれましたし、それから新しくクラスメイトになった子とも仲良くなれそうです!」
「それはよろしゅうございました」
***
この世界は昼の期とというのと、夜の期という二つの時代が交互にやって来ます。
昼の期では魔物が少なくなり、夜の期は魔物が増えます。魔王が復活してしまうのはこの夜の期です。
「今皆さんが生きているのは、夜の期です」
今は歴史の授業です。クラスで先生が教えてくれます。
先生の言葉に皆不安そうな表情になります。
「この二つの期に人間も影響されます。闇属性が増えて、光属性を持つ者が減ります。また魔王は騎士団によって倒されましたが、魔物の数は多いままです。皆さんも郊外に出掛ける時は十分に注意しないといけません」
そうなのです、まだ騎士団は魔物を狩るために国中を回っています。
「ですが、夜の期は悪いことばかりではありません」
「えっ、そうなのですか?」
驚いて声を上げてしまいます。
先生はニッコリ微笑みました。
「そうなのですよ、クラウンさん、魔物が死ぬと魔石を落とします。この魔石は魔法の原材料です。魔物が減る昼の期では魔石は手に入りにくくなりますが、夜の期で沢山手に入ります。魔法が発展するのは大体この夜の期です」
今日はフレドリック殿下と一緒に帰る約束なのです。中等部は高等部より早く授業が終わるので、フレドリック殿下をお迎えに行きます。
高等部は中等部の隣の敷地です。
「お供します」とオリガとカールが付いてきてくれました。
「あ、クルトです」
数人で花壇を囲み何かしています。
「あ、エリザベートお嬢様」
「何をしているんですか?」
「花壇で光属性の花を咲かせる訓練ですが、これが上手く行かないんですよ」
クルトは同じ光属性持ちの生徒達とヤレヤレという風に肩をすくめます。
「あ、この方は僕がお仕えしているお家のお嬢様のエリザベート様でこう見えてもすごい光属性の魔法使いです」
と雑に皆さんに説明してくれました。
「あ、どうも初めまして」
「はい、クルトがお世話になっています」
『あ……』
私はそのうちの一人を見て息が止まりそうになりました。
艶のあるピンクの髪、可愛らしい顔立ちで白い肌、小柄な体。
『アンナさんだ……』
初めて間近で見ました。数年ぶりですが、もっと可愛くなってます。庇護欲掻き立てる系の美少女です。
「あのう、お嬢様?」
「はっ、大丈夫です、クルト、えーっと課題なら部外者が手を出してはいけませんか?」
「いえ、皆で何とか咲かせるのが訓練ですから、出来ましたらアドバイスして下さい」
クルトは光属性と風属性の二属性持ちで、大人顔負けの回復魔法使いですが、お花を咲かせるのは何故か苦手です。
「そうですか、じゃあやりましょう」
葉っぱもどんよりしてます。お花が可哀想なのでお手本を見せることにします。
このお花は回復ポーションの原料なので王宮でも育てています。私はお花を育てるのは得意みたいです。
「いいですか、皆さん、治れーじゃないです。元気になれーです。大きくなるイメージです。やってみて下さい」
「あ、はい、こんな感じでしょうか」
「そうです、そんな感じです」
皆の魔力を吸ってお花が元気になってきました。
「お嬢様のおかげで何となく分かりました」
「はい、何となく分かるとそれとなく身につきます」
「あ、そろそろ授業が終わります。僕らは教室に戻らないといけません。お先に失礼します。あとよろしくお願いします、オリガさん、カールさん」
クルト達は私にペコリと挨拶してから、足早に教室へと帰っていきます。
「じゃあ私達も行きましょう」
「はい、エリザベート様」
私とフレドリック殿下の待ち合わせ場所は、王族専用の控え室なのです。
と、花壇から離れようとした時、
「……?」
小さな声が聞こえた気がしました。
キョロキョロ見回して探すと、花壇の端の目立たない場所にしおれた苗があります。
助けて。
「あ、今魔力をあげるね」
魔力を注ぐと苗は見違えるように元気になりました。
「ふーっ」
「……エリザベート様、これを。お早く」
オリガが素早く私に帽子を差し出します。
「えっ?」
「御髪の色がピンクです」
力を使いすぎると髪の毛がピンクになってしまいます。
「あ、隠さないと」
帽子を被り、帽子からはみ出た分はオリガがスカーフで隠してくれます。
二人は知ってますけど、私が聖女なのはまだ公式には内緒なのです。
「ふー、危ないところでした」
「……本当にお色が変わるのですね」
とカールが感心してます。
「そうなんです」
「エリザベート様、うつむいて下さい。お目の色もピンクです」
「は、はい」
フレドリック殿下に会うと、「髪の色が違うね、魔力を使った?」と指摘されました。
もうほとんど戻りかけてましたけど、分かってしまったみたいです。
「茶色も綺麗だけど、桃色の髪のリーザもとても綺麗だよ」
そう言うと、フレドリック殿下は私の髪の毛を一房、すくい取り、口付けました。
「…………!」
フレドリック殿下はとっても格好いいのでそんなことをされると動揺してしまいます。
フレドリック殿下はピンクの髪がお好みみたいです。
「ずっとピンクの方がいいですか?」
「いや、いつものリーザの亜麻色の髪も好きだよ。どちらのリーザも私の愛しい人に変わりないよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
サラリとそんなことを言うのはさすが王子様です。聞いた私は照れてしまってお礼を言うが精一杯です。
フレドリック殿下も力を使う時、御髪の色が金から黒へと変化します。
「私も、黒髪のフレドリック殿下も金髪のフレドリック殿下もどっちも好きです……」
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