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41.今後の予定
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お茶会は和やかに始まった。
「まずはあのグレン王子殿下のお妃選びについて、もう一度、説明させてね」
とママ様があのお妃様大会について教えてくれた。
私が王子と会ったあのお妃様大会は本当は低位の伯爵令嬢に限ってお妃様にするだけで、私のような子爵家の娘は愛妾にしたかったらしい。
愛妾を選ぶと同時に、どこか名家の令嬢が妃殿下となり、その方が自分の子として王子と愛妾の子を育てる。
これが、高位貴族の方々の総意だった。
貴族の方々は従来の権力構図が崩れるのを嫌がったし、ご生母の方もきちんと守ってくれる実家がないと大変なのだ。
だからこれは妥当と言えば妥当なのだが、王子は「哀れな娘にせめて妃の地位だけは与えたい」と何だかとってもロマンチストなことを言ってその娘を妃にすることを望んだ。
当然、これは誰にも喜ばれず、テレンス様達や王子派の人々は、二三の名家と派閥に了承を得て、何とかあの当日エッチ監禁プランをこしらえたのだった。
テレンス様達も王子の不名誉になるようなことだから本当はやりたくなかったけど、普段我が儘言わない王子が珍しく望んだことだからと仕方なく協力したそうだ。
王子の子が男の子ならこの国の国王になる。
この国は正妻の子以外は庶子となり、本来なら家を継ぐ子とは見なされない。仕方がないから許されるけど、本当は良くない。
それに名目だけとはいえ、王子に触れられない妃殿下というのもどう考えても無理がある。
出来れば王子の正妻である正妃から赤ちゃんが産まれるのが一番良いのだ。
そういう事情もあり王子派の人々は、一定の条件を付けてこの計画に協力した。
その条件というのが、ゲルボルグが気に入った娘が複数いたらこの話はなし。ゲルボルグが気に入っても王子が気に入らないとなし。
当日お妃選びに立ち会った竜騎士、つまりテレンス様やアラン様が「これはちょっとなー」と思う娘だった場合もなし、というものだった。
私は私は王子と竜騎士様達のお眼鏡にかなった……らしい。
という流れで、私は王子のお妃になることになった。
***
「その了承した家というのが、アビントン侯爵家とヒートリー侯爵家なの」
とママ様が言った。
「そうなんですか……」
私がママ様とご縁のある家の娘だったのは本当に偶然で、ジェローム様も驚いたらしい。
「我が家とヒートリー侯爵家がエルシー様を妃にするのに協力することになった訳だから、さっさとその子を見せろって言ってるのに、グレン王子殿下ったら、『夫人らに会わせたら怖がって逃げられるかも知れない』とかで私達に会わせようとしなかったのよ。エルシー様から言っておいて、頂戴。苛めたりしてないって」
「はい……王子がすみません」
ママ様の話は続く。
「今回のお茶会のテーマは、エルシー様、今後のスケジュールよ」
「スケジュールですか?」
「そう、まず、顔見せのお茶会を三週間であと十回こなしてね、エルシー様」
「えっ、十回ですか?」
それって二日にいっぺんだ。
多くない?
「すごい少ないわよ。厳選したんだから。それで、三週間後に王宮で開かれる恒例の五月の夜会があるの。エルシー様はそこで社交界デビューよ」
「はい」
「心配しなくて良いわ。グレン王子殿下が女性に近づけないから、あなたの出番も少ないの。殿下の婚約者として陛下にご挨拶し、一曲ダンスを踊り、それで殿下は退場。エルシー様は残って少し他の人間にご挨拶して下がる。それだけよ」
「はっ、はい」
「それで、今日のメンバーは当日会場にいるから困ったら皆のところに逃げなさいね。もっともわたくしも夫も付いているから大丈夫だとは思うけど」
私は皆様の顔を見回す。
皆様、目があうと小さく頷き返してくれる。
そうか、私のこと、助けるために来てくれたんだ。
頑張れそうな気がして私も頷いた。
「はい」
「ついでにお話しすると、その夜会の二週間後がエルシー様の本当のお披露目よ。昼にお庭でゲルボルグとふれあうところを皆の前で見せるの。結婚式が半年後だから、言ってみればそれが婚約式のかわりね」
「はい」
「何も心配しなくて良いわ。基本的には皆ようやく決まったお妃様を歓迎しているからね」
「……はい」
頷くのが一瞬遅れて、ママ様が眉をひそめる。
「もしかして、王妃様のこと気にしている?」
「えっ、あっ、あの…その…はい、そうです。ちょっと怒らせちゃったみたいだから大丈夫かなと」
王宮のことは何も知らない私でも王妃様が社交界の花と呼ばれていることくらいは耳にしている。
侯爵家のご令嬢と名家のご出身、お父上は宰相をなさっていて陛下の信頼も厚いそうだ。
自分が王妃様と仲良く出来ないのはしょうがない気がするけど、ママ様達を巻き込んで良いのか躊躇した。
ママ様は私の手を取る。
「気にしなくて良いわ。あの方はあなたより身分が下なのよ」
ママ様の言葉に、ヒートリー侯爵夫人もオールポート伯爵夫人も大きく頷いた。
「ねえ、エルシー様、あなたはまだ公には婚約者ですらない。でももうグレン王子殿下の妃殿下と見なされているの。どうしてなのか、その理由が分かる?」
***
そして急に忙しくなった私なのだが、国王陛下がお見舞いに来たいという。
しかも今日。
私がゲルボルグに攫われたのを知りご心配下さったようだ。
朝ご飯食べている時にそう言われて私は顔の前で手をパタパタ振った。
「えっ、いいですよ、お見舞い要りません。どこも怪我してないです。ねっ、グレン様」
「ああ、いらん。あれはお二人のせいではない。ご心配は無用とお伝えしろ」
と王子は冷たい声で言った。
「とにかく今日は駄目だ。断れ」
と念押しする。
王子は私のお茶会をすごく嫌がった。
ジェローム様曰く、「基本聞き分けの良い王子様」な王子が強弁に反対したのは、すっごくくだらない理由だった。
王子はあの「あーん」と食べさせるのが面白かったらしく、また私にケーキ食べさせたいらしい。
一口二口の味見ならともかく、あーんばっかりは嫌だし、お茶会には絶対ケーキが出るから他の日も食べたらケーキ食べ過ぎだ。
そこにあるケーキを無視出来る程私の意志は固くない。
だからお茶会以外でケーキは食べないと宣言したのだが、王子は嫌だと言う。
「二、三回やれば飽きると思いますから付き合ってあげて」
とアラン様が言った。
意外とアラン様は王子の味方だ。
「お菓子職人が『あーん』用のケーキ作ったんですよ。エルシー様食べてあげて」
あーん用のケーキとは?
甘やかされてるな、王子。
今日はお茶会もないので、王子と一緒にお茶を飲む予定なのだ。
王子は絶対邪魔されたくなかったようだが、国王陛下のご使者はまたすぐにやってきた。
「国王陛下はどうしてもエルシー様のご無事をご自身で確認したいと申しておいでです」
と先触れを寄越すと同時においでになったのはお茶の時間だった。
「まずはあのグレン王子殿下のお妃選びについて、もう一度、説明させてね」
とママ様があのお妃様大会について教えてくれた。
私が王子と会ったあのお妃様大会は本当は低位の伯爵令嬢に限ってお妃様にするだけで、私のような子爵家の娘は愛妾にしたかったらしい。
愛妾を選ぶと同時に、どこか名家の令嬢が妃殿下となり、その方が自分の子として王子と愛妾の子を育てる。
これが、高位貴族の方々の総意だった。
貴族の方々は従来の権力構図が崩れるのを嫌がったし、ご生母の方もきちんと守ってくれる実家がないと大変なのだ。
だからこれは妥当と言えば妥当なのだが、王子は「哀れな娘にせめて妃の地位だけは与えたい」と何だかとってもロマンチストなことを言ってその娘を妃にすることを望んだ。
当然、これは誰にも喜ばれず、テレンス様達や王子派の人々は、二三の名家と派閥に了承を得て、何とかあの当日エッチ監禁プランをこしらえたのだった。
テレンス様達も王子の不名誉になるようなことだから本当はやりたくなかったけど、普段我が儘言わない王子が珍しく望んだことだからと仕方なく協力したそうだ。
王子の子が男の子ならこの国の国王になる。
この国は正妻の子以外は庶子となり、本来なら家を継ぐ子とは見なされない。仕方がないから許されるけど、本当は良くない。
それに名目だけとはいえ、王子に触れられない妃殿下というのもどう考えても無理がある。
出来れば王子の正妻である正妃から赤ちゃんが産まれるのが一番良いのだ。
そういう事情もあり王子派の人々は、一定の条件を付けてこの計画に協力した。
その条件というのが、ゲルボルグが気に入った娘が複数いたらこの話はなし。ゲルボルグが気に入っても王子が気に入らないとなし。
当日お妃選びに立ち会った竜騎士、つまりテレンス様やアラン様が「これはちょっとなー」と思う娘だった場合もなし、というものだった。
私は私は王子と竜騎士様達のお眼鏡にかなった……らしい。
という流れで、私は王子のお妃になることになった。
***
「その了承した家というのが、アビントン侯爵家とヒートリー侯爵家なの」
とママ様が言った。
「そうなんですか……」
私がママ様とご縁のある家の娘だったのは本当に偶然で、ジェローム様も驚いたらしい。
「我が家とヒートリー侯爵家がエルシー様を妃にするのに協力することになった訳だから、さっさとその子を見せろって言ってるのに、グレン王子殿下ったら、『夫人らに会わせたら怖がって逃げられるかも知れない』とかで私達に会わせようとしなかったのよ。エルシー様から言っておいて、頂戴。苛めたりしてないって」
「はい……王子がすみません」
ママ様の話は続く。
「今回のお茶会のテーマは、エルシー様、今後のスケジュールよ」
「スケジュールですか?」
「そう、まず、顔見せのお茶会を三週間であと十回こなしてね、エルシー様」
「えっ、十回ですか?」
それって二日にいっぺんだ。
多くない?
「すごい少ないわよ。厳選したんだから。それで、三週間後に王宮で開かれる恒例の五月の夜会があるの。エルシー様はそこで社交界デビューよ」
「はい」
「心配しなくて良いわ。グレン王子殿下が女性に近づけないから、あなたの出番も少ないの。殿下の婚約者として陛下にご挨拶し、一曲ダンスを踊り、それで殿下は退場。エルシー様は残って少し他の人間にご挨拶して下がる。それだけよ」
「はっ、はい」
「それで、今日のメンバーは当日会場にいるから困ったら皆のところに逃げなさいね。もっともわたくしも夫も付いているから大丈夫だとは思うけど」
私は皆様の顔を見回す。
皆様、目があうと小さく頷き返してくれる。
そうか、私のこと、助けるために来てくれたんだ。
頑張れそうな気がして私も頷いた。
「はい」
「ついでにお話しすると、その夜会の二週間後がエルシー様の本当のお披露目よ。昼にお庭でゲルボルグとふれあうところを皆の前で見せるの。結婚式が半年後だから、言ってみればそれが婚約式のかわりね」
「はい」
「何も心配しなくて良いわ。基本的には皆ようやく決まったお妃様を歓迎しているからね」
「……はい」
頷くのが一瞬遅れて、ママ様が眉をひそめる。
「もしかして、王妃様のこと気にしている?」
「えっ、あっ、あの…その…はい、そうです。ちょっと怒らせちゃったみたいだから大丈夫かなと」
王宮のことは何も知らない私でも王妃様が社交界の花と呼ばれていることくらいは耳にしている。
侯爵家のご令嬢と名家のご出身、お父上は宰相をなさっていて陛下の信頼も厚いそうだ。
自分が王妃様と仲良く出来ないのはしょうがない気がするけど、ママ様達を巻き込んで良いのか躊躇した。
ママ様は私の手を取る。
「気にしなくて良いわ。あの方はあなたより身分が下なのよ」
ママ様の言葉に、ヒートリー侯爵夫人もオールポート伯爵夫人も大きく頷いた。
「ねえ、エルシー様、あなたはまだ公には婚約者ですらない。でももうグレン王子殿下の妃殿下と見なされているの。どうしてなのか、その理由が分かる?」
***
そして急に忙しくなった私なのだが、国王陛下がお見舞いに来たいという。
しかも今日。
私がゲルボルグに攫われたのを知りご心配下さったようだ。
朝ご飯食べている時にそう言われて私は顔の前で手をパタパタ振った。
「えっ、いいですよ、お見舞い要りません。どこも怪我してないです。ねっ、グレン様」
「ああ、いらん。あれはお二人のせいではない。ご心配は無用とお伝えしろ」
と王子は冷たい声で言った。
「とにかく今日は駄目だ。断れ」
と念押しする。
王子は私のお茶会をすごく嫌がった。
ジェローム様曰く、「基本聞き分けの良い王子様」な王子が強弁に反対したのは、すっごくくだらない理由だった。
王子はあの「あーん」と食べさせるのが面白かったらしく、また私にケーキ食べさせたいらしい。
一口二口の味見ならともかく、あーんばっかりは嫌だし、お茶会には絶対ケーキが出るから他の日も食べたらケーキ食べ過ぎだ。
そこにあるケーキを無視出来る程私の意志は固くない。
だからお茶会以外でケーキは食べないと宣言したのだが、王子は嫌だと言う。
「二、三回やれば飽きると思いますから付き合ってあげて」
とアラン様が言った。
意外とアラン様は王子の味方だ。
「お菓子職人が『あーん』用のケーキ作ったんですよ。エルシー様食べてあげて」
あーん用のケーキとは?
甘やかされてるな、王子。
今日はお茶会もないので、王子と一緒にお茶を飲む予定なのだ。
王子は絶対邪魔されたくなかったようだが、国王陛下のご使者はまたすぐにやってきた。
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