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54.お妃のお披露目②
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良く分からないまま、王太子宮の一室に行き、椅子に座ると今更ながら怖くなって震えてしまった。
「エルシー」
母も父も来てくれて、抱きしめてくれる。
「お父様、なっ、何だったのでしょう……」
「分からんが、王子殿下を待とう」
王子は夕方になる頃、ようやく部屋に来た。
ジェローム様もアラン様も一緒だ。
だが部屋に入ったものの、三人は入り口辺りで立ち止まる。
「グレン様……」
立ち上がり、近寄ろうとした私を王子は強く制止した。
「来るな」
「……すまない。来ないでくれ」
「うわー……これはきつい」
とアラン様が呟いた。
アラン様は目を逸らし、私を見ようともしない。
三人とも疲れ切っているような、それでいて興奮状態のようなそんな雰囲気だった。
何かあったのは分かるが、何があったんだろう。
ゲルボルグがひどく暴れるようなことがあったのか、それとも……。
「しばらくの間、エルシーはこの王太子宮で過ごして欲しい」
「ここですか?離宮では駄目なんですか?」
王子は怖い調子で怒鳴った。
「離宮は近寄るな。絶対にゲルボルグに遭うな!何が起こるか分からない。いいな、とにかくここに居ろ」
「……どうしてですか?理由は?」
「理由は、今は言えない。それから俺も当分はお前に会えない」
「うーん」
と私は考えた。
理由が言えなくて当分会えないか。
「当分て、いつまでですか?」
「……分からない。しばらくだ」
「じゃあ、実家帰ってて良いですか?」
「えっ……」
と王子が絶句した。
「だって王子に会えないならここに居なくてもいいですよね。実家、一ヶ月以上帰ってないんで帰りたいです」
「そっ、それは考え直せ」
「じゃあ理由教えて下さい。どうしてゲルボルグは私に吠えたの?さっきの女の子に何か関係があるんですか」
王子は女の子と聞くと、ビクッと身を震わし、私から目を逸らした。
「……今は言えない。確証がない」
「じゃあお家、帰りたいです」
もう帰りたかった。
何だかとても悲しくて、ここに居たくない気持ちで一杯になる。
「家か」
と王子は呟いた。
「……分かった。帰っていい」
アラン様は王子に怒鳴った。
「王子、駄目だ。相手はエルシー様だぞ。謝ってここに居て貰え」
「だが、エルシーはここに居るより、子爵家にいた方がいい」
「グレン王子殿下、どういうことですか」
父が王子に詰問した。
非常に不敬だが、父の気持ちはちょっと分かる。
王子は何も説明してくれてない。
王子は父からも目を逸らした。
「すまないが、今は何も言えない」
「離宮に行けないってことは、荷物も取りに行けないんですよね。じゃあ私、このままお家に帰りたいです、お父様」
もうお家でお布団被って寝たい。
父はそんな私を抱きしめる。
もっと小さい子供をあやすみたいな仕草だが、今はそれが嬉しかった。
「そうだな、エルシーは疲れているようだ。それがいい」
「もう帰るのか?」
王子が言った。
まるですごく傷ついたみたいに。
「はい。グレン様にも当分会えないんでしょう?」
「……この件がすむまでは会えない」
王子は私が前に進むと、さっと入り口から離れ、私と距離を取った。
ちょっとムッとした。
立ち去ろうとする私達に王子は声を掛けた。
「エルシー、一週間だ」
「…………」
「一週間で迎えに行く。待っていてくれ」
「はい。一週間ですね、分かりました」
にっこり笑って私が答えると何故か、王子は顔を青ざめさせた。
「エルシー」
母も父も来てくれて、抱きしめてくれる。
「お父様、なっ、何だったのでしょう……」
「分からんが、王子殿下を待とう」
王子は夕方になる頃、ようやく部屋に来た。
ジェローム様もアラン様も一緒だ。
だが部屋に入ったものの、三人は入り口辺りで立ち止まる。
「グレン様……」
立ち上がり、近寄ろうとした私を王子は強く制止した。
「来るな」
「……すまない。来ないでくれ」
「うわー……これはきつい」
とアラン様が呟いた。
アラン様は目を逸らし、私を見ようともしない。
三人とも疲れ切っているような、それでいて興奮状態のようなそんな雰囲気だった。
何かあったのは分かるが、何があったんだろう。
ゲルボルグがひどく暴れるようなことがあったのか、それとも……。
「しばらくの間、エルシーはこの王太子宮で過ごして欲しい」
「ここですか?離宮では駄目なんですか?」
王子は怖い調子で怒鳴った。
「離宮は近寄るな。絶対にゲルボルグに遭うな!何が起こるか分からない。いいな、とにかくここに居ろ」
「……どうしてですか?理由は?」
「理由は、今は言えない。それから俺も当分はお前に会えない」
「うーん」
と私は考えた。
理由が言えなくて当分会えないか。
「当分て、いつまでですか?」
「……分からない。しばらくだ」
「じゃあ、実家帰ってて良いですか?」
「えっ……」
と王子が絶句した。
「だって王子に会えないならここに居なくてもいいですよね。実家、一ヶ月以上帰ってないんで帰りたいです」
「そっ、それは考え直せ」
「じゃあ理由教えて下さい。どうしてゲルボルグは私に吠えたの?さっきの女の子に何か関係があるんですか」
王子は女の子と聞くと、ビクッと身を震わし、私から目を逸らした。
「……今は言えない。確証がない」
「じゃあお家、帰りたいです」
もう帰りたかった。
何だかとても悲しくて、ここに居たくない気持ちで一杯になる。
「家か」
と王子は呟いた。
「……分かった。帰っていい」
アラン様は王子に怒鳴った。
「王子、駄目だ。相手はエルシー様だぞ。謝ってここに居て貰え」
「だが、エルシーはここに居るより、子爵家にいた方がいい」
「グレン王子殿下、どういうことですか」
父が王子に詰問した。
非常に不敬だが、父の気持ちはちょっと分かる。
王子は何も説明してくれてない。
王子は父からも目を逸らした。
「すまないが、今は何も言えない」
「離宮に行けないってことは、荷物も取りに行けないんですよね。じゃあ私、このままお家に帰りたいです、お父様」
もうお家でお布団被って寝たい。
父はそんな私を抱きしめる。
もっと小さい子供をあやすみたいな仕草だが、今はそれが嬉しかった。
「そうだな、エルシーは疲れているようだ。それがいい」
「もう帰るのか?」
王子が言った。
まるですごく傷ついたみたいに。
「はい。グレン様にも当分会えないんでしょう?」
「……この件がすむまでは会えない」
王子は私が前に進むと、さっと入り口から離れ、私と距離を取った。
ちょっとムッとした。
立ち去ろうとする私達に王子は声を掛けた。
「エルシー、一週間だ」
「…………」
「一週間で迎えに行く。待っていてくれ」
「はい。一週間ですね、分かりました」
にっこり笑って私が答えると何故か、王子は顔を青ざめさせた。
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